【演説全文】ウクライナ ゼレンスキー大統領 何を語った?

ウクライナのゼレンスキー大統領は3月8日、イギリス議会でオンラインで演説を行いました。
第2次世界大戦時の1940年に当時のチャーチル首相が行った演説をなぞらえ、イギリスだけでなく世界各国から注目されました。
ゼレンスキー大統領は何を語ったのか。
演説全文は次のとおりです。

議長、首相、政府、議会の皆様。
私はイギリスのすべての人々に訴えます。

偉大な歴史を持つ国の人々へ。
私は同じく偉大な国の市民、大統領として訴えます。
大きな夢と闘争を持って。

われわれの13日間について話したい。
われわれが始めたわけでも望んだわけでもないのに、いまも続いている13日間の激しい戦争について。

なぜなら、われわれのウクライナを失いたくないからです。
ナチスが、あなた方の偉大な国、イギリスに対する戦いを始める準備をしていたときに、あなた方が国を失いたくなかったのと同じように。

1日目の午前4時、ミサイルが飛んで来ました。
子どもたち、私たち全員、ウクライナのすべての人、みんなが目を覚ましました。
それ以来は眠っていません。

私たちは皆、武器を取りました。
そして大きな軍隊になりました。

2日目、私たちは空、陸、海での攻撃を撃退していました。
そして、黒海のズミイヌイ島にいた私たちの英雄的な国境警備隊は、戦争の終わり方を教えてくれました。

つまり、敵はどうなるべきかについてです。
ロシアの船がわれわれの国境警備隊に武器を置くように要求したとき、彼らは答えました。
議会で言うことができないほど強い表現でした(「ロシア軍艦よ、地獄に落ちろ」と答えていた)。

そこにわれわれは力を感じました。
占領者を最後まで追い詰めるわれわれ国民の大きな力を感じました。

3日目、ロシア軍は堂々と一般の人々やアパートの建物に砲撃していました。
砲兵を使って。
爆弾を使って。

そしてその行動でついにわれわれおよび全世界は誰が誰であるかを見極めることができました。
誰が人間で、誰がただの獣なのか。

4日目、すでにロシア軍の数十人の捕虜を捕まえ始めたとき、私たちは尊厳を失うことはありませんでした。

そして、ロシア軍の捕虜をあざ笑うことはありませんでした。
私たちは彼らを人として扱います。
なぜなら、この恥ずべき戦争の4日目に私たちは人間のままだったからです。

5日目、私たちに対するテロはすでに大胆に行われるようになりました。
都市に対して、小さな町に対して。
破壊された地域。

爆撃、爆撃、爆撃。
家、学校、病院への爆撃。

これは大量虐殺です。
でも、われわれを破壊することはできませんでした。
国民一人ひとりを動員させ、われわれに真実を感じさせました。

6日目に、ロシアのミサイルがバビヤールというキエフにある渓谷に落下しました。

これは、第2次世界大戦中にナチスが10万人を処刑した場所です。
80年後、ロシアは再び彼らを殺したのです。

7日目、彼らが教会さえも破壊していることに気付きました。

爆弾を使って。
再びロケット弾を使って。
私たちが知っている神聖で偉大なものを彼らは知らないのです。

8日目、世界はロシアの戦車が原子力発電所を攻撃対象にしていることを目の当たりにしました。

ヨーロッパ最大の原子力発電所です。
そして世界はこれが全世界に対するテロであることを理解し始めました。
これは大きなテロです。

9日目、NATO諸国の会合がありました。
しかし、われわれにとって望ましい結果ではありませんでした。

勇気がない。
われわれはそう感じました。

私は誰かを怒らせたいわけではありませんが、われわれは同盟が動いていないと感じました。
彼らは空を封鎖することさえできません。
そのため、ヨーロッパの安全保障をゼロから構築する必要があります。

10日目に、武器を持っていないウクライナ人が占領下の都市のいたるところで抗議していました。
装甲車を素手で止めながら。

もはやわれわれを壊すことはできません。

11日目、住宅地がすでに爆撃されていた日、爆発がすべてを破壊していた日、壊された小児がん病院から子どもたちが避難した日。
われわれは次のことに気付きました。

ウクライナ人は英雄になりました。
何十万人もの人々が。
全ての都市の。
子ども、大人、全員が。

12日目、ロシア軍の損失がすでに1万人の死者を超えた日、ロシアの将軍も死者に数えられました。
それにより以下のことが明確になりました。

すべての犯罪に対し、すべての恥ずべき命令に対して、ロシアは責任を取る日が来るということです。
国際司法裁判所、または、ウクライナの武器によって。

13日目に、ロシア軍によって封鎖されたマリウポリで子どもが亡くなりました。
脱水症状で。

彼らは市民に食べ物や水を与えません。
市民は閉じ込められ、地下室に隠れています。
聞こえていますよね、あそこで隠れている市民は水すら持っていないのです。

ロシアの侵略の13日間で、50人の子どもが殺されました。
50人の偉大な殉教者。

これは恐ろしいことです。
心が空っぽになりました。

50の宇宙が生きることができたのに、彼らがその命を奪いました。
ただただ奪いました。

イギリスの皆さん。
ウクライナはそんなことは望んでいませんでした。
偉大になることなど求めていませんでした。

しかし、この戦争で、ウクライナは偉大な国になりました。
占領者のテロの中でも、人々を救うウクライナ。
世界最大級の軍隊の攻撃から自分たちの自由を守り続ける。
封鎖されていない空の中で、守り続けています。
ロシアのミサイル、飛行機、ヘリコプターに対してまだ封鎖されていない空。
「生きるべきか、死ぬべきか?」。

あなた方はこのシェイクスピアの言葉をよく知っていると思います。

13日前は、まだこの質問がウクライナに提起される可能性がありました。
しかし今は違います。

返事は明らかに「生きるべき」です。
明らかに、自由であるべきです。

そして、イギリスがすでに聞いたことがある言葉を思い出してもらいたい。
この言葉は再び意味を持っています。

私たちはあきらめない、負けません。
最後まで戦います。

われわれは、海で戦い、空で戦い、どれだけ犠牲を出そうとも、我々の領土を守ります。
われわれは、森の中で、野原で、海岸で、都市や村で、通りで、丘で戦い続けます。

そして私から付け加えたい。
われわれは山でも、カリミウス川とドニプロ川でも戦います。

そして、われわれはあきらめません。
もちろん、あなた方の助けを借りて、偉大な国の文明の助けを借りて。
皆様のご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。
そして、私はあなた方、私の友人ボリス(ジョンソン首相)に特に感謝しています。

テロ国家に対する制裁を強化してください。
テロ国家として認識してください。

ウクライナの空を安全にする方法を見つけてください。
できるかぎりのことをしてください。
やるべきことをしてください。

あなた方国民と国家は偉大であり、その義務を果たしてください。

偉大なウクライナに栄光あれ。
イギリスに栄光あれ。