東京など桜満開か コロナ禍3年目のお花見 “制限緩和”も

27日は東京や福岡などで桜の満開が予想されています。コロナ禍3年目の花見シーズンについて全国の主な公園など40か所の対応を取材したところ、少人数での飲酒を認めるなど、3分の1では去年に比べて制限を緩和したことがわかりました。

民間の気象会社によりますと27日の日曜日には東京の都心や高知、福岡で桜の満開が予想され、新型コロナ対策のまん延防止等重点措置がすべて解除される中で花見シーズンを迎えます。

厚生労働省の専門家会合の専門家は、家族で弁当を食べながらの花見などはリスクが低いとする一方、大声を出すことや長時間の飲酒を避けるなど、感染対策の徹底を呼びかけています。

NHKは例年20万人以上が訪れ、全国各地の桜の名所として知られる公園など40か所を管理する自治体などに、花見シーズンに来場者の飲食を制限するか対応を尋ねました。

食事については少人数、短時間などの条件付きも含めて認めているのが35か所、自粛を求めているのが5か所でした。
飲酒については、条件付きで認めているのが23か所、自粛を求めているのが17か所でした。

ただ飲酒を認める場所でも、大人数での宴会の自粛を求めています。

また去年と比較したところ、神奈川県立の公園が感染対策を徹底したうえで食事や飲酒を認めるなど、制限を緩和したところが14か所あり、全体の35%を占めました。

一方、コロナ禍前に300万人以上が訪れていた東京の上野公園など5か所は、飲酒だけでなく食事も禁止するなど厳しい対応を継続し、判断が分かれています。

管理者からは、「可能な範囲で花見ができるようにしてほしいと要望があり、立ち入り制限の範囲を縮小した」とか、「花見シーズンの混雑やマスク会食が徹底されない可能性を考えると、食事の禁止もやむをえない」という声が上がっていました。

ソメイヨシノの満開の予想は?

24日に発表されたソメイヨシノの開花予想では、次の場所で27日に満開になると予想されています。

▽東京都心
▽高知市
▽福岡市

そのほかの満開の予想日です。

▽広島市は今月29日
▽鹿児島市と名古屋市は今月30日
▽大阪市は今月31日
▽仙台市は4月9日
▽新潟市は4月10日
▽札幌市は4月29日など

満開の時期は、九州から東北では平年より早く、北海道ではかなり早い予想となっています。

神奈川県 3年ぶりに公園での飲食を認める

神奈川県は県が管理する公園での花見客の飲食について、感染対策を呼びかけたうえで3年ぶりに認めることにしました。

神奈川県が管理する32の公園では、去年とおととし、新型コロナの感染拡大を受けて飲食の自粛が呼びかけられましたが、ことしはまん延防止等重点措置の解除を受け、食事や飲酒を認めています。
このうちおよそ1600本の桜がある横浜市鶴見区の三ツ池公園では、出入り口や花見客が集まりやすい場所に、飲食の際には短時間、少人数で、マスクをつけることを呼びかける貼り紙が掲示されています。

さらにスタッフが公園内を巡回し、飲食が数時間に及んだり、大声を出したりする場合には注意することにしています。

訪れていた60代の男性は「まだまだ油断はできない一方で、ずっと厳しく制限しておくわけにもいかないと思う」と話していました。

またもうすぐ1歳の息子を連れた20代の女性は「飲食をしながら花見をできるほうがうれしい。お酒が好きな人も節度を保って楽しめればいい」と話していました。

公園の管理会社の内山堅さんは「まん延防止等重点措置の解除がちょうど桜がきれいに咲く時期と一致したので、節度をもってお花見を楽しんでもらいたい」と話していました。

上野公園は3年連続で飲食認めず

全国有数の花見の名所、東京 台東区の上野公園は、3年連続で花見客の食事や飲酒を認めていません。

24日はおよそ800本の桜が満開に近づき昼間でも大勢の花見客がいましたが、訪れた人たちはマスクをして飲食をしている人たちは見当たりませんでした。
例年花見客がシートを広げて宴会をする場所には立ち入りできないよう囲いが設けられ、路上には「シートを敷いての宴席はご遠慮ください」と記した貼り紙がはられていました。

花見に訪れた20代の女性は「2週間前から計画してパンを買ってきてレジャーシートも持ってきましたが残念です。歩きながら純粋に花を楽しもうと思います」と話していました。

上野公園を管轄する東京都公園課は「花見の時期は通常とは比較にならないほど来園者で混雑し感染リスクが高まるので、花見の時期に限って特別な対策をしている。飲食を伴わない花見を楽しんでほしい」としています。

専門家「大勢で集まるのは注意が必要」

花見の注意点について、厚生労働省の専門家会合のメンバーで国際医療福祉大学の和田耕治教授は「できるだけ少人数、短時間でという飲食店で求められているルールも参考にしながら、できることを増やしていく必要がある。歩きながら花見をするだけなら感染が広がることはないし、ふだんから一緒に生活している家族などであれば、弁当を広げて食事することに制限は必要ない。一方で、飲酒や大勢で集まることには感染リスクがあるため、やはり注意が必要だ」と話しています。

また、花見だけでなく新年度の前後で増える飲食の機会については、「会合の頻度について考えてもらうことが重要だ。オミクロン株の潜伏期間は2日から3日なので、会合で感染した場合には2日から3日程度で症状が出てくる。体調を確認しながら、期間をあけて週に1、2回ならいいが、頻度が多くなったり、毎回メンバーを変えたりすると感染を広げる可能性が高まる。仮にせきやのどの痛み、発熱などの症状が出れば、1週間程度はウイルスが残っているので、飲食の場に行かないことは徹底してほしい」と話しています。