米 「ロシア軍 戦争犯罪行った」と声明 責任追及する考え強調

アメリカのブリンケン国務長官は23日、声明を発表し、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシア軍について「戦争犯罪を行った」として、アメリカ政府として公式に戦争犯罪と見なすことを明らかにしました。

声明では「無差別攻撃や市民を意図的に標的にした攻撃について、信頼に足る多くの報告がある」としたうえで、公開情報や情報機関の分析などを検討した結果だとしています。

ロシア軍による侵攻をめぐってはオランダ・ハーグにある国際刑事裁判所が、ウクライナで行われた疑いのある戦争犯罪や人道に対する罪について、各国の要請を受け捜査を進めています。

こうした中、アメリカはこれまでバイデン大統領がプーチン大統領について「戦争犯罪人だ」と厳しく非難したほか、ブリンケン長官も「個人的には同意する」と述べ、調査していることを明らかにしていました。

声明の中で、ブリンケン長官は「アメリカ政府は戦争犯罪の追跡調査を続け、同盟国や友好国、国際機関と適切に情報を共有する。あらゆる手段を用いて責任を追及していく」として、国際社会と連携しロシア軍の責任を追及していく考えを強調しました。

ロシア外務省 米政府外交官の国外追放処分を発表

ロシア外務省は23日、モスクワのアメリカ大使館に対し、アメリカ政府の外交官を国外追放にする処分を言い渡したと発表しました。

追放する外交官の人数は明らかにしていませんが、処分の理由として、アメリカ政府が先月28日、ニューヨークにあるロシアの国連代表部に勤務する外交官が「諜報活動を行った」として12人の国外追放の処分を発表したことなどへの対抗措置だとしています。

そのうえで、ロシア外務省は「ロシアに対する敵対的な行動は、断固とした適切な対応で臨むと厳しく警告した」としています。

一方、アメリカ国務省のプライス報道官は23日の記者会見で「特に、緊張が高まっている時や紛争の時、意思疎通のルートを開いておくことは不可欠だ。もし、さらに人員が制限されることになれば、現地のアメリカ大使館の業務を継続させるのが難しくなる」と述べ、懸念を示しました。

官房長官「国際刑事裁判所の捜査など展開注視」

松野官房長官は、午前の記者会見で「わが国はウクライナで多くの市民が犠牲になっていることを極めて深刻に受け止めている。今月2日の国連総会決議はすべての国際人道法の違反を非難し、今月4日のG7=主要7か国の外相会合共同声明は、戦争犯罪の責任を問うとしている」と述べました。

そのうえで「わが国は、ウクライナでロシアにより戦争犯罪が行われたと考えることを理由に、ICC=国際刑事裁判所に付託した。ICC検察官による捜査や事態の展開を注視していく」と述べました。