新型コロナ 厚労省専門家会合「減少続くも感染対策継続 必要」

新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が開かれ、全国の新規感染者数は1か月以上緩やかな減少が続いているものの、今は「平時への移行期間」だとして、引き続きワクチン接種を前倒しすることや基本的な感染対策を続けることが必要だとしています。

専門家会合は全国の感染状況について、すべての年代で減少が続いているものの、新規感染者数に占める10代以下の割合は増加傾向が続き依然として高い水準にあるほか、高齢者では介護福祉施設や医療機関での感染が続いているとしています。

また、去年夏以降の第5波の時期とは異なり減少のスピードは緩やかで、今後、感染力がより高いと指摘される「BA.2」と呼ばれる系統のウイルスに置き換わって再び増加に転じる可能性があり、まん延防止等重点措置が解除されたことや、春休みや年度替わりの時期で人との接触機会が増えることにも注意が必要だとしています。

このため、専門家会合はしばらくの間は「平時への移行期間である」との認識に立って、重点措置がすべて解除されても新規感染者数は去年夏のピークよりも高い状態が続いていることを踏まえ、基本的な感染対策を徹底して、できるだけ感染者数の減少を継続させることが必要だとしました。

また、具体的な対応として専門家会合は、高齢者を中心とする重症者や死亡者を最小限にして感染状況を減少に向かわせるため、高齢者だけでなく、65歳未満への接種もできるだけ前倒しして行うよう求めました。

そして、春休みや花見、入学式、入社や入学の際の移動や研修など、多くの人が集まる機会が増える年度末から年度初めに向け、▽1つの密でも避け、外出の際には混雑した場所や感染リスクの高い場面を避けることや、▽軽い発熱やけん怠感など少しでも体調が悪ければ外出を控えること、▽不織布マスクの正しい着用や手指の消毒、換気といった感染対策を徹底することが必要だと強調しました。

1週間の全国新規感染者数 前の週の0.79倍

厚生労働省の専門家会合で示された資料によりますと、22日までの1週間の新規感染者数は、全国では前の週と比べて0.79倍となりました。

全国では先月中旬以降、1か月余り減少傾向が続いています。

今月21日にまん延防止等重点措置が解除された地域のうち、首都圏の1都3県では
▽東京都と千葉県で0.81倍、
▽神奈川県で0.76倍、
▽埼玉県で0.91倍、

関西では
▽大阪府で0.66倍、
▽京都府で0.73倍、
▽兵庫県で0.71倍、

東海では
▽愛知県で0.72倍、
▽岐阜県で0.73倍と減少しています。

また、
▽北海道で0.95倍、
▽青森県で0.96倍、
▽茨城県で0.98倍、
▽栃木県で0.90倍、
▽群馬県で0.88倍、
▽石川県で0.79倍、
▽静岡県で0.81倍、
▽香川県で0.78倍、
▽熊本県で0.63倍と、重点措置が解除されたすべての地域で横ばいから減少となっています。

現在の感染状況を人口10万当たりの直近1週間の感染者数でみると
▽東京都が最も多く340.56人、次いで
▽茨城県が337.53人、
▽埼玉県が322.27人、
▽神奈川県が321.68人、
▽沖縄県が290.84人などとなっていて、
▽全国では231.81人となっています。

脇田座長「リバウンドが起きる可能性 考えておく必要」

厚生労働省の専門家会合のあと開かれた記者会見で、脇田隆字座長は今後の感染の見通しについて、「ヨーロッパでは感染のリバウンドが起きていて、日本でもリバウンドが起きる可能性について十分に考えておく必要があるという議論があった。要因としては、ワクチンの効果などが減衰することやまん延防止等重点措置が終わったことで接触が増える可能性、それに東アジアでの感染拡大の影響もあると思う。リバウンドが起きた際に重点措置や緊急事態宣言などの強い対策がどういう時に、どういう内容でとれるのかをしっかりと話し合っておく必要があるということも議論になった」と述べました。

また、高齢者が原則入院となっていることについて「オミクロン株の流行では高齢者の入院が非常に増え、原則入院とされているが、入院してしまうと退院後に入院前の暮らしを再開することが困難な場合がある。入院治療も大切だが、よりケアを重視した療養場所の選択や介護の充実に向けた対応が必要だという議論があった。今後、具体的な課題やポイントを議論していくことになった」と述べました。

さらに、ワクチンの4回目接種については「3回目の接種の効果が一定の期間がたつと低減することはすでに報告されている。基礎疾患がある人や高齢者など重症化リスクのある人への4回目接種はおそらく必要になるのではないかと想定している。海外のデータをしっかりと集めて必要性を検討することになるが、3回目よりは接種間隔が短くなる可能性もあるので、間に合うように準備も促す必要もある」と述べました。

また、これから花見のシーズンを迎えることについては「家族で体調を確認しながら弁当を食べるのであれば、普通に考えてリスクが高い行動とは思えない。ただ、花見だとお酒も入って長時間になることがあるかもしれず、どこにリスクがあるのか考えることが大切だ」と述べました。