国際司法裁判所 ロシアに直ちに軍事行動やめるよう暫定命令

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻について、オランダにある国際司法裁判所は「国際法に照らして重大な問題を提起している」としてウクライナ側の訴えを認め、ロシアに対して直ちに軍事行動をやめるよう命じる暫定的な命令を出しました。

ウクライナは先月26日、ロシアによる軍事侵攻には正当な理由がないとして、オランダのハーグにある国際司法裁判所に提訴し、合わせてロシアに対して直ちに軍事行動をやめさせる暫定的な命令を出すことも求めました。

国際司法裁判所は16日「ウクライナで起きている広範な人道上の悲劇を深刻に受け止めており、人命が失われ人々が苦しみ続けている状況を深く憂慮している。ロシアによる武力行使は国際法に照らして重大な問題を提起しており、深い懸念を抱く」として、ウクライナ側の訴えを認め、ロシアに対して直ちに軍事行動をやめるよう命じる暫定的な命令を出しました。

国際司法裁判所の訴訟には当事国の同意が必要で、今回ロシアはその意思を示していませんが、裁判所は暫定的な命令には法的拘束力があるとしています。

命令には15人の裁判官のうち13人が賛成し、ロシアと中国の裁判官が反対しました。

国連の主要機関で「世界法廷」とも呼ばれる国際司法裁判所で、軍事侵攻に厳しい判断が示されたことで、たとえロシアが受け入れなくても、ウクライナへの国際的な支援に一層の正当性が認められることになり、同じハーグにある国際刑事裁判所で始まっている戦争犯罪などの捜査にも影響を与える可能性が指摘されています。

ウクライナの代表「ロシアは命令を順守しなければならない」

国際司法裁判所の暫定的な命令が出されたあと、ウクライナの代表は記者団に対して「ロシアは国際法上の義務である裁判所の命令を順守し、軍事作戦を停止しなければならない。ウクライナは正義を実現するために国際法のあらゆる手段に訴える」と述べました。

裁判所前で市民が集会

国際司法裁判所が暫定的な措置についての判断を示すのに合わせ、裁判所の前には16日、ウクライナの国旗などを持ったおよそ100人の市民が集まりました。

詰めかけた人々は「プーチンを止めろ」と書かれた横断幕を掲げながら「戦争反対」などと声をあげ、ロシアによる軍事侵攻に抗議の意思を示していました。

林外相「措置命令を支持 ロシアに従うこと求める」

林外務大臣は「わが国は、ロシアによるウクライナ侵略は、国際法や国連憲章の違反だと強く非難するとともに、攻撃の即時停止と部隊の撤収を求めてきた。ICJによる暫定措置命令は当事国を法的に拘束するものであり、日本としては措置命令を支持し、ロシアに対し、直ちに従うことを強く求める」などとする談話を発表しました。

中国「各国は複雑な要素増やすことを避けるべき」

中国外務省の趙立堅報道官は17日の記者会見で「われわれはロシアとウクライナが話し合いを通じて問題を適切に解決すること、そして国際社会が平和的な解決のために積極的な役割を果たすことを支持する」と述べる一方「各国は、複雑な要素を増やすことを避けるべきだ」と、くぎを刺しました。