米国防総省高官 “ロシア軍 ウクライナ東部地域で作戦を強化”

アメリカ国防総省の高官は25日、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシア軍について、首都キエフに向けて前進する兆候が見られないとしたうえで、親ロシア派の武装勢力が影響力を持つ東部地域で軍事作戦を強化しているとの見方を示しました。

それによりますと、首都キエフに迫っていたロシア軍の地上部隊はいずれも前進が見られず、最も近い部隊は北西方向におよそ15キロから20キロの位置にとどまっているとしています。

また、北東方向におよそ55キロの位置にまで後退した部隊もその後、動きがみられないということです。

この高官は、ロシア軍がキエフに対して遠距離からの砲撃や空爆などを続けているものの、地上部隊が前進しようとしている兆候がなく「率直に言って、少なくとも今の時点ではキエフ制圧を求めるつもりがないようだ」と指摘しました。

一方この高官は、ロシア軍が親ロシア派の武装勢力が影響力を持つ東部地域での軍事作戦をより優先して、攻撃を強化しているとの認識を示しました。

この地域では、地上での激しい戦闘や集中的な空爆が行われていて、この高官はウクライナ側との停戦交渉で、より実質的な利益を確保できるようにすることなどがねらいだと指摘しました。

そのうえで「ロシア軍はキエフなどの制圧に向けた自分たちの能力を過大評価し、ウクライナ側の抵抗を過小評価していたのは明らかで、情報分析の失敗に直面しているのは間違いない」と述べました。

一方、ロシア軍が戦力を強化するため、ジョージアの一部地域に駐留するロシア軍部隊をウクライナに投入する兆候が見られると明らかにしました。

ジョージアには、一方的に独立を宣言している親ロシア勢力の地域があり、ロシア軍が部隊を駐留させています。

アメリカ国防総省の分析では、ロシア軍はウクライナ側との戦闘による損失などで、当初の戦力の85%から90%程度になっていて、ウクライナ国外から戦力を補充するねらいがあるものとみられます。