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EDは命に関わる病気の“サイン”かも!?

「最近疲れているから…」
「ストレスがすごくて…」
「お酒をたくさん飲んだから…」

ED(勃起障害)の症状があるとき、目を背けることはありませんか?でもEDは、心筋梗塞や脳梗塞など命に関わる病気を教えてくれる“サイン”かもしれません。若い人にも珍しくないED。大丈夫なときもあるし…、あまり困らないし…などと放置せず、体の異変に目を向けてください。
(おはよう日本 5時台キャスター 江原啓一郎/ディレクター 三田村昂記)

EDの“サイン”に注意を

EDは、満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られないか、または維持できない状態が、持続または再発すること(『ED診療ガイドライン 第3版』より)。

自分がEDなのか、どの程度の重症度なのかを、5つの設問に答えることで簡単にチェックできる質問票「国際勃起機能スコア(SHIM)」があります。

世界各国の医療機関で使用されているもので、日本性機能学会、日本泌尿器科学会が使用を推奨しています。まずは、チェックしてみてください。
※選択した数字を合計して重症度を判定します。分類は質問票の後に掲載しています。
合計点による重症度の分類は、以下のとおりです。
日本性機能学会の副理事長でED治療に詳しい順天堂大学浦安病院の医師・辻村晃教授によると…
▼中等症、重症の人:
 医療機関の受診をおすすめします。
▼軽症、軽症~中等症の人:
 現時点では大きな問題点はないように思われますが、不安な方は医療機関を受診してください。

年齢とともに症状が進行することもあり、食習慣、運動習慣、睡眠確保などの生活習慣の見直しについては、常に心がけてください。
※質問票は、医師が診断に用いるものです。詳しくは、医師に相談してください。

“EDは中高年のお悩み”と思っていませんか?

EDは、決して中高年だけの問題ではありません。
東邦大学医学部の白井將文名誉教授らのグループが行った調査によると、EDを自覚している人は年齢が上がるほど増え、70代では67%に上ります。ただ、30代でも10%近く、40代で20%近くの人がEDを自覚しており、幅広い年代で身近な問題です。

一方で、症状を自覚した人のうち医師に相談したことがある人は、わずか4.8%。「治療の必要性までは感じない」という人が多いのです。

EDを放置して心筋梗塞の一歩手前に

ところが、EDを自覚しながら放置した結果、体の異変に気付かず“命の危険”が迫るまでの状態になった男性がいます。

いまEDの治療を受けている44歳の男性です。38歳の時にEDの症状を自覚しましたが、「歳をとったからだ」と考えて医療機関を受診しませんでした。
ED治療中の男性
5年ほどたって症状がひどくなったことから、去年、辻村教授の専門外来を受診。血液検査や生活習慣病に関する検査を行いました。すると、深刻な動脈硬化が起きていることが分かったのです。

血管年齢は、実際の年齢よりおよそ30歳上の73歳でした。男性は血圧が高めなことは分かっていましたが、EDで受診するまで動脈硬化には気付いていなかったと言います。
辻村晃教授
「ここまで放置していたのは本当に危険な状態でした。動脈硬化がかなり進行していて、いつ心筋梗塞を起こしてもおかしくない状況でした」
ED治療中の男性
「心筋梗塞の一歩手前という診断は、本当に寝耳に水でした。体の不調がEDの形で現れるとは全く考えていなかったので、ED治療のために受診して、なぜこんな結果が出るんだろうと。ちゃんと体はいたわらなければならないと、本当に痛感しました」

EDは命に関わる病気の“サイン”の可能性

「治療までは必要ないだろう」と放置されがちなED。

辻村教授は、心筋梗塞や脳梗塞などの病気を見つける重要なサインになり得るため、きちんと受診することが大切だと指摘します。
ED治療に詳しい順天堂大学浦安病院の医師 辻村晃教授
辻村教授
「EDを自覚しても、歳のせいであるとか、たまたま体調がすぐれないとか、ストレスが多くてとか、そんなふうにして流してしまう方が圧倒的に多いです。皆さんがEDを病気としてあまり重要視しない最大の理由は、命に別状がないことだと思います。日常生活に困らないから別にいいか、と治療を受けない。しかし、そうやって放っておくことで、本来ならば前もって予防できたかもしれない心筋梗塞・脳梗塞・血管病などが起こってくる。これはまさに命に直結します。EDを発症したことで、そういった命の危険を回避する1つのきっかけになったかもしれないのに、そこを見逃してしまっているんです」

