【随時更新】ロシア ウクライナに軍事侵攻(26日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻の開始から1か月余りとなります。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる26日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

米とウクライナ 外務・防衛担当閣僚ら軍事支援の在り方協議

アメリカのブリンケン国務長官とオースティン国防長官、それにウクライナのクレバ外相とレズニコフ国防相による閣僚協議は26日、日本時間の26日夜、ウクライナの隣国ポーランドで行われました。協議は予告なく行われ、アメリカのバイデン大統領も協議の一部に参加しました。

ホワイトハウスなどによりますとバイデン大統領は、今週行われたNATO=北大西洋条約機構の首脳会議に触れ、アメリカが、ウクライナを支援するため、世界をどのように結束させようとしているのか説明したということです。

また、双方は、アメリカのウクライナに対するさらなる軍事支援の在り方について意見を交わしたとしています。

アメリカとウクライナの外務・防衛担当閣僚協議開始

ウクライナの隣国ポーランドで、アメリカとウクライナの外務・防衛担当の閣僚協議が行われています。

ロシアによる軍事侵攻が始まって以降、両国の主要2閣僚が直接協議するのは初めてで、アメリカによる軍事支援の在り方などについて意見が交わされているものと見られます。

ホワイトハウスによりますと、アメリカのブリンケン国務長官とオースティン国防長官、それにウクライナのクレバ外相とレズニコフ国防相による閣僚協議は26日午前、日本時間の26日夜、ウクライナの隣国ポーランドで始まりました。この協議には、バイデン大統領も一部参加しています。

ロシア ショイグ国防相「優先は戦略核戦力の戦闘態勢維持」

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアのショイグ国防相は26日、ゲラシモフ参謀総長を含む軍幹部を集めた会議を開きました。

およそ2週間ぶりに公の場で発言したショイグ国防相は「われわれは前線に武器や装備の供給を継続する。優先すべきは、長距離の精密兵器や航空装備、それに戦略核戦力の戦闘態勢の維持だ」と述べ、戦略核部隊の特別警戒態勢などを維持するよう指示しました。

また、プーチン大統領はこの日、退役軍人に関する改正法案に署名し、かつてのアフガニスタン侵攻やチェチェン紛争などと同じように、ウクライナでの戦闘への参加者に社会的な優遇措置を受けられる権利を与えたり、戦死者の遺族に見舞い金を給付したりすることを可能にしました。

軍事侵攻が長期化し、ロシア軍の人的被害が増えて苦戦が伝えられる中、えん戦気分や反戦の広がりを抑えたい思惑もうかがえます。

ウクライナ首都キエフ 外出禁止令撤回

ウクライナの首都キエフのクリチコ市長は26日午後、地元のテレビ局に対し、「ウクライナ軍からの新しい情報で日中の外出禁止令は行わないことになった」と述べました。

クリチコ市長は当初、みずからのSNSに投稿し、現地時間の26日夜から28日朝まで外出禁止令を出すとしていましたが、これを撤回した形です。

ウクライナ首都キエフ 外出禁止令再び強化

ウクライナの首都キエフのクリチコ市長はSNSで「ウクライナ軍の決定で外出禁止令が再び強化される」と投稿し、現地時間の26日午後8時から28日午前7時にかけて、キエフに再び外出禁止令を出すことを明らかにしました。

クリチコ市長は外出禁止令の期間中はキエフにある公共交通機関や薬局、それにガソリンスタンドなどは利用できなくなるとしています。

キエフでは、これまで現地時間の今月15日から17日にかけてと21日から23日にかけての2回にわたり、それぞれ35時間の外出禁止令が出されました。

ゼレンスキー大統領 カタールへ「エネルギー増産を」

ウクライナのゼレンスキー大統領は中東カタールで開かれた国際会議でオンライン形式で演説し、「ロシアがエネルギーを武器に世界を脅すことができないと分からせるためエネルギーの生産量を増やしてほしい」と述べました。

