元ロシア総領事 軍事侵攻 一刻も早い沈静化願う

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻について、大阪にあるロシアの領事館でかつて総領事を務めた元外交官がNHKのインタビューに応じ、ロシア政府の立場へ理解を示しつつも「人間の生命より貴重なことはなく、戦争は最も悪いことだ」と述べ、交渉による事態の一刻も早い沈静化を願っていました。

インタビューに応じたのは、元外交官のイワン・プロホロフさん(66)です。

ソビエト連邦時代の1977年から日本を中心に世界各地の大使館などで勤務し、2005年から6年間は在大阪ロシア領事館の総領事を務めました。

今は妻の加代子さんとともに、大阪・枚方市で国際交流団体を運営しています。

インタビューでプロホロフさんは「ウクライナはロシアの懐で、NATOの東側への拡大はロシアに対する明らかな脅威だ」と述べ、ロシア政府の立場に一定の理解を示しました。

一方で、両国の軍人やウクライナの市民など多数の命が奪われていることについて「人間の生命より貴重なことはなく、戦争は最も悪いことだ。なるべく早くこの特別な軍事作戦が終わってほしい」と述べ、武力ではなく交渉による事態の一刻も早い沈静化を願っていました。

また、40年近くにわたる外交官としてのキャリアのうちおよそ20年を日本で過ごしていた経験から、今後の日ロ関係や互いの市民感情の悪化を強く懸念していて「関係悪化は外交官としてではなく人間として寂しい。一般市民は国、国籍を問わずみんな仲よく暮らしてほしい」と話していました。

元総領事の妻“こういう時だからこそ交流を絶やしてはならない”

プロホロフさんの妻の加代子さんは10年以上にわたって国際交流団体を運営していて、ロシア領事館を中心に各国の外交官による講演会を日本の高校で開催するなど、国際理解を促す活動をしています。

2月末にロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まってから、加代子さんは日本に住むロシア人に対する差別的な発言や日本とロシアの市民感情が冷え込むことを心配していて「こういう時だからこそロシアとの交流を絶やしてはならない。歴史の突破口になるような仲介をしていくことを絶対に今しなければいけない」と話していました。