ウクライナで撮影 名作「ひまわり」を緊急上映 寄付も 千葉 柏

ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、千葉県柏市の映画館ではウクライナで撮影され戦争の悲しみを描いた映画が緊急上映されています。
売り上げの一部はウクライナの人道支援のために寄付されるということです。

柏市の「キネマ旬報シアター」で上映されているのは1970年に公開された名作「ひまわり」で、第2次世界大戦中に戦争で引き裂かれたイタリアの夫婦の悲しみを描いています。

ウクライナのヒマワリ畑で撮影されたシーンが名場面とされ、映画館では、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けて戦争の悲惨さを伝えようと緊急上映を始めました。

配給会社は、売り上げの一部をウクライナの人道支援のため寄付することにしています。

映画を見た50代の女性は「戦争は心が通じ合っている人が別れ別れになってしまい犠牲になると感じた。映画を見ることで少しでも役に立てれば」と話していました。

また、70代の女性は「改めて戦争の残酷さを感じ、ウクライナの人たちが今どんな気持ちなのか想像した。亡くなった人がひまわり畑の下に埋まっているということで穏やかさと苦しさの二面性を感じた」と話していました。

「キネマ旬報シアター」の江崎毅副支配人は「ウクライナは遠い国ではない、ひと事ではないと思いをはせてほしいと上映を始めた。戦争は昔の話ではなくて今も起きているということを感じてほしい」と話しています。

この映画館では、ほかにもウクライナを舞台にした作品を今後上映する予定だということです。

映画「ひまわり」とは

東西冷戦真っただ中の1970年に公開された映画「ひまわり」は、当時、ソ連の一部だったウクライナで撮影されました。

第二次世界大戦中のイタリアで、主演のソフィア・ローレンが演じる妻が旧ソ連の戦場に行ったまま帰ってこない夫を探しに行き、広大なヒマワリ畑にたどりつきます。

地元の人から「このヒマワリ畑の下には、兵隊や捕虜、そして無数の農民や老人、子どもの死体が埋まっている」と言われます。

このシーンは、ウクライナの首都キエフの南にあるヘルソンで撮影されたといわれ、ウクライナの象徴の花、ヒマワリの美しさと戦争の残虐さが対照的に描かれた名場面とされています。

その後、妻は夫は生きていると信じて捜し続けた結果、切ない再会を果たし、戦争で引き裂かれたイタリアの夫婦の悲しみを描いた名作として知られています。