岸田首相 カンボジア首相と会談 “力による現状変更認めず”

岸田総理大臣とカンボジアのフン・セン首相は20日夜、首脳会談を行い、ウクライナ情勢をめぐり、世界中のどの場所でも力による一方的な現状変更を認めない立場だという認識で一致しました。そして武力行使の即時停止と軍隊の撤退を要求するなどとした共同声明を発表しました。

会談は、首都プノンペンの首相府で、日本時間の20日午後7時半すぎからおよそ2時間行われました。

会談で両首脳は、ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナ情勢をめぐって意見を交わし、日本とカンボジア両国は、世界中のどの場所でも力による一方的な現状変更を認めない立場だという認識で一致しました。

そのうえで、国際秩序の根幹を守るため、日本とASEAN=東南アジア諸国連合のことしの議長国を務めているカンボジアで、国際会議の場などを通じて緊密に連携していくことを確認しました。

会談のあと両首脳は共同声明を発表しました。

それによりますと、ウクライナへの侵略は主権と領土の一体性を侵害し、武力の行使を禁じる国際法の深刻な違反であり、国連憲章の重大な違反だという認識を共有し、国際的に認められた国境の力による一方的な変更を認めないという国際秩序の根幹を揺るがすものだと指摘しています。

そのうえで、武力行使の即時停止とウクライナからの軍隊の撤退を要求しています。

そして、すべての種類の大量破壊兵器による威嚇も使用も決して受け入れられず、平和的目的の原子力施設に対する武力攻撃や武力による威嚇は国際法違反だと強調しています。

今回の共同声明では、19日に発表された岸田総理大臣とインドのモディ首相による共同声明と同様、ロシアを直接名指しした批判は盛り込まれませんでした。

岸田総理大臣は記者団に対し今回の訪問の成果について「インドとカンボジアの両国と、力による一方的な現状変更はいかなる地域においても許してはならないことと、ウクライナ情勢について連携していくことは確認できた」と述べました。

そして「今月24日にG7=主要7か国の首脳会議が予定されており、その場でアジアの国々とのやり取りを、唯一のアジア代表である日本から報告することは大事なことだ。国際社会の結束を図るために、努力していく雰囲気をつくっていきたい」と述べました。