ロシア ウクライナ侵攻 子どもたちにどう教えるか 学校で模索

ロシアによるウクライナ侵攻が続く現状に、不安や疑問を抱く子どももいることから、学校現場でどう教えていくべきか、各地で模索が始まっています。

“意見を出し合う授業” 東京の小学校

このうち、東京 日野市の日野第四小学校では、ウクライナ情勢に関する不安を抱え込まないよう、高学年を対象に意見を出し合う授業に取り組んでいます。

5年生の道徳の授業では、まず教員が、東京オリンピックで日野市はウクライナのホストタウンだったことや、地元企業の工場がロシアにあること、東日本大震災では両国から日本に支援があったことを紹介しました。

そのうえで、現状への思いや平和な社会に必要なことを話し合う時間が持たれ、児童からは「意見がぶつかっても戦争や暴力以外の方法がある」といった意見が出されていました。

男子児童は「子どもで力がないから助けられない。話し合いで解決すべきなのに戦争が起きてしまい悲しい」と話していたほか、別の男子児童は「交流のあるウクライナで多くの人が命を失っていて、自分のことのように思いました」と話していました。

閏井研司教諭は「認め合う大切さなど、日頃学んできたこととは逆の『戦争』が起きてしまい、子どもたちは漠然とした不安を感じているように思います。『戦争』について話してはいけないと思っている雰囲気も感じたので、まずは考えを出し合うことが大切だと思っています」と話していました。

“遠い国の遠いできごとでなく 私たちの問題として” 横浜の高校

一方、さまざまな国にルーツがある生徒も学ぶ、横浜市の県立横浜国際高校では、生徒から「ウクライナのことを学びたい」という声が寄せられたことから、歴史の教員が授業を行いました。

この中では、両国の歴史を踏まえたうえで、日本にいるウクライナ人とロシア人の思いを伝える記事やウクライナ情勢に関する歴史の専門家の考察、情報の捉え方を考える資料を読み込み、議論しました。

各班では「いま苦しんでる人がいるのに、それを放置して無知のままでいるのがいちばん怖い」とか、「『国』と『個人』を同じように扱い誹謗中傷が起きているが、情報をうのみにせず自分で考えることが大事だ」といった意見が出ていました。

また、「国の指導者や歴史学者の意見も大事だが、SNSが普及したいまだからこそ、個人個人の声から考えることも大事」などと議論を深めていました。

女子生徒は「ウクライナの状況に無力感を持っていましたが、結論に至らなかったとしても自分の中で考えを持ち、情報を得て知識を深めて、友達と意見を共有することが私にできることだと思えました」と話していました。

徳原拓哉教諭は「ウクライナやロシアと大きな主語で語られますが、学校の友達にも関わることなので、遠い国の遠いできごとではなく、いま目の前で起きている私たちの問題として、迷いも含めて共有して一緒に考えていけたらと思っています」と話しています。