プーチン大統領 中東からウクライナに戦闘員派遣するよう指示

ウクライナに軍事侵攻したロシアのプーチン大統領は、11日、同盟関係にあるベラルーシのルカシェンコ大統領と会談し、今後の軍事作戦についても意見を交わしたとみられます。

また国家安全保障会議を開いて、中東からウクライナに戦闘員を派遣するよう指示し、今後、戦闘がさらに激化するのではないかと懸念が深まっています。

ウクライナに侵攻したロシア軍は
▼首都キエフを包囲する部隊が中心部まで15キロの地点に接近したほか
▼東部の要衝マリウポリにも攻勢をかけ、ウクライナ軍が抵抗を続けています。

市民の犠牲者は増え続け、国連人権高等弁務官事務所は、10日までに、41人の子どもを含む少なくとも564人の市民が死亡したと明らかにしました。

ウクライナのゼレンスキー大統領は11日「侵攻がはじまってきょうで16日が経過した。われわれは自分たちの領土を決して渡さない」と述べ、ロシア軍への抵抗姿勢を強調しました。

一方、ロシアのプーチン大統領はウクライナと国境を接し、同盟関係にあるベラルーシのルカシェンコ大統領と11日、モスクワで会談しました。

この中で「ソビエト連邦は、常に制裁を科されていたにもかかわらず、発展し、大きな成功を収めた。われわれも、いまは経済が大きな打撃を受けているが、欧米の制限を受けながらも、新しい技術を獲得し、強くなってきた」と述べ、協調して欧米に対抗するよう求めました。

ルカシェンコ大統領はロシアの軍事侵攻を支持する姿勢を示したうえで、ウクライナがベラルーシにとって脅威になっていると主張し、今後の軍事作戦についても意見を交わしたとみられます。

またプーチン大統領は11日、主要な閣僚を集めて国家安全保障会議を開き「ウクライナ東部の住民を助けたいと志願する人々が戦闘地域に行けるよう支援すべきだ」と述べ、ウクライナに、外国の戦闘員を送り込む方針を示しました。

会議の中でショイグ国防相は、1万6000人を超える中東出身者から志願兵の申請が寄せられていると発言し、友好国シリアの戦闘員を中心にウクライナに派遣する計画とみられています。

さらに、プーチン大統領は、アメリカがポーランドなどに派遣した軍の部隊の動きに警戒するよう指示し、欧米諸国がウクライナに対して軍事的な関与を深めないようけん制しました。

欧米は、ロシアに経済制裁を科したほか、ウクライナへの対戦車ミサイルなどの兵器の供与といった軍事支援も強化し、ロシアの軍事侵攻は想定以上に時間がかかっているとも指摘されています。

プーチン大統領としては、戦況の優位を保つため、態勢の強化に動いているものとみられ、今後、戦闘がさらに激化するのではないかと懸念が深まっています。