中東のエネルギー資源国を念頭にヨーロッパなど各国がロシアへのエネルギー依存度を引き下げるため増産の協力を求めたかたちです。

またゼレンスキー大統領は演説で「神聖な断食月=ラマダンの期間中にウクライナの人々が苦しまないようにしなければならない」と述べました。

イスラム諸国では来月、断食月が始まる見通しでイスラム諸国からの支援を求めるねらいがあると見られます。

バイデン大統領 ウクライナ外相と面会へ

アメリカのホワイトハウスは、ウクライナの隣国ポーランドを訪れているバイデン大統領が26日、現地でウクライナのクレバ外相などと面会すると発表しました。
バイデン大統領がこの日現地で行われる、アメリカのブリンケン国務長官とオースティン国防長官、それにウクライナのクレバ外相とレズニコフ国防相の外務・防衛の閣僚協議の場に立ち寄るとしています。

ウクライナ副首相 “各地の市長ら14人が拉致”

ウクライナのベレシチュク副首相は24日に行った記者会見で、南東部ザポリージャ州のドニプロルドネの市長や、南部ヘルソン州のベリスラフの市長、それに別の都市の副市長や地方議員ら合わせて14人がロシア軍に拉致されていると発表しました。

ロシア軍が侵攻した地域ではこれまで各地の市長らがロシア軍に連れ去られたという報告が相次いでいて、今回ベレシチュク副首相が全体状況をまとめて発表した形です。
ベレシチュク副首相は「拉致されて無事に逃げ出した人からは『ロシア軍が拷問を行っていた』という報告を受けている」と述べて、ロシア軍を強く非難しました。

「少なくとも子ども136人が死亡」ウクライナ検察当局

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻で犠牲になる子どもが増え続けていて、ウクライナの検察当局は26日の時点で、少なくとも136人の子どもが死亡し、199人がけがをしたと発表しました。

被害を受けた子どもが最も多いのはキエフ州で64人、次いで東部のドネツク州で50人、東部のハリコフ州で44人、北部のチェルニヒウ州で38人などとなっています。

また、爆撃や砲撃で被害を受けた学校などの教育施設は570に上り、このうち73の施設は完全に破壊されたということです。

ゼレンスキー大統領「この1週間、敵に強力な打撃を与えた」

ウクライナのゼレンスキー大統領は、25日に公開した動画で「この1週間、私たちの勇敢な軍隊は、敵に強力な打撃を与えた。著しい損失だと思う」と述べ、ウクライナ軍がロシア軍に反撃できていると強調しました。

一方、ロシア軍が攻勢を強める東部マリウポリについて「2万6477人の住民が『人道回廊』と呼ばれる避難ルートを使って、南東部のザポリージャになんとか避難できた。ただ依然として悲劇的な状況が続いている。ロシア軍は私たちに人道的な援助をさせてくれない」と指摘し、ロシア側の対応を批判しました。

そのうえで「私たちは意義がある形で、かつ緊急に、そして、公平に話さなければならない。それは結果を出すためであり、時間をむだにするためではない」と述べ、ロシア側に対話の必要性を訴えました。

マリウポリに複数の集団墓地 200人埋葬も 国連

ロシア軍が攻勢を強めるウクライナ東部マリウポリの市民の被害について、現地の人権状況を監視する国連の代表は25日に開いた会見で、衛星写真の分析から複数の集団墓地が確認されたとしたうえで「このうちの1つにはおよそ200人が埋葬されているとみられる」と述べました。
ただ埋葬されているのが兵士なのか民間人なのかは判別できないということです。
国連は今月24日までに、ウクライナで少なくとも1081人の市民が死亡したと発表していますが、激しい戦闘が続くマリウポリなどでは確認が取れておらず、実際の犠牲者の数はこれよりはるかに多いとしています。

中国とインド 外相会談 即時停戦の重要性で一致

中国の王毅外相は25日、訪問先のインドの首都ニューデリーでジャイシャンカル外相と会談しました。両外相の対面での会談は、2020年6月に係争地帯のインド北部ラダック地方で双方の軍に死傷者が出る衝突が起きて以降、初めてです。
会談では、ウクライナ情勢について意見が交わされ、インド外務省によりますと、両外相は即時停戦や外交と対話に戻ることの重要性で一致しました。

