5月分の電気代 ガス代も値上がり 電気代は過去5年間で最高水準

最近、わが家の毎月の電気料金が高くなっている気がする…。
そう思っている方も多いのではないでしょうか。

実際、大手電力会社10社のことし5月分の電気料金は比較できる過去5年間で最も高い水準となります。利用者が多い東京電力管内では去年の秋以降、上昇傾向が続いています。

私たちの生活に大きく影響する電気料金の推移や値上げの理由を調べてみました。

5月分の電気料金 過去5年間で最も高水準に

大手電力各社によりますと、ことし5月分の電気料金は10社すべてで値上がりし、比較できる過去5年間で最も高い水準となります。

これは、ウクライナ情勢の緊迫化などによる燃料のLNG=液化天然ガスや石炭などの輸入価格の上昇が主な要因で、10社の電気料金は比較できる過去5年間で最も高い水準となります。
このうち、4月分と比べて最も値上がり幅が大きいのは東京電力で、使用量が平均的な家庭の電気料金は146円上がって8505円となっています。

次いで、中部電力が138円上がって8214円。
東北電力が105円上がって8536円などとなっています。

電気料金は利用者の負担が大きくなりすぎないよう契約によっては燃料価格の上昇分を転嫁できる上限が定められていて、5月分は、北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力、沖縄電力の5社でこの上限に達しています。

一方、再生可能エネルギーの普及に向けて毎月の電気料金に上乗せされている賦課金が5月分から新年度の単価に改定されるため、上限に達した5社の料金もそれぞれ24円引き上げられます。

電気料金は原油価格が上昇傾向となっていることから、今後も高止まりが続くとみられています。

ガス料金も値上がり

ことし5月分のガス料金もLNG・液化天然ガスの価格上昇を受けて、大手4社すべてで値上がりします。

全社の値上がりは9か月連続です。

使用量が平均的な家庭で見ると、値上がり幅は4月分と比べて
東邦ガスが93円値上がりして6952円
大阪ガスが92円値上がりして6502円
東京ガスが90円値上がりして5784円
西部ガスが68円値上がりして6524円
となっています。

電気料金 この1年の推移を見ると…

最も利用者が多い東京電力管内では、使用量が平均的な家庭の去年5月分の電気料金は6822円でした。

しかし去年秋以降、上昇傾向が続き
▽去年9月分は7098円、
▽去年10月分は7238円となりました。

コロナ禍からの景気回復で世界的に原油や天然ガスの需要が増え価格が高騰したことが主な要因です。

さらに中東で石油施設の爆発や火災などが相次いだこと、そしてウクライナ情勢の緊迫化によって燃料の価格上昇が続き、
▽3月分は8244円、
▽4月分は8359円、
▽5月分は8505円と
比較できる過去5年間で最も高い料金を更新する状況が続いています。

頭を痛める「オール電化」の家庭 在宅ワークの影響も

電気料金の値上がりは家計を圧迫しています。

神奈川県厚木市に住む五味恵子さん(65)は夫と息子2人の4人家族です。

東京電力と「オール電化」の契約をしていて、電気を使って調理するIHヒーター、暖房器具や給湯器などすべてが電気で動きます。

五味さんはスマートフォンの家計簿アプリで日々の支出をやりくりしていますが、この冬は電気代の高さに頭を痛めています。
3月分の電気料金は1万3000円余り。
去年の同じ時期と比べて6000円以上支払いが増えました。

料金が上がっているうえに家族の在宅ワークが増えたことも要因です。

対策として暖房の設定温度を抑えたり、できるかぎりこたつで暖を取ったりして日頃から節電を意識しているといいますが、料金上昇分を抑えるにはいたっていません。
五味さんは「家計簿を長年付けていますが、こんなに上がったのは初めてで驚いています。電気やガソリンは必ず使うものなので、工夫するにも限界がありますが、使い方に気をつけようと思います」と話していました。

ラーメン店 電気とガス料金の支払い去年9月の1.4倍

電気料金の値上がりはラーメン店の経営にも影響を及ぼしています。

東京・新宿区の学生街にあるラーメン店です。

店内の照明のほか、チャーシューを低温で調理する機械や冷蔵庫、それに券売機などで電気を使っています。
また、麺のゆで器にはガスを使っていますが、ガス料金も値上がりしています。

営業時間中はすぐに麺をゆでられるよう一定の温度を保つため、ガスはつけっぱなしです。

近くにある2つの姉妹店と合わせた先月の電気とガスの料金の支払いは売り上げがほぼ同じだった去年9月と比べて1.4倍に増えているということです。

さらにラーメンに欠かせない麺や脂などの仕入れ価格も上昇が続いています。

このうち「豚の脂」は新型コロナ前と比べておよそ40%も高くなったことから店では先月(2月)、主力メニューの油そばの価格を20円値上げしました。

ラーメン店の北原仁店長は、「値上げされても電気は使わざるをえないのでしょうがないところがある。学生の街なのでできるだけ安く提供したいが質を下げるわけにはいかず、苦渋の決断で値上げした」と話していました。

電気料金を抑えられる業務用ブレーカーの需要増える

こうした中、山形県尾花沢市のメーカーが開発した電気料金を安く抑えられる業務用ブレーカーの需要が高まっています。

電気料金を抑えられる業務用ブレーカーを開発したのは、尾花沢市のメーカー「笑子」です。

メーカーによりますと、このブレーカーは自動制御システムを取り入れることで、電力会社と契約したキロワット数の許容範囲ぎりぎりまで活用できるようにプログラミングされています。

このため従来のブレーカーより低いキロワット数で契約することができ、電気料金を削減できるということです。

メーカーではこのブレーカーを企業にリースするビジネスを展開していて、電気料金の高値が続く中、コストを少しでも抑えたい企業からの引き合いが強まっています。

29日の時点で契約している台数は2000台余りと、去年の同じ時期の1.8倍になっているということです。
草刈健社長は「取り引き先の大半を占める中小企業では、電気代の上昇は経営へのダメージが大きい。このブレーカーを役立ててほしい」と話しています。