【詳報】ロシア ウクライナに軍事侵攻(17日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる17日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)。

国際司法裁判所の命令 “従うことはない” ロシア大統領府報道官

国際司法裁判所がロシアに対して直ちに軍事行動をやめるよう命じる暫定的な命令を出したことについて17日、ロシア大統領府のペスコフ報道官は「この命令を考慮することはわれわれはできない」と述べました。

そのうえで国際司法裁判所の訴訟には当事国の同意が必要とされることについては「国際司法裁判所には『当事国の同意』といった概念があるが今回の場合、同意はありえない」と述べ、ロシアが命令に従うことはないという考えを示しました。

ウクライナから国外に避難 300万人超

UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のまとめによりますと、ロシアによる軍事侵攻を受けてウクライナから国外に避難した人の数は300万人を超え、増え続けています。

16日時点で
▽最も多いのがポーランドで191万人余り
▽ルーマニアが49万人余り
▽モルドバが35万人余り
▽ハンガリーが28万人余り
▽スロバキアが22万人余り
などとなっています。

またロシアに避難した人は16万人余りとなっています。

ロシア大統領府報道官「大統領は賢明だ」

アメリカのバイデン大統領がロシアのプーチン大統領について「戦争犯罪人」ということばを使って厳しく非難したことに対し、ロシア大統領府のペスコフ報道官は17日、報道陣に対し「われわれの大統領は賢明で先見の明があり、教養ある国際人でありロシアのトップだ。バイデン大統領のこのような発言は絶対に容認できない」と述べ激しく反発しました。またペスコフ報道官は「広島と長崎に核爆弾を落とした国の大統領に、そのようなことを言う資格は全くない」とも発言しています。

国際刑事裁判所の検察官 ウクライナ訪問し大統領と会談

ウクライナで行われた疑いがある戦争犯罪などを捜査している国際刑事裁判所のカーン主任検察官が、ウクライナを訪れてゼレンスキー大統領と会談し捜査への協力を求めました。会談でカーン氏は「東部のマリウポリや他の都市の写真を見て、市民や子どもたちが置かれた窮状がわかった。大統領の協力のもとすべての証拠を集めたい」と述べ、捜査への協力を求めました。

中国 米の追加軍事支援をけん制

中国外務省の趙立堅報道官は17日の記者会見で、アメリカのバイデン大統領がウクライナに対する追加の軍事支援を決定したことを踏まえ、「アメリカやNATO=北大西洋条約機構の国々は、弾薬を送ることで火に油を注ぐのではなく、ロシアやウクライナなどと平和に向けた話し合いをするべきだ」と述べ、アメリカなどをけん制しました。

林外相 避難民支援でウクライナ周辺4か国と連携確認

林大臣は17日外務省で、ウクライナからの避難民を受け入れている周辺4か国のポーランド、ハンガリー、チェコ、それにスロバキアの駐日大使と会談しました。この中で林大臣は「4か国が避難民の受け入れを含め、多大な貢献をされていることに敬意を表したい」とたたえるとともに、日本としても1億ドルの緊急人道支援を行うことを説明しました。そして林大臣は、ウクライナに在留する日本人が陸路で避難する際の協力を求め、各国との間で、避難民への支援で引き続き緊密に連携していくことを確認しました。

ウクライナ大使 大統領の国会演説 衆参議長に正式要請

ウクライナのコルスンスキー駐日大使は17日夕方、国会を訪れ、細田衆議院議長、山東参議院議長と個別に会談し、日本のこれまでの協力や支援に謝意を示したうえで、ゼレンスキー大統領がオンラインで演説する機会を設けてもらいたいと正式に要請しました。これに対し両議長はそれぞれ「重く受け止めたい」と応じ、議院運営委員会の理事会などで検討したいという考えを伝えました。

ゼレンスキー大統領 “ドイツは指導的な役割果たして”

ウクライナのゼレンスキー大統領は17日、ドイツの連邦議会でオンライン形式で演説を行い「ヨーロッパにはベルリンの壁ではない自由と不自由を分かつ壁があり、われわれは隔てられている。私たちを助けるはずの平和のための決断がなされないたびに、この壁は大きくなっている」と述べ、「ドイツにふさわしい指導的な役割を果たして戦争を止めてほしい」と述べ、さらなる支援を求めました。

