ロシアとウクライナが停戦交渉も東部では激しい戦闘継続か

ロシアとウクライナは29日、停戦交渉を行い、ウクライナ側はNATO=北大西洋条約機構への加盟に代わる関係国との新たな安全保障の枠組みを提案しました。
ロシア側は信頼醸成のため、首都キエフ周辺で軍事作戦を大幅に縮小すると述べたものの、東部マリウポリなどでは、引き続き、激しい戦闘が続くとみられ、ロシア側の出方に注目が集まっています。

ウクライナで激しい戦闘が続く中、ロシアとウクライナの双方の代表団による対面形式の停戦交渉がトルコのイスタンブールで29日、行われました。

ウクライナ側によりますと、NATOへの加盟に代わる新たな安全保障の枠組みについて協議が行われ、その枠組みにアメリカ、イギリス、ポーランド、トルコなどのほか、中国とロシアも含まれる可能性があるとしていて、これが受け入れられるなら、国内に外国の軍事基地を設けないなどの「中立化」に応じるとしています。

ロシア側も「会談は建設的だった」と評価したうえで、信頼醸成のためキエフ周辺などでの軍事作戦を大幅に縮小することを表明しています。

一方、ロシア国防省は東部での軍事作戦に重点を置く姿勢を示していて、これについてイギリス国防省も29日、ロシア軍は北部の戦力を東部のドネツク州とルガンスク州に展開させる可能性が高いという分析を公表しました。
ウクライナのゼレンスキー大統領も「ロシア軍は攻撃を加える態勢を維持しているので、われわれの防衛態勢も維持したままだ」と述べています。

こうした中、プーチン大統領は29日、フランスのマクロン大統領との電話での協議で「人道問題を解決するには、ウクライナの民族主義者の戦闘員が武器を置き、抵抗をやめなければならない」などと述べ、これまでの姿勢を強調しました。

停戦交渉では、双方が一定の譲歩を見せましたが、東部マリウポリなどでは、引き続き、激しい戦闘が続くとみられ、ロシア側の出方に注目が集まっています。

官房長官「停戦に結び付くか依然不透明 G7と連携」

松野官房長官は午前の記者会見で「ロシアとウクライナの双方が一定の譲歩を示し、ロシア側は首都キエフ周辺などで軍事作戦を大幅に縮小する考えを示したと承知しているが、一方で、具体的な停戦に結び付くかは依然不透明なままだ」と述べました。

そのうえで「引き続き高い関心を持って事態の推移を注視していくとともにウクライナへの各種支援を迅速かつ着実に実施していく。一刻も早くロシアの侵略をやめさせ、ロシア軍を撤退させるために国際社会が連携して強い措置をとっていくことが重要であり、今後の状況を踏まえつつG7=主要7か国と連携し適切に取り組んでいきたい」と述べました。