【解説】ゼレンスキー大統領とは 元駐ウクライナ大使が語る

ロシアの軍事侵攻に徹底抗戦の構えを示すウクライナのゼレンスキー大統領。ロシアに屈しない姿勢は大多数の国民に支持され、支持率は91%に急上昇しています。

コメディアンや俳優として活動する人気タレントだったゼレンスキー氏は、国民にどう受け止められ大統領になったのか、大統領としての印象は、
2014年から2019年までウクライナ駐在の大使を務めた角茂樹さんに聞きました。

ボロディミル・ゼレンスキー大統領は、ウクライナ東部出身の44歳。

ロシア語も堪能で、もともとはコメディアンや俳優として活動する人気タレントでした。

大統領の役で出演したドラマが大ヒットしたことを受けて、3年前(2019年)政治経験がないまま大統領選挙に立候補すると、若者を中心に幅広い支持を集め、決選投票では70%を超える得票率で、現職のポロシェンコ氏をやぶりました。

そしてヨーロッパとの統合路線を訴える一方で、対ロ強硬派として知られたポロシェンコ氏とは一線を画し、ロシアとの対話を重視する姿勢も示しました。

しかしロシアは、ウクライナ東部で政府軍と戦闘を重ねていた親ロシア派の武装勢力を支援し東部の住民にパスポートを発給するなど、ゼレンスキー政権に圧力をかけ続けました。

このため、ウクライナではゼレンスキー政権に対して弱腰だという反発の声があがったほか低迷する経済の立て直しに向けた政治手腕を不安視する声も強まり、大統領の支持率は去年30%台から40%台と低迷しました。

しかし先月24日、ロシアの軍事侵攻が始まると、ゼレンスキー大統領は徹底抗戦の構えを示し、SNSを駆使して国内外に動画やメッセージを積極的に発信します。

7日公開した動画では、首都キエフ中心部にある大統領府の中にとどまっていることを明かし、国民に徹底抗戦を訴えました。

ロシアに屈しないゼレンスキー大統領の姿勢は大多数の国民に支持され、軍事侵攻の直前の先月23日、41%だった支持率は、侵攻後、91%に急上昇しています。