EDは体の異常をいち早く知らせている

「EDをきっかけに心筋梗塞や脳梗塞による命の危険を回避できるかもしれない」とは、どういうことでしょうか。

EDは男性器に「十分な血液」が送られないことで起きます。

その原因には、精神的なもの、身体的なもの、その両方が混ざったもの(混合型)があり、東邦大学医学部の白井將文名誉教授の調査によると「身体的なもの」と「混合型」を合わせると、およそ87%に上ります。つまり、EDを発症した多くのケースでは、実は、精神的な原因だけでなく、動脈硬化など「体に何らかの異常」が隠れている可能性があるのです。
動脈硬化が起きると正常な場合と比べて血管が狭くなるため、血液を十分に送り込めなくなります。辻村教授によると、動脈硬化は体の部位によって個人差があるものの全身の血管で起こり得て、男性器の動脈で起きると「ED」、心臓だと「心筋梗塞」、頭部だと「脳梗塞」につながる可能性があるといいます。

また辻村教授によると、男性器の動脈は心臓や頭部の動脈より細いため、動脈硬化によって血管が狭くなると早い段階からEDの症状が現れやすいと考えられており、仮に動脈硬化によってEDを発症した場合は、心臓や頭部でも動脈硬化が始まっているおそれがある、だから、後に心筋梗塞や脳梗塞を発症するかもしれない“サイン”と見ることができる、というのです。
辻村教授
「心臓の血管が今どうなってるか、自覚症状はありません。もちろん心筋梗塞を起こしたら痛くて苦しいのでわかりますが、それでは時すでに遅しに近いです。その前に自分で異変に気付くものは、ほぼありません。ただ、EDは自分で気付きます。EDを発症している人は血管が障害を受けている可能性が十分考えられるので、心筋梗塞や脳梗塞の“自覚できるサイン”としてはいちばん明確だと思います」

さまざまな病気の“サイン”かも

EDがサインとなって、他の病気が見つかるケースは珍しくないといいます。

辻村教授によると、EDを発症している人は、心臓の血管の病気、前立腺の病気、慢性腎臓病、男性ホルモンの低下、糖尿病、高血圧、動脈硬化、高脂血症、うつ症状、睡眠時無呼吸症候群など、さまざまな病気を併発している可能性があるということです。

中でも動脈硬化は生活習慣病によって起きやすく、肥満の人だけでなくやせている人でも注意が必要だということです。
辻村教授が診察した患者の中には、次のような人もいたそうです。
▼心筋梗塞の一歩手前の冠動脈疾患が見つかった30代の男性

▼ホルモンの分泌異常を起こしている脳腫瘍が見つかって、すぐに手術が必要だったという30代の男性

ED治療薬は症状を一時的に改善するもの

EDというと、バイアグラなどの飲み薬が有名です。

しかし辻村教授は、こうした治療薬は「EDの症状を一時的に改善させるものであって、治療の助けにはなりますが、EDの原因そのものを改善するものではないため、きちんと診断し治療を受けることが必要」と指摘します。
※EDの治療は保険の適用対象にならない自由診療であるため、医療機関ごとに治療費と薬の価格が異なります(今年4月1日から、不妊治療を目的としたものは保険適用の対象となります)。
EDを自覚したら、それは大きな病気の“サイン”かもしれません。泌尿器科など医療機関の受診を検討してください。
おはよう日本5時台キャスター
江原啓一郎
2016年入局
長崎局、京都局を経て2021年から現所属
おはよう日本ディレクター
三田村昂記
首都圏局を経て現所属
医療や環境問題、防災などを取材

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