高血圧の予防や改善へ 減塩の食品広める動き広がる

生活習慣病の増加が課題となる中、高血圧の予防や改善には塩分の摂取を控えることが重要な要素だとして、厚生労働省は、食品メーカーなどと協力して減塩の食品を広める取り組みを進めていくことになりました。

脳卒中や心臓病にもつながる高血圧は、厚生労働省によりますと薬を飲んで低く抑えている人を除いても成人男性の30%、女性の25%が該当し、食事面での最大の原因は塩分の取り過ぎだとしています。

このため、厚生労働省は、今月9日、減塩の食品を広げようと、パンや菓子のメーカーなど12社からなる新たな組織を設立しました。

設立の会合では「減塩」に対しておいしくないというイメージを持つ消費者もいて、「減塩」と記載した食品は敬遠されると感じる企業があるといった課題が紹介されました。

そのうえで、それぞれの企業が作っている減塩の計画の進捗(しんちょく)や課題について研究者も含めて定期的に意見交換し、情報発信のために企業どうしが連携していくことを確認しました。

厚生労働省によりますと、日本人1人あたりの食塩摂取量は2019年は1日10.1グラムで、WHO=世界保健機関が推奨する1日5グラム未満の2倍に上り、韓国やアメリカなど他国と比べても多くなっています。

厚生労働省は、コロナ禍で弁当や総菜などを購入して家で食べる機会も多い中、知らないうちに塩分を取り過ぎてしまうことも懸念されるとして減塩の重要性は増しているとしています。

厚生労働省栄養指導室の清野富久江 室長は「これまでは個人の行動を変えるという啓発が中心だったが、それだけでは限界があり、手に取るものが減塩であるということが重要になってくる。流通する食品の食塩の量が自然に少しずつ減っていくことが課題解決の糸口になる。企業、流通、学術の連携した取り組みに結びつけたい」と話しています。

コンビニでは“こっそり”減塩の動き

コンビニ大手のファミリーマートでは、自社ブランドの弁当や麺類などおよそ30の商品について、おととし8月までのおよそ1年間で、5%から30%の減塩を行いました。
▽ミートソーススパゲッティは4.4グラムから3.6グラムに、
▽ソース焼きそばは7.6グラムから5.2グラムに、
▽オムライスは6.2グラムから5.1グラムにそれぞれ食塩相当量を減らしました。

消費者の間で減塩の食品はおいしくないというイメージもあるとして、義務である栄養成分表示には食塩相当量を記載するもののパッケージなどに減塩を強調する表示は行いませんでした。

これまでのところ、客から「味が変わった」とか「おいしくなくなった」といった声は寄せられておらず、売れ行きに大きな変化はないということです。

食塩を使った場合となるべく変わらない味にするためには調理法にこだわったりだしを効かせたりする必要があり手間やコストはかかりますが、今後も健康に配慮した商品を戦略的に提供していく計画です。

40代の男性客は「減塩されているとは感じませんでした。しょっぱいとやっぱりおいしく、ついつい塩分を取りがちなのでありがたいです」と話していました。

また、50代の男性客は「健康診断で血圧が高いと言われるようになってきたので、今まで以上に気を遣っています。おいしければ減塩にこしたことはないです」と話していました。

ファミリーマート商品本部の木下紀之さんは「減塩と掲げることで、売り上げが落ちたり、長続きしないのではと感じ、減塩をアピールするより言わば“こっそり”減塩を行った。減塩でありながらおいしい商品を提供できるのか取り組んでいきたい」と話しています。
大手食品メーカーの日清食品は、カップめんの減塩を進めています。

健康への意識が高まる中で多くの人に手にとってもらえる商品作りが欠かせないと考えているためです。

ただ、「めん」に含まれる塩の量を単純に減らすと味が薄くなったり食感が悪くなったりします。

そこで、減塩が可能となる方法を探した結果、にがりの主成分である
「塩化マグネシウム」などをめんに加えると、味や食感などが大きく変わらなかったということです。

これにより、3年前に発売が始まった減塩の「カップヌードル」では、それまで1食あたり4.9グラムだった食塩相当量をおよそ30%少ない3.2グラムに減らすことができたということです。

日清食品マーケティング部の白澤 勉ブランドマネージャーは「コロナ禍で家で食べてもらう機会も増えているが、健康を気にする人も増えているのでラインアップをそろえることが重要だと考えている。長く続けて食べられるにはやはりおいしいことが一番重要で、ふだんと変わらない味のなかで、減塩を果たすということが大きなポイントだと思う」と話していました。

取り組み 海外でも

減塩の取り組みは海外でも積極的に進められています。

厚生労働省によりますとイギリスでは、2003年から加工食品に含まれる食塩の量を40%減らす目標を設定し、パンやシリアル、パスタソースなど85品目について減塩を進めています。

味の変化などが際立たないように企業に協力してもらい食品中の食塩の量を段階的に減らしているということです。

ハンガリーでは、2011年に法律を策定し、100グラムあたり1グラム以上の食塩が含まれるスナック菓子などに対して課税を行っています。

厚生労働省は生活習慣病の予防や改善のため、1日あたりに摂取する食塩相当量の目標を▽男性は7.5グラム未満、▽女性は6.5グラム未満としています。

一方で、2019年の日本人の1日あたりの食塩摂取量は平均で10.1グラムと大幅に上回っています。