モルドバ 国連機関などが避難者に生活費支給開始

ウクライナの隣国モルドバでは、戦禍を逃れてきた人たちの生活を支援するため国連機関などが現金を支給する活動を始めました。
UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のまとめによりますと、ウクライナからモルドバに逃れてきた人たちは、24日の時点で人口の1割以上に相当するおよそ37万人に上っています。避難生活が長期化する中、UNHCRや国際NGOなどは人々の生活費を支援するため1人あたり120ドル、日本円にして1万4000円あまりを支給する活動を始めました。

プーチン大統領 一層厳しい言論・情報統制

ロシアのプーチン大統領は25日、誤った情報を拡散した個人や団体に罰則を科すとする追加の法案に署名し、情報の対象がロシア軍についてだけでなく、海外で活動するロシアの政府機関に拡大されました。
ロシアでは今月、軍の活動について意図的に誤った情報を拡散したとみなした場合に、最高で懲役、もしくは禁錮15年を科すなどとする法律が成立しています。
今回、その対象がロシア軍についての情報だけでなく、大使館など海外で活動するロシアの政府機関に拡大されました。
プーチン政権はウクライナへの軍事侵攻に反対する声が広がらないよう神経をとがらせていて、厳しく言論統制し、圧力に屈せず、批判し続ける人々を徹底して封じ込めるねらいがあるものと見られます。

マリウポリ 破壊された劇場 推計300人死亡 600人救出か

ウクライナ東部のマリウポリで16日に破壊された劇場について、ロイター通信などはマリウポリ市幹部の話として当時、避難していたのはおよそ900人で、300人が亡くなり、600人が救出されたとする推計を伝えました。
現状では、警察や医療関係者などの手で死者の確認を行うのは不可能だったため、劇場に避難していた人や出入りした人の記録、それに目撃者の話から計算したとしていて、被害の正確な実態は今も明らかになっていません。

米国防総省高官 “ロシア軍 東部地域での軍事作戦を強化”

アメリカ国防総省の高官は25日、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシア軍について、首都キエフに向けて前進する兆候が見られないとしたうえで、親ロシア派の武装勢力が影響力を持つ東部地域で軍事作戦を強化しているとの見方を示しました。
この地域では、地上での激しい戦闘や集中的な空爆が行われていて、この高官はウクライナ側との停戦交渉で、より実質的な利益を確保できるようにすることなどがねらいだと指摘しました。
一方、ロシア軍が戦力を強化するため、ジョージアの一部地域に駐留するロシア軍部隊をウクライナに投入する兆候が見られると明らかにしました。

仏 マクロン大統領 マリウポリからの市民避難 支援の方針

フランスのマクロン大統領は25日、ロシア軍が攻勢を強めているウクライナ東部の要衝、マリウポリから市民の避難を支援する人道的な作戦をトルコ、ギリシャとともに行う方針を明らかにしました。
今後、48時間から72時間以内にプーチン大統領とも会談を行って詳細を詰めたいとしています。
マクロン大統領は「数日後には実行できるように態勢を整えているところだ。最も緊急を要することであり、私たちの義務だ」と述べ、できるだけ早く実現したいという考えを示しました。

“新たな安全保障の枠組み” 依然として隔たり

ロシアとウクライナの停戦に向けて仲介役を担うトルコのエルドアン大統領は25日、地元の記者団に対して、ウクライナが求めている新たな安全保障の枠組みなどで双方が合意に近づいているという認識を示しました。
これに対しウクライナのクレバ外相はトルコの外交努力に謝意を示しつつも「現状を客観的に評価することも重要だ。ロシアとの意見の一致はない」として、エルドアン大統領の発言を否定しました。
ロシアとウクライナ双方の立場に、依然として隔たりがあると強調したかたちです。

