首相 ウクライナ情勢めぐり “新たな国際秩序の枠組みが必要”

ロシアによるウクライナ侵攻をめぐり岸田総理大臣は、31日の衆議院本会議で、新たな国際秩序の枠組みが必要だとして、国連安全保障理事会の改革の実現に向けてリーダーシップを発揮したいと強調しました。

一方、日本の大手商社が出資するロシア極東の天然ガスの開発プロジェクト「サハリン2」は、エネルギー安全保障上、極めて重要だとして撤退しない方針を明らかにしました。

31日の衆議院本会議では、ウクライナ情勢をめぐり、先週ベルギーで開かれたG7=主要7か国の首脳会議について、岸田総理大臣による報告と各党の質疑が行われました。

この中で岸田総理大臣は、今回のG7首脳会議について「ロシアのウクライナ侵略に関し、G7首脳が対面で議論する最初の機会となり、ロシアの暴挙を決して許さず、G7が主導して国際社会の秩序を守り抜くとの強い決意を確認する大変有意義な会合となった」と強調しました。

また、日ロ関係について「これまで粘り強く、平和条約交渉を進めてきたが、ロシアによるウクライナ侵略はヨーロッパのみならず、アジアを含む国際社会の秩序の根幹を揺るがす行為だ。高い代償を伴うことを示すべく、断固として行動していく考えであり、ロシアとの関係をこれまでどおりにしていくことはできない」と述べました。

そして岸田総理大臣は、国連安全保障理事会の改革について「安保理常任理事国であるロシアが、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙に出たことは、新たな国際秩序の枠組みの必要性を示している。ゼレンスキー大統領による国会演説でも『安保理が機能していない』との訴えがあり、しっかりと受け止めたい。各国の複雑な利害も絡み、決して簡単ではないが日本の常任理事国入りを含む、安保理改革の実現に向け、引き続きリーダーシップをとっていきたい」と述べました。

一方、岸田総理大臣は、日本の大手商社が出資するロシア極東の天然ガスの開発プロジェクト「サハリン2」について「自国で権益を有し長期かつ安価なLNG安定供給に貢献しており、エネルギー安全保障上、極めて重要なプロジェクトだ。G7でも各国それぞれの事情に配慮し、持続可能な代替供給を確保するための時間を提供することになっており、わが国としては撤退しない方針だ。G7の方針に沿ってロシアへのエネルギー依存を低減すべく、さらなる取り組みを進めていく」と述べました。