オデッサとはどんな都市?ロシアのねらいは

オデッサは黒海に面したウクライナ南部の港湾都市で、温暖な気候から「黒海の真珠」とも呼ばれています。
オデッサ港はウクライナ最大の港で、東部で製造された工業製品や南部で生産された小麦などを輸出する国際貿易港として古くから発展。2014年、ロシアがクリミアを一方的に併合したあと、ウクライナ政府はクリミアにあったウクライナ海軍の司令部の機能をオデッサに移し、沿岸防衛の要と位置づけてきました。軍事侵攻を続けるロシア軍としては、オデッサを支配することで、ウクライナを国際的な海の物流網から切り離すとともに海軍の戦力を使えなくするねらいがあるものとみられます。

ロシア軍 オデッサ近郊砲撃か 交渉も続く

ロシア軍は首都キエフの包囲に向けて攻撃を続ける一方、南部ヘルソン州の全域を掌握したと宣言するなど、黒海沿岸でも戦闘を激化させ、海軍の艦艇がウクライナ最大の港湾都市オデッサの近郊の町を砲撃したとみられています。
停戦をめぐる交渉では、ロシアが強く要求してきたウクライナの「中立化」をめぐり、NATO=北大西洋条約機構にウクライナが加盟しない代わりに、ウクライナを防衛するためアメリカや近隣諸国などとの別の安全保障の枠組みについて議論が続いているとみられます。

ヨーロッパ宛ての航空郵便 一部再開へ 日本郵便

日本郵便はロシアによるウクライナへの侵攻を受け、引き受けを停止しているヨーロッパ宛ての航空郵便について、18日から一部の国宛ての手紙やはがきに限って再開することになりました。

軍事侵攻開始から3週間 ロシア軍は黒海で活動活発化か

ロシアがウクライナへの軍事侵攻を開始して17日で3週間です。
アメリカ国防総省の高官は16日、ロシア軍の侵攻について最新の分析を記者団に明らかにしました。それによりますと首都キエフに北と北東、北西の3方向から向かっている地上部隊に引き続き目立った前進の動きは見られない一方、黒海に展開するロシア海軍の活動が活発化し、艦艇がウクライナ最大の港湾都市オデッサの近郊の町を砲撃したと指摘しました。これについてこの高官は「砲撃を加えることで地上戦をしやすくするための準備をしている可能性がある」と述べ、オデッサの制圧に向けた作戦を準備している可能性があるという見方を示しました。

米 スロバキアの地対空ミサイルシステムめぐり協議へ

アメリカのオースティン国防長官は17日、スロバキアを訪れ、ウクライナが供与を求めている高性能の地対空ミサイルシステムをめぐって協議する見通しです。
ウクライナはロシア軍による上空からの攻撃を防ぐため、戦闘機やミサイルを撃ち落とす能力をもつ地対空ミサイルシステム「S300」の供与を求めていて、ゼレンスキー大統領は16日、アメリカの連邦議会でオンライン形式で行った演説でその必要性を訴えました。

ウクライナ高官 “拉致されたメリトポリ市長 解放”

ウクライナ大統領府の高官は16日、ロシア軍によって今月11日に拉致された、南東部ザポリージャ州の都市メリトポリのイワン・フェドロフ市長が解放されたと明らかにしました。
これを受けて、ウクライナ国防省は、解放後にゼレンスキー大統領がフェドロフ市長と電話で話した様子だとする映像を公開しました。映像では、ゼレンスキー大統領が「あなたの声が聞けて本当に良かった」と話しかけたのに対し、市長は「私を見捨てないでいてくれてありがとうございます」と応じているのが確認できます。

ウクライナ大統領 “飛行禁止難しければ防空システム供与を”

ウクライナのゼレンスキー大統領は16日、アメリカの連邦議会でオンライン形式で演説し、ロシアのミサイル攻撃などに対して、ウクライナ上空の飛行禁止区域の設定が難しければ代わりに防空システムや戦闘機を供与してほしいと訴えました。

