核廃絶に向け若者たちが核兵器禁止条約の「模擬締約国会議」

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続き核兵器使用への警戒感が高まる中、ことし開かれる核兵器禁止条約の締約国会議に参加する国々の代表に若者たちが成り代わって議論する「模擬締約国会議」が開かれ、核戦争の回避や核廃絶に向けて意見を交わしました。

「模擬締約国会議」は、核廃絶に取り組む大学生らのグループがオンラインで開き、32人の若者たちが核兵器禁止条約を批准した国々やオブザーバーとして参加するドイツなどの主張を調べるなど、1か月間準備して議論に臨みました。

この中で、アメリカの核の傘の下にあり、条約に加わっていないドイツなどの役の学生からは「核保有国が条約に参加するのは当面不可能だが、議論する場を作るべきだ」とする意見が出され、条約を批准しているニュージーランドの役の学生は「核保有国が参加できないという意見には賛同できない」と反論していました。

会議ではウクライナ情勢も踏まえて議論が行われ、最後に「核戦争を回避すべきことは明白で、核廃絶を希求し、あらゆる行動を実施する」などとして、核保有国も加わり具体的な期限を定めて核廃絶の道筋を示すなどとする合意文書を取りまとめました。

議長国のオーストリア役を務めた大学1年生の高垣慶太さんは「相手の主張を理解し、共通点を探ることの重要性を実感しました。ロシアによる核の脅威に対しても、相手の立場で考えることが解決への道筋になるのではないかと思います」と話していました。