バイデン大統領 “ロシアが生物兵器など使用するおそれ”

アメリカのバイデン大統領は、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアのプーチン大統領について「追い詰められている」としたうえで、生物兵器や化学兵器の使用に踏み切るおそれがあるという認識を示しました。
さらに、ロシア側がサイバー攻撃を計画しているという情報もあるとして、アメリカの企業にセキュリティーの強化に直ちに取り組むよう求めました。

ウクライナに侵攻しているロシア軍について、アメリカ国防総省の高官は21日、首都キエフに向かっている地上部隊のうち、より中心部に近い2つの部隊はこの1週間、いずれも大きな前進が見られず、北西およそ15キロと東におよそ30キロの地点にいることを明らかにしました。

また、ウクライナ側との戦闘で損害を受けているものの、90%弱の戦力は依然として戦闘可能な状態で、東部の要衝マリウポリを引き続き孤立化させているとしました。

そして、人口の多い都市を制圧するため、ミサイル攻撃や遠距離からの砲撃を増やしているとしたうえで、民間人に大きな被害が出ることに強い危機感を示しました。

こうした中、アメリカのバイデン大統領は企業経営者を集めた会合でロシアの軍事侵攻に言及し、欧米などが結束してウクライナを支援していることを背景に「プーチンは追い詰められている。そして追い詰められれば追い詰められるほど、より激しい戦術を使うだろう」と述べました。

そのうえで、プーチン大統領が欧米やウクライナに生物兵器や化学兵器があると、事実と異なることを主張しているとして「これこそ、彼がその両方を使うことを検討している明らかな兆候だ」と述べ、警戒を呼びかけました。

さらに、バイデン大統領は、欧米が経済制裁を科したことなどへの対抗措置としてロシアがサイバー攻撃を計画しているという情報もあるとして、セキュリティーの強化に直ちに取り組むよう求めました。

政権高官によりますと、アメリカでインフラを運営する民間事業者をねらったサイバー攻撃が行われる可能性があり、バイデン政権は先週、100以上の企業を集めてこうした情報を共有し、対策を示したということです。

木原官房副長官「化学兵器の使用 いかなる状況でも容認できず」

木原官房副長官は、記者会見で「バイデン大統領の発言は承知しているが、化学兵器が使用される可能性や使用された場合の仮定の質問に答えることは差し控えたい。日本政府としては、化学兵器の使用はいかなる場所いかなる時、いかなる主体、いかなる状況であっても容認できない、容認されえないと考えている」と述べました。