ウクライナ 南部や東部で激しい戦闘 市民の犠牲者増え続ける

ロシアの軍事侵攻が続いているウクライナでは、南部や東部で激しい戦闘がおき、市民の犠牲者が増え続けています。プーチン政権は、ウクライナ側が生物兵器や化学兵器を使用する疑いがあると一方的に主張し、アメリカなどは、ロシアが虚偽の主張をもとに攻撃をエスカレートさせることを警戒しています。

ロシア ウクライナ側が生物兵器使用の疑いと一方的に主張

先月24日、ウクライナに侵攻したロシア軍は首都キエフを包囲する部隊の増強を進めるとともに、南部のミコライフや東部のマリウポリにミサイル攻撃を行い、抵抗するウクライナ軍との間で激しい戦闘が続いています。

国連人権高等弁務官事務所は、ウクライナで今月18日までに少なくとも64人の子どもを含む847人の市民の死亡が確認されたと発表しました。

東部のマリウポリでは、ロシア軍の攻撃で都市が孤立し、激しい市街戦が続いているとみられ、多くの住民が周辺の地域に逃れています。

南東部のザポリージャに避難した人は「多くの人が路上で亡くなり、遺体が横たわっていました」と現地の凄惨(せいさん)な状況を語りました。

市街戦に備えて、ウクライナ各地で市民の戦闘訓練が行われていて、今後、ロシア軍の本格的な侵攻が予想されている南部の都市オデッサでは、18日、若者たちが自動小銃の扱い方などを教わりました。

こうしたなか、ロシアのプーチン大統領は19日、ルクセンブルクのベッテル首相と電話会談を行い、ロシア大統領府によりますと「ウクライナでアメリカが、生物学的な軍事活動を行い、容認できない。ロシアだけでなく、ヨーロッパに大きな危険をもたらしている」と述べ、ウクライナ側が生物兵器を使用する疑いがあると一方的に主張しました。

さらにロシア国防省も19日、「ウクライナの民族主義者が北東部のスムイでアンモニアや塩素を使用する疑いがあり、南部ミコライフ州の村でも有害な化学物質の入った容器を爆発させることを計画している」と主張しました。

アメリカやイギリスの国防当局は、ウクライナ軍の激しい抵抗によりロシア軍部隊が予想以上に苦戦していると分析していて、ウクライナの通信社は19日、ウクライナ軍の発表として軍事侵攻が始まってから3週間の間に、ロシア軍の将校を含む少なくとも10人の軍幹部が戦死したと伝えています。

アメリカなどは、ロシアが虚偽の主張をもとに生物兵器や化学兵器を使用するなど、攻撃をエスカレートさせることを警戒しています。