【随時更新】ロシア ウクライナに軍事侵攻(13日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる13日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア治安機関FSB幹部「軟禁」と報道

ロシアの独立系ネットメディア「メドゥーザ」は11日、ロシアの治安機関FSB=連邦保安庁にある対外諜報部門のトップが自宅軟禁に置かれた可能性があるという情報を伝えました。

治安機関について長く取材してきたジャーナリストのソルダトフ氏が情報筋から得た話としていて、対外諜報活動を担う部門のトップ、セルゲイ・ベセダ氏など2人が「ウクライナでの作戦資金の不正使用や不確かな情報提供」を理由に自宅軟禁に置かれたということです。

またイギリスの新聞「タイムズ」は12日、ソルダトフ氏の話に加え、亡命しているロシアの人権活動家オセチキン氏も自宅軟禁の情報を確認し、FSBがモスクワ周辺の20か所余りの関係先を捜索したとも伝えています。

「メドゥーザ」などは、ソルダトフ氏の話として、ロシアによる軍事侵攻前、ベセダ氏などがウクライナ情勢の報告にあたり「指導者を怒らせることを恐れ、聞きたい情報だけを伝えた。作戦開始から2週間がたち、プーチン大統領はようやく誤りに気づいた」と報じています。

情報の信ぴょう性は確認できていませんが、アメリカ政府などは、ウクライナ側の抵抗を受けてプーチン政権にとっての「軍事作戦」が想定より遅れているとの見方を示していて、政権内部の国防省や治安機関の間で責任の所在をめぐり対立が起きている可能性もうかがえます。

ローマ教皇「許されない攻撃」

ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇は13日、バチカンでの日曜日の祈りでウクライナ東部のマリウポリなどでのロシア軍の攻撃について触れ、「子どもたちや罪のない人々を殺害するという残酷な行為に戦略上の理由などない。街が墓地になる前にこの許されない武力攻撃を止めることが必要だ」と訴えました。

そして「交渉に向けた、真の、決定的な動きが起きますように。また人々が安全に避難できますように。そしてこの虐殺を止めてください」と訴え、多くの信者たちとともに、平和への祈りをささげました。

台湾でウクライナとの連帯示すデモ

台北市内の公園から総統府の近くまでのおよそ2キロを、「ウクライナ頑張れ」などと叫んだり、国旗を振ったりして練り歩きました。

若者や台湾在住のウクライナ人らでつくる民間団体が呼びかけ、およそ1500人が参加したということです。

20代の男性は「台湾もウクライナも近くに強国があって軍事的な脅威を受けています。だから台湾はウクライナの側に立つべきだと思い、デモに参加しました」と話していました。

また、20代の女性は「プーチン大統領が起こした戦争はロシア人とウクライナ人の両方を傷つけるもので、今すぐ終わらせてほしい」と訴えました。

マリウポリでは1人も避難できず

ウクライナのベレシチュク副首相は「人道回廊」と呼ばれる避難ルートを使って、12日にはおよそ1万3000人が北東部のスムイや首都キエフ近郊などから避難したと明らかにしました。

およそ7000人だった前日からは倍増したものの、避難が想定どおり進まなかった地域もあるということで、このうち東部マリウポリについては、住民を乗せるために向かった車両がロシア軍に5時間にわたって留め置かれたため到着できず、1人も避難させられなかったということです。

マリウポリをめぐっては、11日には市内に入ったロシア軍の戦車に建物が砲撃を受ける瞬間の映像が伝えられているほか、南東部のザポリージャから向かっていた車両がロシア軍に食料や衛生用品を奪われたと地元の州政府が明らかにするなど、人道状況のさらなる悪化が懸念されています。

ロシア軍 ウクライナ西部にある軍の施設に空爆

ウクライナの軍当局は13日、ロシア軍がウクライナ西部にある軍の施設「国際平和維持治安センター」に空爆を行ったと明らかにしました。

地元の知事によりますと、30発以上のミサイルが発射されて少なくとも35人が死亡、134人がけがをしたということです。

また、ウクライナのレズニコフ国防相はツイッターで「センターでは外国人の教官が活動している」としたうえで「平和と安全への新たなテロ攻撃だ」と非難しました。

ウクライナ クレバ外相「キエフ郊外 壊滅的な被害」

クレバ外相は12日、アメリカのNPOが主催したオンラインイベントで「キエフに侵攻し、占領しようというロシア軍の最初の試みは打ち破られ、彼らは甚大な損失を出したが、代償としてキエフ郊外のブチャが壊滅的な被害を受けた」と述べ、首都キエフをめぐる攻防は、依然、切迫した状況が続いているとの認識を示しました。

また、病院などの民間施設が大きな被害を受けた東部マリウポリについては「ロシア軍はクリミア半島と直接つながる陸路を確保するため、多大な犠牲を払ってでも占領しようとしているが、そうなればウクライナはアゾフ海から遮断されるため激しく抵抗している」と説明しました。

