岸田首相 北方領土はロシアの不法占拠 平和条約の見通しは困難

国会では参議院予算委員会で集中審議が行われました。岸田総理大臣は北方領土はロシアによって不法占拠されているとしたうえで、ウクライナ情勢を踏まえ、ロシアとの平和条約交渉を見通すことは困難だとの認識を重ねて示しました。

自民党の小鑓隆史氏はロシアとの平和条約交渉に関連し「これまでと同様に進めることはもう困難な状況だ。北方領土はロシアによって不法占拠されているとも考えられるのではないか」と問いました。

岸田総理大臣は「ロシアによる北方領土の占拠は法的根拠のないもので、不法占拠されているという立場であり、引き続き変わりはない。この状況に鑑みたならば交渉の展望を申し上げる状況にはない」と述べました。

また「北方領土問題を解決して、平和条約を締結するという目標を立て努力してきたが、残念ながら達成されておらず、結果につながっていない」と述べました。
立憲民主党の蓮舫氏は新年度予算案のロシア関連の事業について「本当に必要なのか、予算案が通過したら事業が進んでしまう。せめてこの予算をすべてウクライナ支援に組み替えるべきだ」とただしました。

岸田総理大臣は「前進させることはありえない。参加する日本企業がどのような状況に置かれるか不透明な中で、あらゆる対応を考えなければならず、予算案の修正は考えていない」と述べました。
公明党の里見隆治氏はウクライナからの避難民の受け入れについて「受け入れたあとの体制整備を念頭に、住まいや生活用品の確保、日本語学習、就労、就学などの支援の仕組みを構築する必要がある」と求めました。

岸田総理大臣は「日本語教育、就学、定住など、円滑な受け入れと生活支援をしっかり進めて充実させたい。受け入れ先のマッチングもしっかり進めていきたい」と述べました。
国民民主党の小林・参議院議員会長は、原油価格の高騰について「大変国民の生活が苦しくなっていることは岸田総理と共有できると思う。ガソリン税の上乗せ部分の課税を停止するトリガー条項の凍結解除を一刻も早く決断する必要がある」と求めました。

岸田総理大臣は「さらなる価格の上昇が起こった場合は、あらゆる選択肢を排除せず、対策を用意しなければいけない。原油価格の動向を注視し、事態が長引く場合には機動的に対応する姿勢だ」と述べました。
日本維新の会の浅田・参議院会長は国連改革について「先頭に立つべき常任理事国のロシアが大原則を侵している。国連の機能の回復が重要だ。最恵国待遇の撤回や資産凍結対象の拡大だけでは十分ではない」と指摘しました。

岸田総理大臣は「世界の平和と安定に大きな責任を持つはずの国連安保理常任理事国ロシアが、暴挙に出たことは、いま1度考えていかなければいけない。国連改革、安保理改革、拒否権の改革などに具体的に取り組まなければいけない」と述べました。
共産党の山添拓氏は、来年10月に導入される事業者の納税額を正確に把握できるよう、税率や税額を記載する「インボイス」について「業者は売り上げにかかる消費税から仕入れにかかる消費税を差し引いた額を納税する。誰かの税負担が新たに増えるのではないか」と指摘しました。

岸田総理大臣は「複数税率のもとで適正な課税を行うために必要なものだ。さまざまな懸念の声は承知しており、事業者の準備を加速するための支援や周知・広報に努めていきたい」と述べました。

一方、ウクライナ政府が日本の国会で、ゼレンスキー大統領の演説を動画で見る機会を設けてほしいと打診していることについて岸田総理大臣は「ゼレンスキー大統領は世界各国に向けて協力を求めている。国会で前向きに対応していただければと考えている」と述べました。