「同僚の安否分からず」ウクライナ マリウポリの劇場 元演出家

ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナで、今月16日に破壊された東部マリウポリの劇場に先月まで勤務していた女性が「いまだに同僚たちの安否が分からない」などと苦しい胸の内を明かしました。

マリウポリでは今月16日、避難所となっていた劇場が破壊され、ゼレンスキー大統領は「これまでに130人以上が救助されたと聞くが、いまだに数百人ががれきの下にいる」と述べているものの、被害の全容はいまだに明らかになっていません。

この劇場に先月上旬まで勤務し、今はウクライナ西部に避難している演出家のエバさんが21日、電話インタビューに応じました。

この中でエバさんは「破壊された劇場の写真を見るとショックで、信じられない。いまだに同僚たちの安否が分からない。当時、誰が劇場にいて誰が取り残されているのかを知りたい」などと苦しい胸の内を明かしました。

劇場では子ども向けの劇なども上演されていたということで「劇場は演劇好きの多くの市民が訪れ、待ち合わせ場所でもある町のシンボルだった。私にとってもよい思い出が詰まっている」と語りました。

また、劇場の地下には倉庫やテナントが複数入る広いフロアがあり数百人が避難できるはずだとしたうえで「同僚たちが避難者のためにできるかぎりのことをしてくれていると祈るしかない」と述べました。

そして激しい戦闘が続いているマリウポリについては「避難中の車列が攻撃されるなど避難も命懸けだと聞いている。住民は地獄のような経験をしている」と窮状を訴えました。