プーチン大統領 戦闘地域に外国の戦闘員送り込む考え示す

ロシア軍がウクライナへの軍事侵攻を続ける中、ロシアのプーチン大統領は国家安全保障会議を開催し、戦闘地域に外国の戦闘員を送り込む考えを示すとともに、押収した欧米製の兵器をウクライナの親ロシア派の武装勢力に提供するよう指示しました。
人員や兵器の投入を強化することで、戦況を有利に進めたい思惑があるとみられます。

ロシアのプーチン大統領は11日、ウクライナの軍事作戦を巡り、クレムリンで関係閣僚たちと国家安全保障会議を開催しました。

この中でショイグ国防相が「ウクライナ東部の戦闘に志願して参加したいという申請が、多くの人々、国々から寄せられている。特に中東からは1万6000人以上の申請がある」と報告しました。

これに対しプーチン大統領は「欧米側は、世界中からよう兵を集めてウクライナに送り込んでいる」と批判したうえで「ウクライナ東部の住民を助けたいと志願する人々が戦闘地域に行けるよう支援すべきだ」と述べ、今後ウクライナに外国の戦闘員を送り込む考えを示しました。

またプーチン大統領は、ウクライナ側から押収した欧米製の兵器を、ウクライナの親ロシア派の武装勢力に提供するよう指示しました。

アメリカなどがウクライナに軍事支援してきた対戦車ミサイル「ジャベリン」などが含まれているとみられます。

ウクライナで続くロシアの軍事侵攻が、ウクライナ軍の激しい抵抗などで、当初の想定より停滞しているとも指摘される中、プーチン大統領としては、人員や兵器の投入を強化することで、戦況を有利に進めたい思惑があるとみられます。

シリアで戦闘員登録手続き始まる

ロシアのプーチン大統領がウクライナに外国の戦闘員を送り込む考えを示す中、内戦が続くシリアの情報を集めている「シリア人権監視団」は8日に出した声明で、シリア国内で戦闘員の登録手続きが始まったと伝えています。

アメリカ政府も、7日、ロシアが戦力を増強するためにシリアで戦闘員を募集し、ウクライナに投入しようとしていると明らかにしています。

シリア人権監視団によりますと、戦闘員の募集は、アサド政権を支えるロシア側だけでなく、ウクライナ側についても反政府勢力の支配地域で登録手続きが始まっているということです。

ただ、戦闘員のウクライナへの派遣はまだ、いずれの側でも確認されていないとしています。

シリアの戦闘員は、これまでも金で雇われた「よう兵」として北アフリカのリビアや旧ソビエトのアゼルバイジャンとアルメニアの係争地での戦闘にも派遣されていて、紛争を複雑化する要因の1つともなってきました。