ゼレンスキー大統領 国会で演説「侵略の“津波”止めて」

ウクライナのゼレンスキー大統領は23日夜、日本の国会でオンライン形式の演説を行い、ロシア軍の侵攻を受けたウクライナの惨状を訴えたうえで、「侵略の“津波”を止めるためにロシアとの貿易を禁止しなければならない」と述べ、ロシアに対する制裁の継続を呼びかけました。

ウクライナのゼレンスキー大統領は23日午後6時から国会でオンライン形式の演説を行いました。

この中でゼレンスキー大統領は「日本とウクライナがお互いの自由を望む気持ちに違いはありません。日本がすぐにウクライナへの援助の手を差し伸べてくれたことに心から感謝しています」と述べました。

そのうえでロシアがウクライナの原発を攻撃したことについて「ロシアはチェルノブイリ原発を戦場にしました。被害を調査するにはロシア軍が撤退してから何年もかかるでしょう」と述べました。

そして「ウクライナではすでに数千人が犠牲になり、そのうち121人は子どもです」と述べ、多くの市民が命を落としているウクライナの惨状を理解してほしいと訴えました。

また「ロシアがサリンなどの化学兵器を使った攻撃をする可能性があると警告を受けています。もしロシアが核兵器が使用した場合、どのような対応をすべきか世界の政治家たちが議論すべき大きな課題です」と述べ、ロシアが大量破壊兵器を使用することに強い危機感を示しました。

そしてゼレンスキー大統領は「日本はアジアで初めて平和を取り戻すためロシアに圧力をかけてくれた」と日本の対応を評価したうえで、「侵略の“津波”を止めるためにロシアとの貿易を禁止し、ロシア市場から企業を撤退させなければなりません」と述べ、ロシアに対する制裁の継続を呼びかけました。

フランスでも演説「自由 平等 友愛の精神でリーダーシップ期待」

ゼレンスキー大統領は、日本を含めた各国の議会で演説を行っていて、23日はフランス議会でオンライン形式の演説を行いました。

この中でゼレンスキー大統領は、ロシア軍が住宅地や病院、学校などを無差別に攻撃していると非難しました。

そのうえでフランスの理念を表した「自由、平等、友愛」を引きあいに「あなたたちは自由、平等、友愛とは何かを知っている。ロシアが平和を求め、この精神に反する戦争をやめるよう、フランスのリーダーシップを期待している」と述べました。

このほかゼレンスキー大統領は大手自動車メーカー、ルノーなど、ロシアで事業を継続しているフランス企業を名指ししたうえで「ロシアの市場から直ちに撤退すべきだ。ロシアの戦争に加担し、子どもや女性たちを殺害するための資金援助を止めるべきだ」と述べ、ロシア事業からの完全な撤退を求めました。