NATO首脳会議始まる ウクライナへさらなる軍事支援など協議か

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まって1か月となる24日、G7=主要7か国やNATO=北大西洋条約機構などはベルギーの首都ブリュッセルで相次いで首脳会議を行います。このうちNATOの首脳会議が日本時間の午後6時すぎから始まり、ウクライナへのさらなる軍事支援などを巡って協議しているとみられます。

NATOの首脳会議は、アメリカのバイデン大統領など加盟30か国の首脳が出席して、日本時間の午後6時すぎからブリュッセルにある本部で始まりました。

会議の冒頭、ストルテンベルグ事務総長は「われわれの安全保障にとって非常に重要なときだ。われわれは結束してロシアによる不当な軍事侵攻を非難し、ウクライナの主権と領土の一体性を支えていく」と述べ、ロシアの脅威に結束して対抗する姿勢を強調しました。

首脳会議には、ウクライナのゼレンスキー大統領もオンラインで一部、参加してさらなる軍事支援を求めるとみられます。

首脳らは、ロシアがウクライナで生物・化学兵器などを使用するおそれもあるとして、そうした事態にも備えたさらなる軍事支援について協議しているとみられます。

またロシアなどと国境を接するヨーロッパ東部の防衛態勢の強化についても協議し、ルーマニアやスロバキアなど4か国にNATOの多国籍部隊を配置したことも確認するとみられます。

欧米各国の首脳らは、NATOの会議に続いて24日、G7の首脳会議も開く予定で、一連の会議で強固な結束を示し、ロシアへの圧力を一段と強めたい考えです。

NATO 対ウクライナの立場は

NATO=北大西洋条約機構は、ロシアが一方的にウクライナ南部のクリミアを併合した2014年以降、ウクライナに対する支援を強化してきました。

ウクライナ軍に対して訓練や資金面の支援を行ったり、一部の加盟国が兵器を供与したりして、ウクライナが自衛する能力を高めてきたとしています。

一方、ウクライナは、NATOの加盟国ではないため、加盟国が1国でも攻撃を受けた場合、加盟国全体への攻撃とみなして反撃などの対応をとる、集団的自衛権の行使を定めた北大西洋条約の第5条は適用されません。

このためNATOは、ウクライナに対する支援を強化すると表明する一方で、NATO加盟国の部隊をウクライナに派遣したり、ウクライナが求めた飛行禁止区域を設定したりすることは明確に否定しています。

ストルテンベルグ事務総長は今月16日の会見で、「NATOが行動を起こせばロシアとの全面的な戦争となり事態がさらに悪化するおそれがある。われわれの責務は紛争をウクライナの外に拡大することではなくそれを防ぐことだ」と強調しています。

また、ロシアが仮にウクライナで化学兵器を使用した場合の対応についても、ストルテンベルグ事務総長は今月15日、「軍事的にどう対応するのか憶測はしない。言えるのは、NATOの主な責務は加盟国を守るということだ」と述べるにとどめています。

こうしたNATOの姿勢に対してウクライナのゼレンスキー大統領は、批判的な立場をとるとともにNATOや欧米に対していっそうの支援を求めています。

NATOが飛行禁止区域の設定に否定的な考えを示したことについては今月4日、「新たな攻撃や犠牲が避けられないことを知っているにもかかわらず、意図的に上空を閉鎖しないことを決め、ウクライナへのさらなる爆撃を許可した」と述べ、批判しました。