岸田首相「新たな国際秩序の枠組み必要」国連改革に意欲

国会では14日、参議院予算委員会で集中審議が行われています。岸田総理大臣は国連安全保障理事会の常任理事国であるロシアによるウクライナ侵攻は暴挙であり、新たな国際秩序の枠組みの必要性を示しているとして、国連改革に取り組む意欲を示しました。

午前の審議では、自民党と立憲民主党が質問を行いました。

自民党の青山繁晴氏はウクライナ情勢をめぐり「ロシアへの信任が失われ、国連安全保障理事会で拒否権を持つ制度が実質的に持続できなくなっている。過去にフランスが大規模な残虐行為が起きた時の拒否権の制限案を出している。今こそフランスと組んで、拒否権の制限を設ける努力を始めるべきではないか」と質問しました。

岸田総理大臣は「安保理常任理事国のロシアの暴挙は新たな国際秩序の枠組みの必要性を示している。わが国は従来から拒否権の行使は最大限自制されるべきだと考えている。フランスをはじめ改革に前向きな国々とも協力しながら、安保理改革と国連改革の努力を続けていきたい」と述べました。

また、岸田総理大臣は日米同盟について「ウクライナ情勢は改めて同盟関係、各国との関係の重要性を再認識した事態だ。日米同盟の『拡大抑止』は大変重要な存在であり、国家安全保障戦略はじめ3文書の見直しなどを通じ、防衛力の強化はしっかり考えていかなければならない。日米同盟の抑止力や対処力もありようを議論していかなければならない」と述べました。
立憲民主党の福山哲郎氏はロシアによるウクライナの原子力発電所への攻撃などをめぐり「核軍縮で日本と同じ立場をとる非核保有国でつくる、NPDI=軍縮・不拡散イニシアチブの参加各国に呼びかけ、核兵器の使用禁止や原発への攻撃中止など国際社会やロシアに伝えるイニシアチブをとってもらいたい」と求めました。

岸田総理大臣は「NPDIの枠組みは大変重要だ。ことし、NPT=核拡散防止条約の再検討会議が開催されることから、さまざまな文書の提出や提案をすることは重要で、日本もそうした切り口から貢献したい。できるだけ早期にタイムリーに発信することが大事だ」と述べました。
これに関連して、警察庁の櫻澤健一警備局長は「全国の原発で必要な装備を備えた原発特別警備隊を常駐させ、365日24時間態勢で警戒警備を実施している。ウクライナ情勢を受けて関連情報の収集を徹底するなど対応に万全を期し、原発を含む重要施設の警戒警備を徹底している」と述べました。
一方、萩生田経済産業大臣は、エネルギーの海外依存度を少しでも低くするため、日本近海の海底などに分布しているとみられる「メタンハイドレート」の実用化について問われ「新型コロナを経験し、ウクライナの戦争を目の当たりにして、いままでのような概念ではだめだと思っている。研究段階から一緒に走る覚悟で実用化を目指したい」と述べました。