プーチン大統領 撤退企業の動きけん制「希望者に譲渡が必要」

ロシアのプーチン大統領は、ウクライナへの軍事侵攻を受けてロシアからの事業撤退を決めた欧米などの外資企業に対して「希望する者に譲渡することが必要だ」と述べ事実上、資産をロシア側のものにする考えを示し、撤退の動きをけん制しました。

プーチン大統領は10日、政府閣僚とのオンライン会議で、欧米などの企業が相次いでロシアからの事業を撤退したり一時停止したりしている現状を受けて「生産設備を停止する企業には断固とした態度で臨む必要がある」と述べました。

そして「外部の経営を導入し、希望する者に譲渡することが必要だ。そのための法的な解決策を見いだす」と述べ、事実上、設備などの資産をロシア側のものにする考えを示しました。

またミシュスチン首相は「経営者の決断しだいで会社の命運が決まる。重要なのは雇用の維持だ」と述べ、国内経済の混乱を防ぎ雇用を守るために新たな法案を策定していると明らかにしました。

プーチン大統領は今月5日、欧米諸国などがロシアに対する経済制裁を強化していることについて「宣戦布告のようなものだ」と述べ、強くけん制していて、経済面でも欧米との対立を一層深めています。

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けて、大手自動車メーカーのフォルクスワーゲンや家具大手のイケアなどが相次いでロシアでの事業見合わせを決めたほか、マクドナルドがロシアにあるすべての店舗を一時閉鎖すると発表するなど、ロシア離れの動きが加速しています。

松野官房長官「懸念をもって注視」

松野官房長官は午後の記者会見で「ロシアが、日本の国民や企業に不利益がおよびうるような方針を承認したことを懸念を持って注視している。すでに外交ルートを通じてロシア側に対し、日本国民や企業の正当な利益が損なわれないよう求めてきており、引き続き、適切に対応していきたい」と述べました。