さらに「ロシア軍はシリアでの戦略と同じで空爆で都市を破壊して戦意を喪失させ、その後、地上部隊を投入する。この戦術では多大な民間人の犠牲を出す」と述べ、ロシア軍の攻撃を改めて強く非難しました。

在日ウクライナ人など 都内で戦争に抗議する集会

ロシアによる軍事侵攻が続く中、日本に住むウクライナ人などが、東京都内で戦争に抗議する集会を開きました。

東京の新宿駅前で開かれた集会には、SNSの呼びかけに応じた日本に住むウクライナ人など、およそ40人が参加しました。

参加者は、ウクライナの国旗を掲げたり羽織ったりしながら、「戦争反対、ロシアを止めよう」などと声を上げ、通りかかった人に募金を呼びかけていました。

NATO事務総長 “ロシアが化学兵器使用を計画する可能性”

NATO=北大西洋条約機構のストルテンベルグ事務総長はドイツの新聞、ウェルトの取材に応じ、ウクライナで化学兵器や生物兵器の研究が行われているという「ばかげた主張」をロシア政府が繰り返しているとしたうえで「こうした虚偽の主張をしているロシアが、うそをもとに化学兵器を使用することを計画する可能性があるので、われわれは警戒するべきだ」と述べ、警戒感を示しました。

“モスクがロシア軍の砲撃受ける” ウクライナ外務省

ウクライナ外務省は12日、東部のマリウポリ市内にあるイスラム教の礼拝施設のモスクがロシア軍による砲撃を受けたとツイッターに投稿しました。

モスクには、トルコ人を含む80人以上の大人や子どもが避難しているとしていますが、死傷者が出たかどうかについては言及していません。

一方、このモスクの運営者は海外メディアの取材に対し、ロシア軍は周辺の地区を攻撃しているものの、砲弾はモスクから700メートルほど離れた場所に着弾し、モスク自体に被害はなかったと話していて、情報が錯そうしています。

米 ウクライナに最大2億ドルの軍事支援を追加へ

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続く中、アメリカのブリンケン国務長官は12日、声明を発表し、ウクライナに最大2億ドル、日本円にして230億円余りの追加の軍事支援を行うことを明らかにしました。

ロシア軍の装甲車や軍用機といった脅威への対応などが目的で、アメリカの有力紙ニューヨーク・タイムズは、バイデン政権高官の話として、対戦車ミサイル「ジャベリン」や地対空ミサイル「スティンガー」などが含まれると伝えています。

バイデン政権は先月26日、最大で3億5000万ドルの軍事支援を発表していて、今回の追加支援によって、政権発足後、ウクライナへの軍事支援は12億ドルに上るということです。

声明の中で、ブリンケン長官は「アメリカはウクライナの主権と領土保全に関与し、必要な支援を続けていく」としています。

ザポリージャ原発「ロシアが管理しようとしている」

IAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長は12日、声明を発表し、ウクライナ南東部にあるザポリージャ原子力発電所をロシア国営の原子力企業ロスアトムが完全かつ恒久的に管理しようしているとウクライナ側から報告を受けたとしています。

ウクライナ国営の原子力企業の報告では、ザポリージャ原発はロシア軍司令官の指揮下にあり、およそ400人のロシア兵士がいるということです。

一方、ロスアトムの代表はグロッシ事務局長に対して、ロスアトムの専門家がザポリージャ原発にいることは認めたものの、原発の運用は掌握しておらず、原発を管理体制に組み込む意図もないと否定したとしています。

独仏首脳 プーチン大統領と電話会談も「停戦の意思見られず」

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をめぐり、ドイツのショルツ首相とフランスのマクロン大統領は12日、ロシアのプーチン大統領と電話で会談しました。

ドイツ政府の報道官によりますと、電話会談は75分間行われショルツ首相とマクロン大統領はプーチン大統領に対し、直ちに停戦するよう強く求めたということです。

しかし、フランス大統領府によりますと、会談でプーチン大統領に戦争をやめる意思は見られなかったということです。

一方、ロシア大統領府によりますと、プーチン大統領は停戦をめぐるロシアとウクライナの代表団による交渉が、ここ数日間、オンライン形式で行われていたと明らかにし、交渉の内容を両首脳に説明したとしています。

ただ、交渉の詳細については明らかにしていません。

双方の代表団は今月7日にベラルーシで対面での3回目の交渉を行いましたが、大きな進展は見られていませんでした。

「ウクライナで少なくとも579人が死亡」

国連人権高等弁務官事務所は、ロシアによる軍事侵攻が始まった先月24日から今月11日までにウクライナで少なくとも579人が死亡したと発表しました。

このうち42人は子どもだということです。

亡くなった579人のうち、130人が東部のドネツク州とルガンスク州で、ほかの449人は首都キエフや第2の都市ハリコフ、北部のチェルニヒウ、南部のヘルソンなど各地で確認されています。

犠牲者の多くは砲撃やミサイル、空爆などによって命を落としたということです。

また、けがをした人は1000人を超えたということです。

国連人権高等弁務官事務所は、数百人の死傷者がいるとされる東部マリウポリなど、詳しい状況が確認できていないケースも多いとしていて、亡くなった人やけがをした市民は実際にはさらに多いとみられます。

