【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(22日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる22日(日本時間)の動きです。

(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ゼレンスキー大統領「国民投票を実施して決定」

ウクライナのゼレンスキー大統領は21日、首都キエフでウクライナ公共放送などのインタビューに応じ、「どんな形式であれ、ロシアの大統領との会談が実現するまでは、停戦に向け彼らにどのような用意があるのか、真に理解することは難しい」と述べ、プーチン大統領との対話を実現させたうえで、交渉の妥協点を見いだしたい考えを示しました。

そのうえで、当面NATO加盟は難しいとの考えを改めて示したうえで、「われわれの安全保障について話す中で、憲法の改正やウクライナの法律の変更についても話し合うことになるだろう。どんな結果になろうとも、大統領だけで決定をすることはない。変更が歴史的に重要なものになる場合は、国民投票を実施して決めることになる」と述べ、停戦交渉での合意内容によっては国民投票が必要との考えを示しました。

ウクライナ国外に避難 353万人に 国連まとめ

UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のまとめによりますと、ロシアによる軍事侵攻を受けてウクライナから国外に避難した人の数は、21日の時点で353万人を超えています。

このうち、▽ポーランドでおよそ211万人、▽ルーマニアでおよそ54万人、▽モルドバでおよそ36万人などとなっています。

ゼレンスキー大統領の国会演説 23日午後6時 実施へ

ウクライナのゼレンスキー大統領は、西側諸国に支援を要請するため、各国の議会で演説を重ねていて、先週コルスンスキー駐日大使が、衆参両院の議長に、演説の機会を設けてもらいたいと正式に要請し、調整が進められていました。

そして、22日開かれた衆参両院の議院運営委員会の理事会で、23日午後6時から、衆議院の議員会館にある国際会議室と多目的ホールで、オンライン形式で行うことが決まりました。

会場には、岸田総理大臣や衆参両院の議長、コルスンスキー大使らのほか、国会議員も参加する予定だということですが、座席数が限られているため、インターネットによる中継も行うということです。

ウクライナ東部マリウポリ 市民3000人以上死亡か 人権団体報告

アメリカに本部がある国際的な人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は21日、激しい戦闘が続くウクライナ東部のマリウポリの状況について報告をまとめました。

この中では、20日に市の幹部から聞いた話として、これまでに3000人以上の市民が死亡した可能性があり、人口のおよそ半数に当たる少なくとも20万人が市内に残されているとしています。

そのうえで、マリウポリから避難した人たちに独自に聞き取った内容として、ロシア軍の包囲が始まった今月2日以降、市内では女性や子どもを含む多くの人が、厳しい寒さの中、水や食料、それに医療、暖房、通信などがほとんどない状況で地下のシェルターに身を潜めているとしています。

さらに、食料の買い出しに行ったり水を手に入れようと川に向かったりした市民が、ロシア軍の攻撃に巻き込まれて亡くなったという証言も複数の人から寄せられたとしています。

報告では、こうした状況を受け「ウクライナとロシアの両国は、マリウポリの市民に十分な水や食料、薬などが行き渡るようにしなければならない。そして、すべての市民が避難ルートを通って避難できるようにするべきだ。戦争の手段として民間人を飢えさせるのは戦争犯罪だ」と指摘しています

バイデン大統領 ロシアの生物・化学兵器使用警戒呼びかけ

アメリカのバイデン大統領は企業経営者を集めた会合でロシアの軍事侵攻に言及し、欧米などが結束してウクライナを支援していることを背景に「プーチンは追い詰められている。そして追い詰められれば追い詰められるほど、より激しい戦術を使うだろう」と述べました。

そのうえで、プーチン大統領が欧米やウクライナに生物兵器や化学兵器があると、事実と異なることを主張しているとして「これこそ、彼がその両方を使うことを検討している明らかな兆候だ」と述べ、警戒を呼びかけました。

さらに、バイデン大統領は、欧米が経済制裁を科したことなどへの対抗措置としてロシアがサイバー攻撃を計画しているという情報もあるとして、セキュリティーの強化に直ちに取り組むよう求めました。

政権高官によりますと、アメリカでインフラを運営する民間事業者を狙ったサイバー攻撃が行われる可能性があり、バイデン政権は先週、100以上の企業を集めてこうした情報を共有し、対策を示したということです。

EU ウクライナへの追加軍事支援で合意 支援額は650億円余

EU=ヨーロッパ連合はウクライナに対し、5億ユーロ、日本円で650億円余りの追加の軍事支援を行うことで合意しました。

EUは21日、ベルギーのブリュッセルで外相会議を開き、ウクライナに侵攻を続けるロシアが攻撃を激化させていることについて対応を協議しました。

会議のあとの記者会見でEUの外相に当たるボレル上級代表は「ウクライナへの経済的、財政的、人道的な支援と、ウクライナ軍への支援を続ける」と述べ、先月表明したウクライナに対する軍事支援の額を倍増し、5億ユーロ、日本円で650億円余りを追加支援することで各国が合意したことを明らかにしました。