マリウポリ“大勢が避難の劇場に攻撃” ウクライナ外相が投稿

ウクライナのクレバ外相は16日、ツイッターに、大勢の人たちが避難していた東部マリウポリの劇場がロシア軍の攻撃を受けたと書き込みました。

投稿された写真には破壊された劇場とみられる建物が写されています。

今のところ詳しい状況は分かっていませんが、クレバ外相は「数百人が避難していた劇場が攻撃された。ロシアの戦争犯罪を止めてほしい」などと訴えています。

これに対してロシア国営のタス通信は、「ロシアはこの日、マリウポリに対して空爆はしておらず、ウクライナ側が劇場を爆破した」と報じ、ウクライナ側の主張を否定しています。

ウクライナの公共放送 被害状況を動画投稿サイトで伝える

ウクライナの公共放送は、動画投稿サイト、ユーチューブで国内の被害状況を英語で連日、伝えています。

16日の動画では、北部のチェルニヒウでパンを手に入れようと列に並んでいた市民に、ロシア軍が銃撃を浴びせ、少なくとも10人が死亡したと伝えました。

また、首都キエフにある12階建てのマンションがロシア軍の砲撃を受けて2人がけがをしたと伝え、現場からの映像では、煙があがる様子や不安そうな表情で避難する住民の姿が確認できます。

また、北東部スムイ州の人口およそ5万人のアフトゥイルカでは、行政の庁舎や博物館、発電所などがロシア軍に破壊されたほか、幼稚園にいた子どもたちや職員が銃撃を受けたと伝えています。

アメリカ ウクライナに追加軍事支援 無人機や対空ミサイルなど

アメリカのバイデン大統領は16日、ウクライナへの合わせて8億ドル、日本円にしておよそ950億円の追加の軍事支援を決定する大統領令に署名しました。

バイデン大統領は「市民を攻撃する航空機やヘリコプターを防ぎ、ウクライナ上空を防衛するためだ」として、ウクライナに新たに無人機や防空システムを供与すると明らかにしました。

ホワイトハウスによりますと、新たな軍事支援には、対空ミサイルシステム「スティンガー」800基や、無人機100機などが含まれるということです。

国連 今月15日までに726人の市民の死亡確認と発表

国連人権高等弁務官事務所は、ウクライナでは今月15日までに52人の子どもを含む726人の市民の死亡が確認されたと発表しました。

この中には東部のドネツク州とルガンスク州や首都キエフ、第2の都市ハリコフなどが含まれていますが、ロシア軍が激しい攻撃を続けているマリウポリなどでは多数の市民が犠牲になっているという報告があるものの、確認が必要だとして、国連人権高等弁務官事務所は実際の犠牲者数はさらに多いとしています。

国際司法裁判所 ロシアに直ちに軍事行動やめるよう暫定命令

オランダにある国際司法裁判所は16日「ウクライナで起きている広範な人道上の悲劇を深刻に受け止めており、人命が失われ人々が苦しみ続けている状況を深く憂慮している。ロシアによる武力行使は国際法に照らして重大な問題を提起しており、深い懸念を抱く」として、ロシアに対して直ちに軍事行動を止めるよう命じる暫定的な命令を出しました。

国際司法裁判所の訴訟には当事国の同意が必要で、今回ロシアはその意思を示していませんが、裁判所は暫定的な命令には法的拘束力があるとしています。

命令には15人の裁判官のうち13人が賛成し、ロシアと中国の裁判官が反対しました。

国営テレビ職員 抗議の意思表した思い語る

ロシア国営の「第1チャンネル」の職員で、ニュース番組中に反戦を訴えたマリーナ・オフシャンニコワさんは16日、ロイター通信のインタビューで「これ以上、黙っていることはできなかった」と抗議の意思を表した思いを語りました。

この中で、オフシャンニコワさんは今回の軍事侵攻で、かつてロシア南部のチェチェン共和国で続いた紛争の記憶が鮮明によみがえったとしたうえで「ウクライナの人々がどのような目に遭っているかを感じ、理解できた」と話し、みずからの経験から突き動かされた行動だと述べました。

そしてロシア国内の多くの人たちがあとに続き、ウクライナへの軍事侵攻に抗議の声をあげることに期待を示しました。

検察「子ども103人死亡」

ウクライナの検察当局は16日の朝の時点でロシアによる軍事侵攻で、これまでに少なくとも子ども103人が死亡し、100人以上がけがをしたと発表しました。

また爆撃や砲撃で被害を受けた学校などの教育施設は400を超え、このうち59の施設は完全に破壊されたということです。

プーチン大統領 “かつてない圧力に直面”

