“核兵器使った紛争 起こりうる状況” 国連事務総長が危機感

ウクライナ情勢をめぐって国連のグテーレス事務総長が記者会見し、ロシアのプーチン大統領が核戦力を念頭に抑止力を特別警戒態勢に引き上げるよう命じたことに言及したうえで「かつては考えられなかった核兵器を使った紛争がいまや起こりうる状況だ」と危機感を示し、改めて即時停戦を呼びかけました。

国連のグテーレス事務総長は14日、アメリカ・ニューヨークの国連本部でウクライナ情勢をめぐり記者会見を行いました。

この中でグテーレス事務総長は、ロシアのプーチン大統領が核戦力を念頭に抑止力を特別警戒態勢に引き上げるよう命じたことに言及したうえで「背筋が凍りつきそうな動きだ。かつては考えられなかった核兵器を使った紛争がいまや起こりうる状況だ」と強い危機感を示し、改めて即時停戦を呼びかけました。

そして「この戦争を終わらせる仲介に向けて中国、フランス、ドイツ、インド、イスラエル、トルコといった国々と緊密に連絡を取り合っている。外交や対話に遅すぎるということはない」と述べ、外交を通じた事態の打開を訴え、国連としても全力で取り組む姿勢を強調しました。

グテーレス事務総長はまたウクライナの人たちに食料や水などを支援するため国連の基金から新たに4000万ドル、日本円にしておよそ47億円を拠出すると表明しました。

官房長官「危険な行動だという認識を示したものと理解」

松野官房長官は午後の記者会見で「ロシアがウクライナを侵略する中で核抑止力部隊の態勢を引き上げたことは情勢のさらなる不安定化につながりかねない危険な行動だ。グテーレス事務総長の発言もこうした認識を示したものと理解している」と述べました。

そのうえで「核兵器の脅威に対しては核抑止力を中心とするアメリカの拡大抑止が不可欠であり、アメリカと緊密に協力していくとともにわが国自身による対処のための取り組みを強化する。同時に核軍縮不拡散のための取り組みに積極的・能動的な役割を果たしていく」と述べました。