【詳しく】ロシア ウクライナに軍事侵攻(12日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる12日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

衛星画像「マリウポリで高層建物 数十棟に被害」

人工衛星を運用するアメリカの民間企業「マクサー・テクノロジーズ」は最新の衛星画像を公開し、ウクライナ東部のマリウポリで数十棟にのぼる高層の建物に大きな被害が出ていると説明しています。

現地時間12日午前にマリウポリの西側にある工業地帯で撮影されたという画像では、建物から火が出て黒い煙が立ち上っているのが確認できます。

また、12日午前にマリウポリの西側で撮影されたという画像と、去年6月に同じ場所で撮影されたという画像との比較では、高層の建物が壊れて煙が立ち上っているほか、周囲にあった緑が焼けて黒くなっている様子が確認できます。

「ロシア軍が砲撃する」映像も

ウクライナ東部のマリウポリで11日に撮影された映像では、ロシア軍とみられる戦車が高層の建物に向けて砲撃する様子が確認できます。

戦車が発砲した直後、ドンという大きな音が響き、建物からは煙と炎が立ち上っていました。

市内の病院には次々とケガをした人たちが運び込まれ、医師たちが治療にあたっていました。

自宅が砲撃を受け子どもを失ったという女性は「砲撃で地下に閉じ込められ、2人の子どもが死にました。誰も彼らを救うことができませんでした」と涙ながらに話していました。

ゼレンスキー大統領「ロシア軍は戦車などに大きな損失」

ウクライナのゼレンスキー大統領は12日に公開した動画で、「ロシア軍は戦車や戦闘機などに大きな損失が出ている」としたうえで、「ロシア軍は新たに部隊を投入しているが私たちは絶対に諦めない」と、市民に一致団結して抵抗するよう呼びかけました。

また、「人道回廊」と呼ばれる避難ルートをめぐって、東部のマリウポリなどに食料や水、薬を届けて民間人を避難できるようにするために、「ロシア軍は絶対に攻撃しないように保証してほしい」と強く求めました。

さらに、ヨーロッパ委員会とEUの加盟に向けた手続きについて早急に合意するよう努力していることや、ロシア経済に打撃を与えるためヨーロッパに新たな制裁を期待していることを明らかにしました。

南部の都市メリトポリの市長を「ロシア軍が拉致」

ウクライナの外務省は、ロシア軍が掌握したとする南部の都市メリトポリで11日、イワン・フェドロフ市長がロシア軍に拉致されたと訴え、「戦時に民間人を人質に取ることを禁じたジュネーブ条約などで、戦争犯罪に分類されるものだ」と非難する声明を出しました。

そのうえで、「フェドロフ市長をはじめとする民間人の拉致に直ちに対応し、ウクライナの人々に対するロシアの野蛮な戦争を終わらせるよう圧力を強めることを国際社会に対して求める」などとしています。

拉致された際の様子が映っているとして、ウクライナ政府が公開した監視カメラの映像では、男性が腕を捕まれて軍服を着た集団に連れ去られるような様子が確認出来ます。

これについてウクライナのゼレンスキー大統領は11日、「明らかに侵略者の弱さの表れだ」と述べ、軍事侵攻を進めるロシア側が、新たな手法でウクライナ側に圧力を強めようとしていると非難しました。

国外避難は259万人超に 国連

UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のまとめによりますと、ロシアによる軍事侵攻を受けてウクライナから国外に避難した人の数は11日時点で259万人を超えました。

このうちおよそ6割にあたる157万人あまりがポーランドに避難したということです。

このほか、ハンガリーに避難した人が23万人あまり、スロバキアが18万人あまり、モルドバが10万人あまりなどとなっています。

また、ロシアに避難した人も10万人あまりとなっています。

キエフ市長「市内に約200万人の住民がいる」

ロシア軍の部隊が迫っているウクライナの首都キエフのクリチコ市長は11日、ロイター通信の取材に対し「市内には、依然およそ200万人の住民がいる。ガスや水道、それに電気の供給は続いていて生活物資は2週間分は確保できている」と述べました。
またロシア軍について「彼らの標的は首都キエフだ。われわれはキエフを守り抜く覚悟が出来ている。また、前哨基地をつくる準備もできている」と述べました。