支援の詳しい内容については明らかにしていません。

国連総会で人道状況の改善を求める決議案を採決へ

市民の犠牲が増え続けているウクライナの情勢をめぐり、国連総会で市民の保護など人道状況の改善を求める決議案の採決が行われることになりました。

国連総会での決議案の採決は今月2日に続いて2回目で、欧米各国は、前回を上回る賛成を得て採択することで、ロシアへの圧力としたい考えです。

米国防総省 報道官「ロシア軍の戦争犯罪の明確な証拠ある」

アメリカ国防総省のカービー報道官は21日、記者会見で、ロシア軍の侵攻について「ウクライナの首都キエフや第2の都市ハリコフ、それに北部チェルニヒウなど多くの都市の手前で依然、停滞している」と指摘し、その分遠距離からの砲撃を強化しているという見方を示しました。
そして「ロシア軍はこれらの都市を降伏させようと巡航ミサイルや弾道ミサイル、それに砲撃など、大量の兵器を投入していて、ここ数日間でその量は増えている。その結果、住宅地や病院、学校がより大きな被害を受け、罪のない人たちに多くの犠牲が出ている」と指摘しました。
そのうえでカービー報道官は「ロシア軍が戦争犯罪を犯しているという明確な証拠がある。われわれは証拠の収集に協力し、調査に貢献していく」と述べ、戦争犯罪などを捜査している国際刑事裁判所に協力していく考えを示しました。

“チェルノブイリ原発 技術者の交代が完了” IAEAが声明

IAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長は、21日に声明を発表し、ウクライナ北部のチェルノブイリ原子力発電所で、先月ロシア軍に占拠されて以降、施設にとどまって勤務していた技術者の交代が完了したと、ウクライナ当局から連絡を受けたことを明らかにしました。

IAEAは、20日にチェルノブイリ原発で勤務する技術者のおよそ半数が自宅に戻ることができたと明らかにしていて、今回の声明によりますと、施設に残ることを希望した13人を除いてすべての人の交代が完了したということです。

これまでグロッシ事務局長は、交代要員が来ず200人以上の技術者らが働き続けた結果、心身ともに疲労がたまって原発の安全に関わる機器の修理や保守に支障が出ていることに、懸念を示していて、声明で交代の完了を歓迎しました。

そのうえでグロッシ事務局長は、今後ウクライナの原子力発電所の安全を確保するための枠組みについて、ウクライナとロシアと協議を行っていると説明しました。

ゼレンスキー大統領 “ロシアの最後通告には応じない”

21日に首都キエフでウクライナ公共放送などのインタビューに応じたゼレンスキー大統領は、ロシア側がウクライナ軍に対し東部の都市マリウポリで武装解除し、街を明け渡すよう要求していることについて「『この最後通告に従えば戦争が終わる』と言われてもそれは正しくない。ウクライナからウクライナ人がいなくなってしまう」と述べ、受け入れられないという考えを強調しました。

そのうえで「『ハリコフやマリウポリ、キエフをよこせ』という要求があっても応じられない。ロシアからの最後通告のとおりになるのは、私たちが存在しなくなったときだけだ」と述べ、いずれの都市も明け渡す考えはないことを重ねて示しました。

ウクライナの公共放送 ユーチューブで被害状況を連日伝える

ウクライナの公共放送は動画投稿サイト、ユーチューブで国内の被害状況を英語で連日、伝えています。

20日夜には首都キエフのショッピングセンターがロシア軍の攻撃を受けたことを伝え、その瞬間を捉えた映像には大きな爆発とともにガラスとみられる破片などが周囲に大量に飛び散る様子が映っています。そして、救助隊がけが人を救助する様子も確認できます。

また、ウクライナ南東部、ザポリージャ州の都市、エネルホダルの副市長がロシア側に拉致されたと伝えています。20日にはおよそ1500人が参加した抗議デモが行われ、市民らはウクライナの国旗を掲げながら副市長の解放などを求めていました。

また南部の都市ミコライフにある軍の施設が18日にミサイル攻撃を受け、少なくとも50人が死亡したということで、現場の映像には兵士たちが大量のがれきを撤去している様子などが映っています。

独外相 ウクライナの隣国モルドバ支援に向け会合開催を表明

ドイツのベアボック外相は21日、EU=ヨーロッパ連合の外相会議に先立って記者団に対しウクライナから避難してくる人を大勢受け入れている隣国モルドバを支援するため、来月5日、首都ベルリンで会合を開くことを明らかにしました。

モルドバは、ヨーロッパ最貧国の1つとも言われていますがUNHCR=国連難民高等弁務官事務所のまとめによりますと、20日現在でウクライナからおよそ36万人が避難し、その数は、ポーランド、ルーマニアに次いで3番目に多くなっています。