ゼレンスキー大統領「約1300人のウクライナ兵が死亡」

ウクライナのゼレンスキー大統領は12日に開いた記者会見で、ロシアによる軍事侵攻が始まって以降「およそ1300人のウクライナ兵が死亡した」と明らかにしました。

また「われわれにとってこの戦争での勝利はウクライナ人が生き続け、ウクライナを存続させることを意味する。ウクライナの存続を望むのであれば、勝つしかない」と述べ、降伏する意思がないことを改めて強調しました。

「マリウポリでは電気 水道が寸断」

ICRC=赤十字国際委員会は12日、ウクライナ東部のマリウポリにいるスタッフから伝えられた話として現地の情報をツイッターに投稿しました。

それによりますと、現地では電気やガス、水道が寸断され、食料や飲料水が底をつき始めていて、スタッフたちは自宅にあった食料などを持ち寄り事務所で避難生活を続けているということです。

同じ建物にはおよそ65人の市民も避難しているということです。

現地スタッフの1人は「人々は寒さで病気になっています。本当に寒いです」と述べ、避難生活の厳しい環境を訴えています。
また、「発電機用の燃料が残っているため、1日に3、4時間は電気を使うことができる。水がなくなったら川の水を沸かして使うつもりだ。ほかの人たちと比べれば比較的恵まれている」と述べ、現地ではさらに過酷な状況で避難を続けている人がいることも明らかにしました。

ICRC=赤十字国際委員会のフローリアン・セレックス広報官は10日、NHKのインタビューに対し、「支援の必要性が爆発的に増している」と危機感を示したうえで、「紛争の当事者は市民が安全に避難できるよう具体的かつ効率的な合意を行う必要がある。それがいま最も重要だ」と述べ、一刻も早い停戦の実現を訴えました。

北部の都市で爆撃 ウクライナ公共放送が伝える

ウクライナの公共放送は動画投稿サイト、ユーチューブで国内各地の被害状況を英語で連日、伝えています。

12日の動画では、ウクライナ北部の都市チェルニヒウで深夜、ロシア軍が中心部にあるホテルなどを爆撃し、周辺の建物をことごとく破壊したと伝えています。

この攻撃でけがをした人はいませんでしたが、一帯では停電が続いているほか、携帯電話やインターネットがつながりにくい状態で、復旧に向けた取り組みが進められているということです。

また、首都キエフ近郊にある軍の飛行場周辺にミサイル6発が着弾し、弾薬庫の燃料タンクが炎上して人々が消火に追われる様子を伝えています。

一方、第2の都市ハリコフ近郊では複数の医療機関が前日に続いて砲撃を受け、ガスが使えなくなったほか、一部で停電が起きていると伝えています。

映像には砲弾によると見られる痕が建物に多く残っている様子や、窓が割れた救急車などが映されていて、被害の大きさを物語っています。

この日は犠牲者はいませんでしたが、前日の攻撃では3人が亡くなったほか、病院のスタッフがけがをしたということです。

西部チェルニフツィ市は支援物資送る拠点に

ルーマニア国境から40キロほど離れたウクライナ西部にはヨーロッパ各国から送られた医薬品などの支援物資が集まり、国内各地に送り届ける拠点になっています。

ウクライナ西部チェルニフツィ市はルーマニア国境までおよそ40キロのところにある人口およそ26万人の街です。

首都キエフまで500キロ余り離れていますが、市内各所にはウクライナ軍の兵士が配置され、市役所の入り口には土のうが積まれるなどロシア軍の侵攻に備えていました。

中心部にある病院にはヨーロッパ各国から届けられた薬や医療器具などの支援物資が集まり、薬剤師やボランティアが仕分け作業に追われていました。

この病院によりますと、戦闘が続いている地域の病院の求めに応じて、必要とされる医薬品などを届けているということです。

一方、市の中心部にあるスーパーでは食用油や小麦粉の購入が制限されていたほか、街角には空爆に備え、地下シェルターの場所を知らせる貼り紙が張られるなど、市民生活に暗い影を落としています。

また、チェルニフツィ市によりますと、戦闘などで家を追われた人たちのため、50か所余りの公共施設などに避難所を設けていて、現在、およそ4万人を受け入れているということです。

ロマン・クリチュク市長は「ここはまだ空爆を受けていない街の1つなので安全だ。軍や警察などと常に連携をとって情報収集をしている。シェルターなども準備している」と話していました。

また、支援物資の拠点となっている病院のビクトル・プロッツ院長は「砲撃などの被害を受けて東部などでは包帯や、やけど用の薬が足りていません。けが人に医薬品が届いていないという情報が各地の病院から寄せられている」と話していました。

キエフから家族14人で避難しているという女性は「最初に避難していたキエフ近郊の息子の家の近くに砲撃を受けたので、ここに逃れてきました。ウクライナのために力になりたいので、国内に残るつもりです」と声を詰まらせながら話していました。