独仏と電話会談もプーチン大統領「停戦の意思見られず」

ロシア軍がウクライナの首都キエフの包囲に向けて侵攻を続ける中、ドイツのショルツ首相とフランスのマクロン大統領は12日、ロシアのプーチン大統領と電話で会談し、直ちに停戦するよう強く求めました。しかし、プーチン大統領に戦争をやめる意思は見られなかったということで、戦闘のさらなる激化が懸念されます。

ウクライナへの侵攻を続けるロシア軍は12日、首都キエフ周辺の軍用の飛行場や施設を攻撃したと発表したほか、部隊を3方向から前進させているとみられ、首都包囲に向けて攻勢を強めています。

各地でも激しい戦闘が続いていて、国連人権高等弁務官事務所は、11日までに42人の子どもを含む少なくとも579人の市民が死亡したと明らかにしました。
ICRC=赤十字国際委員会は12日、ウクライナ東部のマリウポリにいるスタッフから伝えられた話として現地の情報をツイッターに投稿しました。

それによりますと、現地では電気やガス、水道が寸断され、食料や飲料水が底をつき始めていて、スタッフたちは自宅にあった食料などを持ち寄り事務所で避難生活を続けているということです。

現地スタッフの1人は「人々は寒さで病気になっています。本当に寒いです」と述べ、避難生活の厳しい環境を訴えています。

ICRC=赤十字国際委員会のフローリアン・セレックス広報官は10日、NHKのインタビューに対し、「支援の必要性が爆発的に増している」と危機感を示したうえで、「紛争の当事者は市民が安全に避難できるよう具体的かつ効率的な合意を行う必要がある。それがいま最も重要だ」と述べ、一刻も早い停戦の実現を訴えました。
ウクライナのゼレンスキー大統領は12日に公開した動画で「ロシア軍は戦車や戦闘機などに大きな損失が出ている」としたうえで、「ロシア軍は新たに部隊を投入しているが私たちは絶対に諦めない」と市民に一致団結して抵抗するよう呼びかけました。
こうした中、ドイツのショルツ首相とフランスのマクロン大統領は12日、ロシアのプーチン大統領と電話で会談しました。
ドイツ政府の報道官によりますと、ショルツ首相とマクロン大統領はプーチン大統領に対し、直ちに停戦するよう強く求めたということです。
しかし、フランス大統領府によりますと、会談でプーチン大統領に戦争をやめる意思は見られなかったということで、戦闘のさらなる激化が懸念されます。
一方、ロシア大統領府によりますと、プーチン大統領は停戦をめぐるロシアとウクライナの代表団による交渉が、ここ数日間、オンライン形式で行われていたと明らかにし、交渉の内容を両首脳に説明したとしています。

ただ、交渉の詳細については明らかにしていません。

双方の代表団は今月7日にベラルーシで対面での3回目の交渉を行いましたが、大きな進展は見られていませんでした。