高齢者施設のワクチン3回目接種は88% 都市部や積雪地域に遅れ

新型コロナウイルスワクチンの3回目接種について、厚生労働省が全国の高齢者施設の入所者などへの接種状況を調査した結果、2月末までに終了したと答えた施設は全体の88%でした。
施設の数が多い都市部などで接種が遅れる傾向があり厚生労働省は希望者への接種を急ぐよう呼びかけています。

新型コロナの新規感染者は減少傾向にありますが、高齢者施設ではクラスターなどの発生が続いていて、3月7日までの1週間で全国で509件と過去最多となっています。

こうした中、厚生労働省は高齢者施設で希望する入所者や職員に対するワクチンの3回目接種を2月末までに終了するよう通知していて各都道府県の接種状況をまとめました。

その結果、2月末までに接種を終了したと答えた施設は全体の88%でした。

また、15日までに接種を終了する予定だと答えた施設は95%となっています。

接種を終了したと答えた施設のうち都道府県別で最も高かったのは、
▼徳島県で100%、次いで
▼岐阜県が99.8%、
▼山口県が99%でした。

最も低かったのは、
▼大阪府が76%、
次いで
▼東京都が77%、
▼青森県と広島県、それに沖縄県が79%となっています。
▼また、新潟県は84%となっています。

厚生労働省によりますと施設の数が多い都市部や、2月まで記録的な積雪となった北海道や日本海側の地域を中心に接種が遅れる傾向があり「施設で感染が発生したり人手が足りていなかったりやむをえない事情もあったと思うが、自治体がしっかりフォローして接種が終了するよう取り組んでほしい」としています。

専門家「プッシュ型の支援 できるだけ早く接種を」

高齢者施設での3回目のワクチン接種の状況について、厚生労働省の専門家会合のメンバーで国際医療福祉大学の和田耕治教授は「だいぶ進んできているが、雪がある地域や医師が常駐していない施設は遅れ気味なので、こうした施設でもできるだけ早く接種を進めることが重要だ」と述べました。

そのうえで「これからはまわりにいる家族や施設の職員、医療機関の関係者などが高齢者が接種を済ませたかどうかを確認したうえで、もしまだなら接種会場につなぐといったプッシュ型の支援で高齢者を守っていくことが必要だ」と指摘しました。

また、今後の感染状況については「成人のワクチン接種がある程度終わるまでは感染は起こり得る。去年の傾向を踏まえると、特に今月から5月ごろまでは第6波のピークを超えて再び感染が広がることも想定する必要があり、高齢者施設ではもし感染者が出た場合にどのように医療機関につなぐのかを相談できるような支援が重要だ」と述べました。

後藤厚生労働相「残った施設に丁寧に声かけ」

後藤厚生労働大臣は記者団に対し「それぞれの施設が抱えている個別の課題に一つ一つ寄り添う形で丁寧に説明し、最重要視すべき高齢者施設での3回目接種の推進に最大限努力をしてきた」と強調しました。

そのうえでまだ接種を終えていない施設について「施設の考えというより、患者の発生によるやむをえない事情などもあると思う。そういう事情が少し収まったところで、残った施設にも打ってもらえるよう、丁寧に声かけをしていきたい」と述べました。