ベアボック外相は、モルドバについて「ウクライナの隣国の中でも今もっとも支援を必要としている」と述べ、フランスなどとともにモルドバを後押しする仕組みをつくるとして、会合では財政面の支援などについて協議するとの見通しを示しました。

首都キエフ防衛の領土防衛部隊隊員 徹底抗戦続ける構え

男性隊員は、ウクライナ各地でロシア軍による攻撃が続いていることについて「ロシア軍による攻撃を目の当たりにするたび、私たちの士気は上がる一方だ」と述べ、徹底抗戦を続ける構えを示しました。

また、20日夜にキエフの中心部に近い地区にあるショッピングセンターが攻撃を受けたことについては「民間施設に対する野蛮な攻撃だ。ロシア軍はウクライナ軍との直接的な対戦を避け、民間人への攻撃を通じて私たちにダメージを与えようとしている」として、ロシア軍が意図的に民間人への攻撃を行っているとして非難しました。

ロシア国営テレビ報道部門トップ “裏切り”と強く批判

マリーナ・オフシャンニコワさんは14日、ロシア国営の「第1チャンネル」のニュース番組の放送中にスタジオに入って反戦を訴え、一時、警察に拘束されました。
オフシャンニコワさんの行動には国外だけでなく国内でも一部で賛同の声があがるなか、テレビ局の報道部門のトップを務めるキリル・クレイミョノフ氏が20日に番組に出演し、今回の事案について見解を述べました。

クレイミョノフ氏は、当時の映像を流し、欧米各国で大きく取り上げられていることを説明したうえで「私たちが得た情報では、マリーナ・オフシャンニコワは事前にイギリス大使館と話をしていた」と述べ、西側とつながりがあったと主張しました。また行動は計画的だったとし「20年近くともに働いてきた私たち全員を計算高く裏切った」と述べ、強く批判しました。

プーチン政権のプロパガンダを担う国営テレビとしては、ロシアのウクライナ侵攻に抗議する意見は西側のさしがねだと決めつけることで、政権に批判的な言動を排除するねらいがあるとみられます。

オフシャンニコワさんはテレビ局の編集方針と一致しないとして先週、辞表を提出しています。

ウクライナ外相 “デモ参加者が撃たれ けが”と投稿

ウクライナのクレバ外相は、SNSのツイッターに南部の都市ヘルソンで撮影されたとする動画を投稿し、ロシア軍の侵攻に抗議するデモの参加者が銃で撃たれ、けが人が出ていると明らかにしました。

動画には、けがをして地面に倒れ込んだ高齢の男性が周囲の人に抱えられている姿が映っています。

また、ウクライナの公共放送も同じ現場で撮影されたとみられる動画をツイッターに掲載し、映像からはま町なかに大きな銃声が鳴り響いて人々が足早に逃げていく様子が確認できます。

クレバ外相は「ロシアの侵略に対して武器を持たず平和的に抗議していた人々を銃撃した。ロシアを止めなければならない」とロシア軍を批判しました。

ロシア “民間グループ”の調査で「軍事作戦支持」が63%

ロシアのプーチン政権の影響下にない民間のグループが、ロシア全土に住む18歳以上の1800人余りを対象に、今月10日から13日にかけて行った電話調査によりますと、「軍事作戦を支持する」と答えた人が63%に上り、「支持しない」の7%を大きく上回りました。

また、「軍事作戦についての情報源」として「テレビ」を選んだ人の75%が「作戦を支持する」と答えたということです。

さらに「作戦地域」については、65%が「東部以外でも行われている」と答えた一方で、「東部のみ」と答えた人が12%で、親ロシア派が事実上、支配する地域だけで軍事作戦が行われていると思い込んでいる人がいることも分かりました。

一方、今回の調査で「軍事作戦を支持する」と答えた人を年代別に見ますと、40代以上が70%を超えましたが、18歳から24歳では35%にとどまりました。

“ウクライナで少なくとも925人の市民が死亡”

国連人権高等弁務官事務所は、ロシアによる軍事侵攻が始まった先月24日から今月20日までに、ウクライナで少なくとも925人の市民が死亡したと発表しました。このうち75人は子どもだということです。

亡くなった925人のうち、256人が東部のドネツク州とルガンスク州で、ほかの669人は首都キエフや第2の都市ハリコフ、北部のチェルニヒウ、南部のヘルソンなど各地で確認されています。

犠牲者の多くは砲撃やミサイル、空爆などによって命を落としたということです。また、けがをした人は1496人に上っているということです。

国連人権高等弁務官事務所は、激しい攻撃が続く東部のマリウポリなどは、多数の市民が犠牲になったという情報があるものの確認が取れておらず、実際の犠牲者の数はさらに多いとしています。