ロシア軍 東部で軍事作戦強化 キエフ周辺などの長距離攻撃継続

ウクライナへの侵攻を続けるロシア軍は、親ロシア派の武装勢力が影響力を持つ東部で軍事作戦を強化する構えを見せる一方で、地上部隊の苦戦が伝えられる首都キエフ周辺などにはミサイルなどによる長距離の攻撃を続けています。

ロシアの国防省は26日、キエフ州にあるウクライナ軍の対空ミサイルシステムを短距離弾道ミサイル「イスカンデル」で攻撃したほか北西部ジトーミル州の武器弾薬庫を巡航ミサイルで破壊したと発表しました。

西部の主要都市リビウでも26日午後、複数の爆発音が聞かれ、地元当局は、「ロケット弾による攻撃で燃料施設が燃えている」と発表しました。

ロシア国防省は25日に、欧米側がウクライナに行う兵器の支援を批判し、「兵器が供給された場合には、放置することはない」としていて、一連の動きは、欧米側をけん制した可能性もあります。

また、ロシアのショイグ国防相は26日、軍幹部を集めた会議で、「前線に武器や装備の供給を継続する。優先すべきは、長距離の精密兵器や航空装備、それに戦略核戦力の戦闘態勢の維持だ」と述べました。

イギリス国防省は26日、戦況がこう着している都市部ではロシア軍は歩兵部隊による大規模な作戦に消極的で、空爆や砲撃による無差別攻撃で、ウクライナ側の士気の低下をねらっていると分析し、市民の犠牲がさらに広がるおそれがあると警告しています。

一方、ロシア軍はウクライナ東部での軍事作戦を強化する構えを示しています。

特に激しい戦闘が続いている東部の要衝マリウポリでは、すでにロシア軍が一部地域を掌握したとみられていて、アメリカのシンクタンク、「戦争研究所」は、「今後、数週間以内にロシア軍が市の全域を掌握するか、ウクライナ側が降伏する可能性がある」としています。

ウクライナ公共放送 動画投稿サイトで発信

ウクライナの公共放送は動画投稿サイト、ユーチューブで現地の状況を連日、国内外に英語で発信しています。

26日に公開された放送では、首都キエフの北にあるスラブチチにロシア軍が侵攻し、病院を占拠したほか、市長を一時、拘束したということです。

これに対して大勢の市民が広場に集まり大きなウクライナの旗を掲げながらデモ行進を行うなどしてロシア軍に抗議し、市長は解放されたということです。

また、東部ハリコフ州では25日、ロシア軍によってガスのパイプラインが破壊され火が出たということです。映像では、町の中でも大きな火柱が出て消防隊が消火活動をしている様子が映っています。また、ハリコフの動物園では、8頭のカンガルーを車に乗せて避難させる様子も伝えています。

動物園によりますと、これまでに大型のカメなどは避難させたということですが、攻撃が続く中で2頭のカンガルーが死んだということです。