ハンガリー国境の町 日本の医療ボランティアが支援準備

ロシアによる軍事侵攻で、ウクライナから多くの人が避難している隣国ハンガリーに日本から医療ボランティア団体が入り、避難者の支援にむけて準備を進めています。

医療ボランティア団体で岡山市を拠点とする「AMDA」と徳島県にある「TICO」は医師や看護師など合わせて6人をウクライナと国境を接するハンガリー側の地域に派遣しました。

派遣メンバーは14日、国境の町ザホニでウクライナから避難してきた人たちが一時的に休息をとる施設を訪れ、現地で活動する医療関係者と支援方法などについて意見を交わしました。

15日からは国境沿いの診療所で現地の医師らとともに、避難者の診療にあたるということです。

またウクライナの病院や学校などに医薬品や食品などの支援物資を運ぶ現地の団体とも連携し、子ども向けの医薬品を提供する方向で準備を進めることにしています。

メンバーの1人で医師の柴田和香さんは「避難者は大変な思いをしている。次にどこへ行くのかも決まっていない人もいるので、寄り添っていきたい」と話していました。
日本からの派遣メンバーと連携しているエルデイ・トチャーナさんは「日本の人々に感謝している。支援をもとにウクライナ国内や国境地域で必要とされる医薬品を届けていきたい」と話していました。

日本の医療ボランティア団体と連携して、ウクライナ側に医薬品を届ける活動をしているエルデイ・トチャーナさんは、ウクライナとハンガリー双方の国籍を持つ医師です。

ふだんは国境から20キロほど離れたハンガリーの町、キシュバルダの公立病院で婦人科医として働いていて、ロシアの軍事侵攻後、ウクライナから避難してきた69人の妊婦の受け入れに関わり、4人の赤ちゃんが無事に産まれたとしています。

エルデイさんによりますと、ハンガリーと国境をはさんだウクライナ南西部はロシアとの深刻な戦闘が起きておらず、ほかの地域から多くの人が避難してきているということです。

体調を崩している子どもも多く、各地の病院から必要な医薬品のリストがエルデイさんのもとに届いていて特に解熱剤や抗生物質などが不足しているということです。

病院での仕事が終わると連日、みずから車を運転し、往復5時間以上をかけてウクライナ各地で医薬品を届けているため体力は消耗すると言いますが「ウクライナの医療状況は本当に深刻です。医薬品を必要な場所に少しでも早く届けるのが私たちの役目です」と話していました。