新年度予算が成立 与党・国民など賛成 一般会計総額 107兆円余

一般会計の総額が過去最大の107兆円余りとなる新年度=令和4年度予算は参議院本会議で採決が行われ、自民・公明両党と国民民主党などの賛成多数で成立しました。

新年度=令和4年度予算案は、22日、参議院予算委員会で、締めくくりの質疑のあと採決され、自民・公明両党と国民民主党の賛成多数で可決され、参議院本会議に、緊急上程されました。

参議院本会議では、まず討論が行われ
▽自民党の堀井巌氏は「ロシアによるウクライナ侵略でエネルギーや食料品の価格がさらに上昇傾向となっている。迅速かつ切れ目のない対応を確実に実行して、国民の暮らし雇用や事業を守り抜き、経済の底割れを防ぐことが求められている。予算案を一日も早く成立させ、着実に執行させることが望まれる」と述べました。

▽立憲民主党の白眞勲氏は「ウクライナ情勢などの影響を受けて進行している物価高騰に対応する予算が、十分に確保されているとは言えない。日ロ経済協力プランに関する予算は、国際社会と足並みをそろえて、経済制裁を行っている今の姿勢と矛盾することから明確に削除すべきだ」と述べました。

このあと採決が行われ、新年度予算は、自民・公明両党と国民民主党などの賛成多数で成立しました。

新年度予算には、新型コロナウイルス対策のほか、看護や介護などの現場で働く人の賃金の引き上げに必要な費用なども盛り込まれていて、一般会計の総額は、107兆5964億円に上り、過去最大です。

新年度予算の成立時期としては、平成11年と12年、そして平成26年に次ぐ、戦後4番目に早い時期の成立となります。

「社会保障費」「防衛費」「国債費」は過去最大に

新年度・令和4年度予算は、一般会計の総額が過去最大の107兆5964億円となっています。

歳出全体の3分の1を占める「社会保障費」は、今年度の当初予算より4393億円増えて、過去最大の36兆2735億円となりました。

また、「防衛費」は今年度より542億円増えてこちらも過去最大の5兆3687億円です。

過去に発行した国債の償還や利払いにあてる「国債費」は5808億円増えて、過去最大の24兆3393億円です。

加えて、新型コロナに対応するため、国会の承認を得ずに機動的に使いみちを決められる「予備費」として、5兆円を盛り込んでいます。

一方、歳入は税収が、新型コロナで落ち込んだ企業の業績が回復傾向にあることなどから、今年度を上回る過去最高の65兆2350億円としています。

これに伴って、税収などの不足分を埋めるための新規国債の発行額は36兆9260億円と、2年ぶりに前の年度の当初予算を下回る見込みです。

新年度予算 その主な内容は

新年度予算には、新型コロナウイルスの感染対策のほか、岸田政権が掲げる賃上げなどの「分配政策」やデジタル化の推進に必要な経費も盛り込まれています。

新型コロナウイルスの感染対策

新型コロナの感染拡大を水際で防ぐため、検疫所の人員確保など、検査・検疫体制の強化にかかる費用として95億円。

感染が拡大した場合に、保健所の支援に当たる専門人材を派遣する体制を強化するための費用などに6億円が計上されました。

看護や介護などの現場で働く人の賃金増加へ

看護や介護、保育などの現場で働く人の賃金をことし10月分以降、3%程度引き上げるのに必要な費用として、395億円が計上されています。

内訳としては、看護職員分が100億円、介護職員分が157億円、障害福祉職員分が128億円、児童養護施設などの職員分が10億円となっています。

大学や短大、高等専門学校などに通う住民税非課税世帯の学生らを対象に、授業料を減免したり、給付型の奨学金を支給したりする制度のための費用などに、6211億円が盛り込まれています。

脱炭素

「脱炭素社会」の実現に向け、車の電動化を促すため、電気自動車を購入する際の補助金の額を、これまでの2倍の最大80万円に増やすほか、プラグインハイブリッド車に最大50万円を補助するための費用などとして155億円。

省エネ性能の高い住宅を新築したり、リフォームしたりする費用の補助などに1113億円が盛り込まれました。

また、2030年度までに先行して脱炭素を実現する地域を設けるなど、脱炭素に意欲的な自治体を支援する新たな交付金として、200億円が計上されました。

「デジタル田園都市国家構想」の実現へ

デジタル化を進めて地方と都市の格差を解消し、地方活性化につなげることを目指す「デジタル田園都市国家構想」の実現に向け、自治体のデジタル技術の活用や普及を後押しするための交付金として1000億円が計上されました。

岸田首相 “円滑な予算成立に感謝”

岸田総理大臣は、総理大臣官邸で記者団に対し「戦後4番目に速い、円滑な予算成立に向けて与野党をはじめ、多くの関係者の皆様方にご協力をいただいた。心から感謝を申し上げたい」と述べました。

そのうえで「令和4年度予算では、新型コロナ対応に万全を期すことに加えて、デジタル田園都市構想の推進、気候変動問題への対応、イノベーション・科学技術への投資、さらには人への投資など、成長と分配の好循環による持続可能な経済の実現に向けた政策を重点的に実施していく」と述べました。

