ロシア軍銃撃でアメリカ人ジャーナリスト死亡 米複数メディア

アメリカの有力紙、ニューヨーク・タイムズなどはウクライナ当局の話として首都キエフの近郊で取材中だったアメリカ人のジャーナリストがロシア軍に銃撃され死亡したと伝えました。

ニューヨーク・タイムズなどアメリカの複数のメディアは13日、ウクライナ当局の話としてウクライナで取材中だったアメリカ人のジャーナリストで映像作家のブレント・ルノーさんがロシア軍に銃撃され死亡したと伝えました。

ルノーさんはウクライナの首都キエフの中心部から西に20キロほどの街、イルピンで取材中だったということで、ほかにもけがをしたジャーナリストがいるということですが詳しい状況はわかっていません。

ルノーさんは50歳で、過去に、ニューヨーク・タイムズなどアメリカの主要メディアの報道にも貢献したことがあるということです。

また、2014年には、兄とともに制作したアメリカ中西部のシカゴの学校についてのドキュメンタリーで、世界の優れたテレビ番組などを表彰する国際的な賞、「ジョージ・フォスター・ピーボディー賞」を受賞したこともあるということです。

ニューヨーク・タイムズは「われわれは深く悲しんでいる。ルノーさんは才能のある映像作家だった」とコメントしています。

兄のクレイグ・ルノーさんはNHKの取材に対し「彼はロシア兵に殺された。首を銃撃された。防弾チョッキを着ていたが、防げなかった。キエフから避難している人たちを撮影していた。彼は自分が伝えようとしていた人たちのことを気にかけていた。私たちは悲しみにうちひしがれている」とコメントしています。

同行のカメラマン 当時の状況を語る

首都キエフの近郊でロシア軍に銃撃され死亡したアメリカ人のジャーナリストに同行していた男性カメラマンが、搬送されたキエフ市内の病院で13日、当時の状況を語りました。
カメラマンは「イルピンの橋をわたって、住民が避難するところを撮影する予定だった。私たちが車に乗って、検問所を過ぎたときに銃撃が始まった。ブレント・ルノーさんは首を撃たれた」と当時の状況について説明しています。

ユネスコ「決して標的にされてはならない」

ウクライナの首都キエフの近郊でアメリカ人のジャーナリストがロシア軍に銃撃され死亡したと伝えられたことについて、ユネスコ=国連教育科学文化機関のアズレ事務局長は13日、「ジャーナリストは紛争中に情報を提供する重要な役割を担っており、決して標的にされてはならない。ジャーナリストとメディアで働く人たちが確実に保護されるよう、国際的な人道基準を尊重するよう求める」という声明を発表しました。

また、世界のジャーナリストの権利を守る活動をしている「国境なき記者団」も13日、「深く心を痛めている。この攻撃がどのような状況で行われたのか明らかにするよう求める。ジャーナリストが戦闘の標的にされてはならない」とSNSで非難しました。
磯崎官房副長官は記者会見で「報道の自由はいかなる国でも尊重される必要がある。報道が事実だとすればジャーナリストを含む一般市民への攻撃は断じて容認できない」と述べました。
また、現地に滞在する日本人はおととい時点で60人あまりだとしたうえで「日本人の生命や身体に被害が及んだという情報には接していない」と述べました。