ウクライナ支援 「NFT」使ったデジタルアート販売の動き広がる

ロシアが軍事侵攻したウクライナの支援に向けて、「NFT」と呼ばれる技術でオリジナルであることを証明したデジタルアートを販売し、協力を呼びかける動きが広がっています。

「NFT」はデジタル分野の作品がコピーでなくオリジナルだと証明する技術で、この方法で認証されたデジタルアートがインターネット上で実物の絵画と同じように販売されるようになっています。

こうした中、ウクライナの首都キエフの市長の弟で元プロボクサーのウラジーミル・クリチコさんは、アメリカのアーティストと協力してウクライナの国旗と同じ青と黄色の熊のデジタルアートを制作し、今月9日、販売を始めました。

収益はすべて赤十字やユニセフ=国連児童基金を通じてウクライナの支援に充てるとしています。

ロシアからもこうした動きが出ていて、ロックバンド「プッシー・ライオット」のメンバーらはウクライナの国旗をデジタル化し購入を呼びかけました。

販売開始から5日間で670万ドル余り、日本円にしておよそ7億8000万円が集まったということです。

さらにデジタル転換相を兼務するウクライナのフョードロフ副首相もNFTの技術を活用してウクライナ軍を支援する計画を近く発表すると明らかにしていて、世界に支援を呼びかける新たな手段として広がっています。

「NFT」 急速に関心高まる

「NFT」はデジタルアートといったインターネット上の作品や商品がコピーでなくオリジナルであることを証明する技術です。

11日にアメリカ南部のテキサス州で始まった大規模な最先端技術のイベント、SXSW=サウス・バイ・サウスウエストでも今回初めてNFTをテーマにした催しが開かれ関心が急速に高まっています。

暗号資産にも使われるブロックチェーン技術を活用することでデジタル作品であってもコピーや偽造が難しくなるとされ、実際の絵画のように自分のものとして所有できるようになると期待されています。

「NFT」によって認証されたデジタルアートなどは専用のウェブサイトで暗号資産を使って売買され、世界中どこからでも購入できる仕組みがウクライナ支援の手段になった背景にあるとみられています。

アメリカの金融サービス会社ジェフリーズはNFTの市場規模が2025年には800億ドル(日本円でおよそ9兆3600億円)に拡大すると見込んでいます。