イベルメクチン臨床試験 新型コロナの入院予防効果認められず

寄生虫が原因で失明などが引き起こされる感染症の特効薬「イベルメクチン」について、新型コロナウイルスの患者に投与しても、入院に至るリスクを下げる効果はなかったとする臨床試験の結果を、ブラジルなどの研究グループが発表しました。

臨床試験の結果は、ブラジルの複数の大学などの研究グループが、国際的な医学雑誌「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に発表しました。

研究グループは、去年3月から8月にかけて、肥満や糖尿病、高血圧など、新型コロナの重症化リスクがある18歳以上の患者1358人について、発症から7日以内に「イベルメクチン」を一日に1回、3日間、服用するグループと偽の薬を服用するグループに分けて経過を調べました。

その結果、4週間以内に入院するか救急外来を受診した患者は「イベルメクチン」を服用したグループで14.7%、偽の薬のグループでは16.3%で、統計学的に有意な差は見られなかったということです。

また、発症から7日目での体内のウイルス量の減少や回復するまでの期間、それに死亡するリスクについても差は見られなかったとしています。

「イベルメクチン」はノーベル医学・生理学賞を受賞した北里大学の大村智特別栄誉教授の研究を元に開発された、寄生虫によって失明やリンパ管の腫れが引き起こされる病気の特効薬で、各国で新型コロナ患者に対する有効性や安全性についての研究が進められてきました。

今回の臨床試験は、患者も、投与する医師の側も「イベルメクチン」か偽の薬か分からない客観性が高い方法で行われていて、研究グループは「イベルメクチン」は新型コロナの発症後すぐに投与しても、症状が悪化して入院に至るリスクを下げる効果が認められなかったとしています。