ロシア政府 欧米などへの輸出禁止措置を発表 200以上の品目で

ロシア政府は10日、一部の製品を欧米などに輸出することを一時的に禁止する措置を発表し、対象品目を公表しました。
輸出禁止の対象となるのは、通信や医療機器、農業機械や金属加工機械、鉄道車両やタービンなど合わせて200以上の品目です。
期間は、ことしの年末までで、ロシアがベラルーシやカザフスタンとつくるユーラシア経済連合の加盟国への輸出は認めるとしています。

“東部のボルノバハ 親ロシア派武装勢力に制圧される” ロイター

ロイター通信は、ロシアメディアの情報として、11日、ウクライナ東部のドネツクとマリウポリの間にある都市、ボルノバハが親ロシア派の武装勢力に制圧されたと伝えています。
ロイター通信が11日にこのボルノバハの様子を撮影した映像では、攻撃を受けた住宅が激しく壊れている様子や、地下ごうに身を寄せている人たちの姿が映されています。

チェルノブイリ原子力発電所 送電線の修理始まる IAEA

IAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長は11日、声明を発表し、ロシア軍に占拠され、電源が失われたウクライナ北部のチェルノブイリ原子力発電所で、電源供給を回復させるために損傷した送電線の修理が始まったことを明らかにしました。

“攻撃受けた病院で撮影の妊婦 元気な女の子を出産”

安保理の緊急会合で、ウクライナのキスリツァ国連大使は、マリウポリで9日、ロシア軍の攻撃を受けた病院で撮影された女性について、ロシア側が著名なブロガーでけがをした妊婦を演じている可能性があるなどと主張しているのに対し、キスリツァ国連大使はタブレット端末で写真を見せながら「よいニュースをお知らせする。妊婦のマリアンナさんは昨夜、元気な女の子を出産した。名前はベロニカだ」と述べ、ロシア側の主張を否定しました。その上で、「ウクライナで人々が殺され、街が破壊されているのに、われわれは安保理の議場でロシアの不条理なうそを聞かされている。ロシアの野蛮な行為に対抗するため断固とした姿勢が必要だ」と訴えました。

マリウポリで「1582人の住民が殺害された」ウクライナ国連大使

ウクライナのキスリツァ国連大使は安保理の緊急会合でウクライナ東部のマリウポリの状況について「ロシア軍の無差別攻撃で美しい街はほぼ破壊され、地元当局によると1582人の住民が殺害された。第2次世界大戦以来はじめて人々が集団墓地に埋葬されている」と述べました。

岸田首相 ロシアへの追加制裁「G7と協調しながら具体的な行動」

岸田総理大臣は訪問先の宮城県石巻市で記者団に対し、G7=主要7か国の首脳が共同声明を発表したことについて「ロシアによるウクライナ侵略は国際秩序の根幹を揺るがすものであり、G7として決して許さず認めないという姿勢とウクライナとの連帯を改めて結束して示すことを表明した」と説明しました。
そして、ロシアに対する追加の制裁措置について「政府として声明に基づいてG7と協調しながら具体的な行動をとっていきたい。各国とも具体的な取り組みを進めようとしているので、日本もどうあるべきかしっかり考えたい」と述べました。

“「人道回廊」での避難 約7000人にとどまる” ウクライナ大統領

ウクライナのゼレンスキー大統領は12日、動画を公開し、11日に国内の4つの都市から「人道回廊」と呼ばれる避難ルートを使って避難した人がおよそ7000人にとどまったと明らかにしました。
ウクライナ政府は、9日におよそ3万5000人、10日にはおよそ4万人が避難していたとしていて、ゼレンスキー大統領は「ロシア軍が住民の避難を妨害している」と主張しました。