自民 茂木幹事長「スピード感を持って執行へ」

自民党の茂木幹事長は記者団に対し「極めて早期に成立することができた。予算には、コロナ対策はもちろん、デジタル、グリーン、人への投資などの重要な施策が盛り込まれており、スピード感を持って執行していきたい」と述べました。

また、追加の経済対策については「ウクライナ情勢の緊迫化などにより、原油価格の高騰などの課題が顕在化しており、必要に応じて、しっかりした対策を機動的に検討したい」と述べました。

一方、国民民主党が衆議院に続いて、参議院でも採決で賛成したことについて「予算はもちろん、さまざまな法案の重要性や必要性を野党にも説明しており、その姿勢は変わらない」と述べました。

鈴木財務相 「迅速かつ着実な執行を進める」

鈴木財務大臣は、新年度予算の成立を受けた記者会見で、「新型コロナに対して安心、安全を確保しながら経済をしっかりと立て直し、財政健全化に向けて取り組んでいくため、予算の迅速かつ着実な執行を進めていきたい」と述べました。

その一方で、原油価格などの高騰をめぐり、与党内などから追加の経済対策を求める声が出ていることについては「ウクライナ情勢をはじめ先行きは不透明と言える。こうした状況の中で日本経済や国民生活に与える影響を最小化しなければならない。動向を注視しながら必要に応じて適切に対応していくことに尽きる」と述べるにとどまりました。

立民 泉代表「あげればきりがないくらい課題がある」

立憲民主党の泉代表は、党の常任幹事会で「新型コロナの第6波の感染拡大を許してしまったのは、政府が、本来、先にやっておくべき対策をやってこなかったからだ。また、介護や保育の現場で働く人たちの待遇改善など、新年度予算にはあげればきりがないくらい課題がある。これからは物価対策もやっていかなければいけない局面であり、可及的速やかに党としての経済対策を立案し、政府に訴えていきたい」と述べました。

公明 山口代表「補正予算案も視野に検討を」

公明党の山口代表は、記者団に「年度内のかなり早い成立で、新型コロナ対策や経済対策の予算上の裏付けが整ったことになり、速やかに執行できるよう、ほかの関連法案の成立も図ったうえで、国民に届けることが大事だ」と述べました。

一方で「この予算は、ウクライナ情勢など、編成後に生じた事態に対する手当てがなく、物価の高騰に対応する措置がなされていない。今後、新年度予算の予備費はもちろん、状況によっては補正予算案も視野に入れながら検討していく必要がある」と述べました。

維新 馬場共同代表「第7波への備え 体制立て直しに全力を」

日本維新の会の馬場共同代表は、記者会見で「新型コロナやウクライナ情勢の問題で、日本経済にも大きな影響が出てくるため、予算審議には全面的に協力してきた。新型コロナ対策では、重症者が増えると病院のベッドが足りない状況が続いているので、第7波に対する備えとして、体制を立て直すことに全力をあげてほしい」と述べました。

一方で、予算案に賛成した国民民主党との連携について「我々が共同で法案を提出することはかなり厳しい状況になった。国民民主党は野党の枠を超えて与党に行くべきだ。中途半端なことをするよりも連立政権入りすることが所属議員や支援者のためになるのではないか」と述べました。

国民 玉木代表「追加経済対策策定へ 次のフェーズに移る」

衆議院に続いて参議院でも新年度予算に賛成した国民民主党の玉木代表は、記者団に対し「自民・公明両党との実務者レベルの政策協議が始まるので、いわゆる『トリガー条項』の凍結解除を含む、総合的な追加経済対策の策定に向け、次のフェーズに速やかに移っていきたい」と述べました。

また、今後の党の立ち位置について「『政策本位で与野党を超えて、連携、協力をすべきところはしていく』という党の方針どおり、これからもやっていく。現政権に対しては、いいものは前に進めていき、おかしなものは問題点を指摘をして、行政監視機能をしっかり果たしていくことを貫いていきたい」と述べました。

共産 小池書記局長「国民に冷たく危険な予算」

共産党の小池書記局長は、記者会見で「新型コロナ対策が不十分なうえ、社会保障や暮らしの予算を削減する一方で大軍拡を進める、国民に冷たく危険な予算だ。引き続き、岸田政権の政権運営や問題点を追及しながら、対案を示し、論戦に臨んでいきたい」と述べました。

また、国民民主党が賛成したことについて「経済政策や社会保障など、あらゆる分野の課題について、岸田政権の全体像を信任したことになり、名実ともに与党であることがはっきりした。参議院選挙での協力の対象にする条件はなくなった」と述べました。

れいわ新選組 「緊急時でもドケチ予算と断じる以外ない」

れいわ新選組は「保育・介護、医療分野、就職氷河期世代など、景気停滞で真っ先に打撃を受ける人々を十分に救済しうる予算になっていない。また、エネルギー危機の打開には再生エネルギーの強化が極めて重要だが、ほぼ眼中にないようだ。今回の予算も、危機にひんした国民生活を政治が救う決意と覚悟が全く感じられない。緊急時でもドケチ予算と断じる以外ない」とする談話を発表しました。

後半国会の焦点は

夏の参議院選挙を前に各党が独自色を強めることが予想される中、後半国会ではウクライナ情勢に伴う物価の高騰や新型コロナの感染状況を踏まえた経済対策をめぐる議論のほか、経済安全保障の強化を図る新たな法案の審議などが焦点になる見通しです。