パンデミック2年 WHO「ワクチン分配 不平等は流行長引かせる」

WHO=世界保健機関が、新型コロナウイルスの感染拡大がパンデミック=世界的な大流行になったとの認識を示してから2年となりました。
先進国を中心にワクチンの3回目の接種が進む一方、途上国では1回も接種できていない人が多くいて、WHOの専門家は新たな変異ウイルスの出現に備えるためにもワクチン格差の解消に向け、早急に取り組みを強化すべきだとしています。

WHOが、おととし3月に新型コロナウイルスの感染拡大がパンデミックになったとの認識を示してから、11日で2年となりました。

世界全体の感染者は、ことし1月下旬をピークに減少し、先週1週間に感染が確認された人は1050万人余り、先週1週間の死者も5万2000人と先月上旬以降減少しています。

その一方で新型コロナのワクチンの分配については、先進国を中心に3回目の接種が進む中、途上国などを中心にまだ1回も接種できていない人が世界で36%、アフリカでは84%にも上っています。

国連は、これまでにも「途上国などでウイルスの流行を許せば、ワクチンが効かない新たな変異がいずれ現れて、先進国でのワクチン接種の努力が台なしになる」と警鐘を鳴らしてきましたが、問題は依然残されたままです。

WHO「不平等はパンデミック長引かせる」

WHO=世界保健機関が新型コロナウイルスの感染拡大がパンデミックになったとの認識を示してから2年となるのに合わせて、WHOで対策の責任者を務めるマリア・バンケルコフ氏がNHKのインタビューにこたえました。

この中でバンケルコフ氏は、世界で新たに確認される感染者も死者も減少傾向にあることについて「世界で100億回を超えるワクチン接種が進んだことなどによるものだが今も接種を受けられない人が大勢いる。毎週5万人から7万人が亡くなっており信じられないくらい多い人数だ」と述べました。

そのうえで先進国を中心に3回目の接種が進む中、途上国などでまだ1回も接種できていない人が多くいることについて「複数の安全で有効な新型コロナのワクチンを開発できたことは科学の勝利だが、公平に分配できずにいることは道徳的な失敗だ。ワクチン分配の不平等はパンデミックを長引かせており、ことしこそは不平等の解消に取り組まなければならない」と述べ、ワクチンの公平な分配を加速させる必要があると訴えました。

専門家「ワクチン開発が新型コロナ制圧の鍵」

WHO=世界保健機関が、新型コロナウイルスがパンデミックになったという認識を示してから2年となることについて、感染症に詳しい東京医科大学の濱田篤郎特任教授は「最初は新型コロナウイルスがどういう特性を持ったウイルスかまったく分からなかったが、この2年で、感染経路や性質がかなり分かってきた。マスクの着用や密を避けるなどの対策が取られるようになり、また、ワクチンや治療薬も開発されていて、その点では大きな進歩がみられた」と指摘しました。

そのうえで、今後の新型コロナ対策のポイントとして濱田特任教授は「現状は、ワクチンを何回も打たなければいけないとか、変異株が出るたびに対応を考えなければならないなど不安定な状況になっている。これからは、より長く効果が続くワクチンや、新しい変異株にもある程度対応できるような、より効果の高いワクチンが必要だ。ワクチン開発にさらに力を入れていくことが新型コロナ制圧のいちばんの鍵になるのではないか」と話していました。