国連安保理 ロシアの主張に各国から非難相次ぐ

国連安全保障理事会ではロシアが「ウクライナで生物兵器が開発されている」と主張していることについて協議が行われ、国連はそうした開発計画を把握していないと報告したほか、各国からも「ロシアは安保理でうその情報を広げるべきではない」といった非難が相次ぎました。

「マリウポリ避難生活 食料数日分」赤十字国際委員会

ICRC=赤十字国際委員会は11日、ツイッターに、ウクライナ東部のマリウポリにいる現地職員サシャ・ヴォルコフさんの音声メッセージを公開しました。

ヴォルコフさんは、事務所が入っている建物で子どもを含む60人余りが避難生活を送っていることを明らかにしたうえで「食料は数日分しかなく、湿気と寒さで体調を崩している人もいる。衛生的な環境を整えようと努めているが難しいのが実情だ」と述べ、厳しさを増す避難生活の様子を伝えています。

そして「今のところ水は確保できているものの、不足した場合は小川の水を煮沸して使うことにしている。発電機の燃料は残っているが、電気が使えるのは1日3時間か4時間だ」と述べ、避難生活が長期化することへの不安もにじませています。

「ロシア軍 キエフ北東約15キロに」米国防総省高官

アメリカ国防総省の高官は11日、記者団に対し、ウクライナの首都キエフに向けて進んでいるロシア軍の部隊が中心部からおよそ15キロの位置にまで近づいたのに続いて、北東方向から進む別の部隊もおよそ20キロから30キロの位置にまで近づいたと明らかにしました。

プーチン大統領 中東から戦闘員派遣を指示

ウクライナに軍事侵攻したロシアのプーチン大統領は、11日、同盟関係にあるベラルーシのルカシェンコ大統領と会談し、今後の軍事作戦についても意見を交わしたとみられます。

また国家安全保障会議を開いて、中東からウクライナに戦闘員を派遣するよう指示し、今後、戦闘がさらに激化するのではないかと懸念が深まっています。

ウクライナで564人死亡 41人は子ども

国連人権高等弁務官事務所は、ロシアによる軍事侵攻が始まった2月24日から3月10日までにウクライナで少なくとも564人が死亡したと発表しました。

このうち41人は子どもだということです。

医療機関で12人死亡 WHOが強く非難

WHO=世界保健機関は11日、ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナで2月24日から3月9日にかけて、東部マリウポリの産科などが入る病院を含め、医療機関に対して26回の攻撃を確認し、12人が死亡、34人がけがをしたと明らかにしました。

WHOは医療機関への攻撃を強く非難しています。

G7共同声明 “ロシアの「最恵国待遇」取り消し目指す”

ロシアに対する追加の経済制裁について、G7=主要7か国の首脳は11日、共同声明を発表しました。この中では、学校や病院などでウクライナの市民に対する無差別の爆撃が行われているとして「このいわれのない不当な攻撃は、甚大な苦痛と悲劇的な人命の損失を引き起こしている」としてロシアを厳しく非難しました。

その上で、G7各国が、主要な製品の貿易をめぐってロシアの「最恵国待遇」を取り消すことを目指すとしています。

米英政府高官協議 “ウクライナを支援 ロシアに代償を払わせる”

アメリカとイギリスの政府高官によるインド太平洋地域の安全保障をめぐる協議が行われました。ウクライナを支援し、軍事侵攻を続けるロシアに代償を払わせることへの「日本やオーストラリアなどのかつてないほどの決意を理解している」としています。

米バイデン大統領 ロシアの「最恵国待遇」取り消す方針

アメリカのバイデン大統領は11日、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアに対する追加の経済制裁として、関税などでほかの貿易相手国と同じ条件を保障する「最恵国待遇」を取り消す方針を示しました。

