ウクライナ人ピアニスト キエフ案じチャリティー演奏会 東京

ロシア軍が迫っているウクライナの首都キエフに今も家族や友人が残っているウクライナ人のピアニストが、都内でチャリティーコンサートを開き演奏を披露しました。

去年1月に来日し、ピアニストとして活動しているウクライナ人のレオニード・シャポワロフさんはウクライナの首都キエフの出身で、弟や音楽家の友人たちが、今もキエフに残っています。

シャポワロフさんは、ロシア軍が迫るキエフの状況を心配していて、できるかぎりの支援をしたいと日本の演奏仲間の協力を得て、15日夜、東京 新宿区でチャリティーコンサートを開きました。

会場のアトリエにはおよそ20人が訪れ、シャポワロフさんは、仲間とともにウクライナの作曲家が作った「メロディー」という曲などを平和への祈りを込めて演奏していました。

シャポワロフさんは「キエフにいる弟はロシア軍が迫れば、銃をとって戦うでしょう。この戦争は多くのウクライナの人々にとって、本当に大きな悲劇です。この悲劇を音楽という世界共通の言語を通して、日本人全員に伝えたい」と話していました。

このコンサートの収益は、全額がウクライナ大使館に寄付されるということです。

友人が語るキエフの状況は

シャポワロフさんは、弟や友人たちとスマートフォンでやり取りを続けていて、15日夜も、キエフの東側に住むバイオリニストの友人とテレビ電話で話しました。

【攻撃は?】
友人は、15日の時点でのキエフに対する攻撃の状況についてシャポワロフさんに対し、「14日から朝の攻撃は2日連続です。ここでも大きな爆発音が聞こえます。けさも民間の住宅が攻撃を受けた。彼らは一般の建物をミサイルで攻撃しています」などと話しました。

【食料など生活は?】
また、生活の状況について「ガスや電気、暖房は問題なく、インターネットも使えます。ただ、食料の事情はよくありません。開いている店もありますが、食料品がそろっている訳ではなく限られています。道路では検問が行われたり、封鎖されたりしているところも多い。車を調べられることもあるのでパスポートなども持っていないといけません。本来は数分でつくはずの場所に数時間かかることもあります」と話していました。

【“半数”が避難か】
キエフにどのくらいの人が残っているかや避難ができるかについては「ほぼ50%がキエフを離れたと言われています。テレビで見るかぎり鉄道や車で避難することは可能です。ただ、駅に行くにも時間がかかりますし、戦闘が続いていますのでいつでも車で避難できるわけではありません。そして、キエフから避難するために必要な力、気力、お金がない人や家族の世話をしなければならない人、自宅や地区を守っている人もいます」と話しました。

【情報入手手段等】
また、情報の入手方法については「私はYouTubeでテレビをみています。近所の人たちはラジオの電波が届いていています」と話していました。

この電話のあと、キエフでは、日本時間の16日午前3時から35時間の外出禁止令が出されるなど緊迫した状況となっています。