ウクライナ軍 負傷の兵士 前線での戦闘の状況を証言

ウクライナ東部でロシア軍の無人機による爆撃で負傷したウクライナ軍の兵士がNHKのインタビューに応じ、前線での戦闘の生々しい状況を証言しました。

ウクライナ軍のデニス・アンティポブ中尉は、28日、軍の許可を得た上でNHKとオンラインでのインタビューに応じました。

アンティポブ中尉は、空てい旅団に所属し、第2の都市、東部のハリコフで戦闘に参加していた3月9日、ロシア軍の無人機を目撃し、写真に収めていました。

その後、建物の中に避難したところ、爆撃があったということです。

その時の状況について、「すぐ近くに着弾し、その瞬間、白い光が見え、キーンという音が聞こえた。爆風で後ろに飛ばされ、意識を失った。その後、けがをしていないか手や足を触って確認した。頭を打ち、出血もした」と証言しました。

この爆撃で仲間の兵士数人が死亡したということです。

また、ロシア軍の動きについて、「首都キエフの陥落に失敗し、今は、ウクライナ南部で陸の回廊を獲得するためマリウポリで民間人に対する攻撃を行っているほか、東部にも攻撃を加えている」と話し、ウクライナの南東部で攻撃を激化させているとの見方を示しました。

その上で、「ウクライナ軍がロシア軍を後退させている場所もあれば、ウクライナ軍が防戦になっている場所もある。今後1か月以内には前線を、ウクライナの東部に固定できることを願っている」と話しました。

ロシア軍が生物・化学兵器を使用する可能性が指摘されていることについては「実際に脅威だと思っている。ロシア軍の兵士がガスマスクなどを渡されているとの話も聞いた」と話し、危機感を示しました。

アンティポブ中尉は、現在は、東部ドニプロの軍の病院に入院していますが、「子供を含む無実の市民が命を奪われ、病院や学校が破壊されている。こうした状況を前にウクライナ軍は徹底抗戦している」とした上で、「背中の痛みがなくなり、防弾チョッキを身につけることができるようになれば、前線に戻ることを望んでいる」と話しました。