議会で必要な手続きを進めるとしていて、実施されれば、ロシアからの輸入品に高い関税がかかる見込みです。

ゼレンスキー大統領「侵攻始まって16日 領土決して渡さない 」

ウクライナのゼレンスキー大統領は11日、公開した動画のなかで「侵攻がはじまってきょうで16日が経過した。これは敵が当初、見込んでいた日数の4倍の長さだ。われわれは自分たちの領土を決して渡さない」と述べ、ロシア軍への抵抗を続ける姿勢を強調しました。

そして「勝利を手にするためには、もう少し時間と辛抱が必要だ。われわれは勝利に向かって確実に進んでいる」と国民を鼓舞した上で、国際社会に対しては、ロシアへの経済制裁をいっそう強めることで、ウクライナを支援するよう呼びかけました。

国連人権高等弁務官事務所「ロシア軍 クラスター爆弾を使用か」

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続く中、国連人権高等弁務官事務所のエリザベス・スロッセル報道官は11日、スイスのジュネーブでの定例記者会見で「ロシア軍が人口が密集する地域などでクラスター爆弾を複数回使用したという信頼できる報告を受けた」と述べました。

具体的には2月24日、東部ドネツク州にある病院がクラスター爆弾による攻撃を受け、民間人4人が死亡、10人がけがをしたほか、第2の都市ハリコフでも複数回にわたって攻撃があり、民間人9人が死亡、37人がけがをしたということです。

スロッセル報道官は「人口密集地域でのクラスター爆弾の使用は国際人道法の原則に相いれないものだ」と強く非難しています。

ハリコフ 地下鉄の駅で避難生活

ウクライナ第2の都市ハリコフでは、今も多くの市民が安全を確保しようと地下で避難生活を続けています。

ロイター通信が11日に配信した動画では、多くの人が地下鉄の駅のホームなどに集まり、疲れた様子で毛布にくるまり地面に横たわっています。
またホームに停止した電車の中で過ごしている人もいます。避難している女の子は「ここに避難して1週間ほどになります。体調が悪く、早く家に帰ってゆっくり眠りたいです」と話していました。

また避難しているお年寄りは「住んでいた場所では常にミサイルなどの爆撃がありました。住んでいたアパートの一部も被害を受けました」と話していました。

ウクライナから250万人が避難

UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のまとめによりますと、ロシアによる軍事侵攻を受けてウクライナから国外に避難した人の数は11日時点で250万人を超えました。

このうちおよそ6割にあたる152万人あまりがポーランドに避難したということです。

このほか、
▼ハンガリーに避難した人が22万人あまり、
▼スロバキアが17万人あまり、
▼モルドバが10万人あまりなどとなっています。

また、
▼ロシアに避難した人も10万人あまりとなっています。

撤退企業の資産 “国営化”「外資出資比率 25%以上が対象」

ロシアのプーチン大統領が10日、ロシアからの事業撤退を決めた外資系企業に対して事実上、資産をロシア側のものにする方針を示したことについて、経済紙の「ベドモスチ」は経済発展省の案として「外資の出資比率が25%以上の企業が対象になる」と伝えています。

その案によりますと「外国の経営者が、裁判所の決定に従わず、事業の再開を拒否すれば、3か月後に会社は競売にかけられ、新たな会社が設立されることになる」ということです。

また、プーチン政権に近い新聞「イズベスチヤ」は10日、「国有化」という表現を使い、こうした手続きが適用される可能性がある企業はおよそ60社に上ると伝え、今後さらに対象が拡大される可能性もあるとしています。

ミシュスチン首相は、10日開かれた政府内の会議で「経営者の決断しだいで会社の命運が決まる。重要なのは雇用の維持だ」と述べ、生産拠点を閉鎖した外資系企業に対する新たな法律を策定するなど、具体的に進めていく考えを強調しました。