ドイツ政府 年内にロシア産の石油・石炭から脱却目指す

ウクライナに対する軍事侵攻を受け、ロシアへのエネルギー依存からの脱却を目指すドイツ政府は、石油の輸入について、ことし中にほぼなくすことを目指すという方針を明らかにしました。
25日に記者会見したドイツのハーベック経済・気候保護相は、ロシアからのエネルギーの輸入を減らし、調達先の多角化を全力で進めていると強調しました。
そのうえで石油については、企業が調達先を切り替えたり、ロシアとの契約の更新を見送ったりしていて、輸入に占めるロシア産の割合が、現在の35%から向こう数週間でおよそ25%に下がるとしています。
そのうえで、年内にはほぼなくすことを目指すとしています。
また石炭も、調達先の変更などでロシア産の割合が減少していて、ことしの秋には、依存からおおむね脱却できる見通しだとしています。

欧米大手格付け会社3社 ロシアの国や企業の格付け取り下げる方針

欧米の大手格付け会社3社は、EU=ヨーロッパ連合によるロシアへの制裁に対応するため、ロシアの国や企業に対する格付けを取り下げる方針を明らかにしました。
「S&Pグローバル・レーティング」と「フィッチ・レーティングス」、そして「ムーディーズ」の3社が25日までに発表しました。
EUは今月15日、経済制裁の一環としてロシアやロシアの企業に対する格付けを禁止する方針を発表し、来月15日より前に格付けを取り下げるよう求めていて、各社がこれに対応しました。
3社はこれまでに、ロシア国債の格付けについて厳しい経済制裁を受け、通貨ルーブルが下落するなど大きな影響が出ているとして、デフォルト=債務不履行に近い水準まで引き下げていました。
3社の格付けは、世界の投資家が国債や社債に投資する際、信用力を判断するための参考にされるため、格付けが取り下げられることで、ロシアへの投資環境はさらに厳しくなると指摘されています。

ロシア国防相の動静に関心集まる

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシア軍の苦戦が伝えられる中、ロシアのプーチン大統領の側近、ショイグ国防相の動静に関心が集まっています。
ショイグ国防相は今月11日に開かれた安全保障会議で、プーチン大統領に戦況に関する報告を行ったあと、メディアの前に姿を見せていませんでした。
その後、24日になってロシア大統領府は、プーチン大統領とショイグ国防相を含む複数の閣僚が、モニター越しで会議を行っているとする1枚の画像を掲載したうえで、国防相が戦況などを報告したと伝えました。
こうした中、ロシア大統領府のペスコフ報道官は24日、国営の通信社などに対して「ショイグ国防相は多忙を極めていて、メディアに対応する時間がないだけだ」と述べ、ウクライナでの軍事作戦の指揮をとるなど公務を続けているとしています。

ウクライナ公共放送が伝える戦況

25日の放送では、地元当局の情報として、この日、東部ハリコフの診療所に設けられた人道支援の拠点がロシア軍による爆撃を受け、4人が死亡し、7人がけがをしたと伝えています。
ハリコフでは、前日の24日にも郵便局の近くに設けられた人道支援拠点がミサイル攻撃を受け、6人が死亡し17人がけがをしたとしています。
24日の攻撃の瞬間とされる映像には、駐車場にできた人の列からわずかに離れた場所で突然黒い煙が上がり、人々が逃げていく様子がとらえられています。
また、北部のチェルニヒウでは連日の空爆で病院や幼稚園、学校などに被害が及んでいるほか、橋も破壊され住民の移動に影響が出ているということです。
このほか中部のカリニフカでは、24日に石油の貯蔵施設が爆撃を受け、死傷者の数などはまだ明らかになっていないとしています。

国連機関「これまでに 少なくとも1081人の市民が死亡」

国連人権高等弁務官事務所は、ロシアによる軍事侵攻が始まった先月24日から今月24日までに、ウクライナで少なくとも1081人の市民が死亡したと発表しました。このうち93人は子どもだということです。
亡くなった人のうち、344人が東部のドネツク州とルガンスク州で、737人はキエフ州や東部のハリコフ州、北部のチェルニヒウ州、南部のヘルソン州など各地で確認されています。多くの人たちは砲撃やミサイル、空爆などによって命を落としたということです。
また、けがをした人は1707人に上るということです。
今回の発表には、ロシア軍の激しい攻撃を受けている東部マリウポリなどの確認が取れていない犠牲者の数は含まれておらず、国連人権高等弁務官事務所は実際の数はこれよりはるかに多いとしています。