プーチン大統領は16日、経済対策に関する会議を開き、欧米各国からの経済制裁で
ロシアの金融機関や企業がかつてない圧力に直面しているとした上で、今後、ロシア経済の構造改革を進め、それによる市民への影響を抑える対策を取るよう関係閣僚らに指示しました。

NATO “兵器の供与いっそう強化の必要”認識一致

NATO=北大西洋条約機構は緊急の国防相会議を開き、ウクライナに対して防空システムなどの兵器の供与をいっそう強化する必要があるという認識で一致しました。

ハリコフで砲撃 3人死亡 5人けが

ウクライナ第2の都市ハリコフで16日、市場や支援物資を保存していた倉庫などがロシア軍の砲撃を受けました。

ロイター通信は一連の攻撃で3人が死亡し、5人がけがをしたと伝えています。

軍事侵攻開始から3週間

ロシアがウクライナへの軍事侵攻を開始して17日で3週間となり、市民の犠牲は増え続けています。双方の代表団による交渉ではNATO=北大西洋条約機構への加盟に代わるウクライナの安全保障の枠組みなどについて議論されているとみられ、停戦に向けて妥協点を見いだせるかが焦点です。

ウクライナテレビ局 “うその字幕表示”SNSで発表

ウクライナのテレビ局「ウクライナ24」は16日、ニュースの放送中に「ゼレンスキー大統領が兵士にロシア軍への投降を呼びかけた」とするうその字幕が表示されたと
公式SNSで発表しました。

テレビ局は「字幕の内容はフェイクだ。ハッキングされた」として字幕はサイバー攻撃を受けたため表示されたと説明しています。

またゼレンスキー大統領も動画で声明を発表し「これは子どもじみた挑発で、銃を置くべきなのはロシア軍の方だ」と述べて字幕の内容を否定しました。

米ロ高官協議で「連絡継続」

アメリカのホワイトハウスは16日、声明を発表し、安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官とロシアのプーチン大統領の側近、パトルシェフ安全保障会議書記が電話で会談したと発表しました。

声明によりますとサリバン補佐官はロシアによるウクライナへの軍事侵攻は不当だとして同盟国などと緊密に連携しながら、ロシアに代償を科していくとした上で、ウクライナの主権を守るため支援を続けていくと伝えたということです。

さらにサリバン補佐官はロシアが真剣に外交に取り組む考えがあるのなら攻撃をやめるべきだと伝えるとともに、ロシアが化学兵器や生物兵器の使用を決定した場合、重大な結果をもたらすと警告したとしています。

一方、ロシアの安全保障会議の発表では会談はアメリカ側の提案で行われたとした上で
パトルシェフ書記はアメリカ政府がウクライナに対して兵器の供給などの軍事支援を続ければ、さらなる緊張を招くと警告したとしています。

またロシアとウクライナとの停戦交渉について速やかな解決に向けてアメリカ政府としてウクライナ側に影響力を行使するよう求めたとした上で米ロ両国が引き続き連絡を取り合うことで一致したとしています。

ヨーロッパ評議会 ロシアの除名を決定

ヨーロッパの国際機関、ヨーロッパ評議会は16日、加盟国の閣僚からなる委員会を臨時に開いて、ロシアを除名することを決め、決定は即日発効しました。

ヨーロッパ評議会は1949年に設立された人権や民主主義、法の支配などの国際基準の策定を主導する国際機関で、ロシアも加盟国でしたが、ロシア外務省は15日「NATO=北大西洋条約機構やEU=ヨーロッパ連合が反ロシア政策の道具に変え、平等な対話という原則を放棄した」と主張して脱退を通告しました。

これに対してヨーロッパ評議会は「ロシアはみずからの行動によって、世界で最も進んだ人権保護システムの恩恵をロシア国民から奪っている」と非難していましたが、今回、正式にロシアを除名し、これによりロシアの国民はヨーロッパ評議会の下部組織であるヨーロッパ人権裁判所に人権侵害などを訴えることができなくなりました。

