企業などで感染者“濃厚接触者特定など必ずしも行う必要なし”

新型コロナウイルスの感染が続く中でも社会経済活動を維持するためだとして、厚生労働省はこれまでの対応を見直し、企業などで感染者が出た場合、濃厚接触者の特定や一律の行動制限は必ずしも行う必要はないと、全国の自治体に通知しました。

厚生労働省はオミクロン株の特徴を踏まえて新型コロナウイルスの対応方針を見直し、16日、全国の自治体に通知しました。

企業などの事業所で感染者が出た場合、これまでは保健所や事業所が濃厚接触者の調査を行い、原則7日間の自宅待機を求めていましたが、今後は濃厚接触者の特定や一律の行動制限は必ずしも行う必要はないとしています。

陽性者などが接触した人に連絡し、連絡を受けた人は一定期間、重症化リスクの高い人に会ったり飲食やイベントに参加したりするのを控えるなど、自主的な対策をとるよう、事業所がふだんから周知しておいてほしいとしています。

中学校や高校、それに大学もこの方針の対象に含まれます。

ただし、5人以上の集団感染が発生した場合は、濃厚接触者の特定や行動制限を行うということです。

一方、医療機関や高齢者施設、障害者施設、それに家庭内の感染では、これまでどおり濃厚接触者の特定や行動制限を求めるとしていますが、家庭内については一律に聞き取りを行う必要はなく、同居している全員が濃厚接触者となることを伝えるだけでもよいとしました。

保育所や幼稚園、小学校での感染への対応は、自治体ごとに方針を決めるとしています。

また、濃厚接触者の自宅待機の期間について、いわゆるエッセンシャルワーカー以外も、陽性者と最後に接触した日から4日目と5日目の抗原検査で陰性だった場合は、5日目に待機を解除できるとしました。

さらに、医療機関に加えて高齢者施設や保育所、小学校などでも、毎日の検査で陰性を確認することで、濃厚接触者が業務にあたることを可能にするということです。

厚生労働省は「社会経済活動への影響やオミクロン株の特徴を踏まえ、感染リスクや重症化リスクが高いところに自治体の人的資源を集中させることにした。引き続き基本的な感染対策を徹底し、症状がある場合などは行動の自粛を含めた感染防止を自主的に行ってもらいたい」としています。