G7 下院議長ら会合 外交手段で平和の回復目指す共同宣言

ウクライナ情勢をめぐり、G7=主要7か国の下院議長らによる会合が、16日夜、オンラインで開かれました。

会合では共同宣言が発表され「ロシアの侵略戦争を最も強いことばで非難する」としたうえで、即時にウクライナから軍の撤退を求めるとしています。

そして、各国の議会が政府と緊密に連携し、外交的手段による平和の回復や、継続的な安定の確保を目指すとしています。

ポーランドの都市 避難してきた人が大勢詰めかける

ウクライナとの国境からおよそ70キロ離れたポーランドの都市ジェシュフは、ウクライナから避難してきた人たちが、ほかの国などに向かうまで一時的に滞在する中継地点の役割を果たしていて、市役所には16日、支援を求めて大勢の人たちが詰めかけていました。

市役所では子どもをポーランドの学校に通わせるための支援や障害のある子どもへの支援などを求め、パスポートを手にした多くの母親たちが手続きを行っていました。

ただ、庁舎の中は人であふれ、建物の外まで長い行列ができていて、手続きを諦めて市役所をあとにする人の姿も見られました。

多くの犠牲者が確認されているウクライナ第2の都市ハリコフから避難してきた女性は「私たちの街は壊され帰る場所はもうありません。ポーランドで仕事に就いて、子どもたちを学校に通わせたいです」と話していました。

一方、首都キエフから家族と避難してきた14歳の女の子は「たぶんここで学校に行きますが、正直どう受け止めたらいいかわかりません」と、避難先で学校に通うことについて複雑な心境を語っていました。

ロシアの法律家「ロシアの人々を脅したいのだ」

ロシアのプーチン政権が今月4日に成立せさた情報統制につながる改正法について、独立系メディアを支援するロシアの法律家、フョードル・クラフチェンコ氏(44)がNHKのインタビューに答えました。

この中でクラフチェンコ氏は、改正法はわずか1日で成立したと指摘し「ロシアでの情報が広がらないように緊急に止める必要があった」と述べ、先月24日の侵攻開始以来、国内でも非難や抗議の声が広がっていることへの政権の不満と焦りの表れだと指摘しました。

そして「ロシアの人々が口を閉ざし、SNSやメディアで戦争の話題について議論しないように脅したいのだ。水面下で聞こえてくる良識ある声を孤立させる必要があり、堂々と『戦争』を『戦争』と発言し『これは犯罪だ』という人を取り締まることが当局にとり有益な手段なのだ」と指摘しました。

また、クラフチェンコ氏は「この法律は間違いなく恣意的(しいてき)に適用される。著名人やビジネスマンなどが刑事訴追されれば、人々は『私も危険だ』と恐れるようになる。数百件の刑事訴追があれば、数千万人を脅かすのに十分だ」と述べ、政権側が反戦を訴える人たちに重い刑事罰を科して弾圧を強めることに懸念を示しました。

一方、クラフチェンコ氏は、独立系メディアを支援する立場から「ロシア人の多くは国営テレビを見ているが、そこには信頼できる事実がほとんどないため、多くのロシア人が事実を知っているとは言いがたい」と指摘し、政権の意向に沿った報道を続ける国営テレビの職員が番組中に反戦を訴えたことの意義を強調しました。

モルドバ ウクライナとの国境のまちに臨時託児所

ウクライナと国境を接するモルドバ東部パランカでは、避難してきた人たちが次の目的地へ向かうバスなどを待つテントの中に臨時の託児所が設けられています。

おむつなどのベビー用品やベッドが備えられ、地元のボランティアが子どもたちの世話をしたり、遊び相手になったりして支援しています。

ウクライナ南部のオデッサから避難してきたオルガ・ディジェンコさん(39)は、7歳の娘のアリーナさんを預けている間、迎えに来た姉と連絡をとっていました。

ディジェンコさんは「託児所で私たちを支えてくれる人たちに感謝しています。とても助かりました」と話し、避難先のドイツへと向かっていきました。

地元で3人の子どもを育てるボランティアのガイナ・シャフさんは「10キロ歩いてきたお母さんもいるので、私たちが遊んでいる間、しばしの間休んでもらっています」と話していました。