【経済コラム】ロシア国債 デフォルトか?

ウクライナへの軍事侵攻をめぐり、欧米などから厳しい経済・金融制裁を科されたロシア。
そのロシアの国債が「投機的格付け」に落とされ、デフォルト=債務不履行になるのではないかという観測が強まっています。国債のデフォルトは、市場でのその国の対外的な信用力が失われることを示します。
デフォルトによって、ロシアそして世界の経済にどのような影響が及ぶのか?マーケットの警戒感が高まっています。(経済部記者 白石明大)

ロシア国債 投機的な格付けに引き下げ

ウクライナへの軍事侵攻と、欧米などによる経済・金融制裁が打ち出されたことを受けて、主要な格付け会社がロシア国債を相次いで投機的な格付けに引き下げました。

ムーディーズは下から2番目で「債務不履行かそれに近い状態」を示す「Ca」に、「フィッチ・レーティングス」も「C(デフォルトに近い状態)」にまで落としました。
国債のデフォルトとは、国債を発行する国=政府から、国債を買った金融機関などに対して、定められた期限どおりに利子の支払いや元本の返済が行われない状態のことを指します。

本来であれば、エネルギー輸出国であるロシアは、支払い能力を持っています。

しかし、ロシアはいま欧米などの制裁によって、ドルなどの外貨準備が凍結されたり、国際的な決済ネットワークから主な銀行が除外されたりしているため、外貨の確保が非常に難しくなっています。

ロシア国債 “すでにデフォルトに近い状態”か

こうした中、プーチン大統領は、対外債務を外貨ではなく自国通貨のルーブルで支払うことを認める大統領令に署名しましたが、決められた外貨での利払いや返済ができそうにないということで、すでにデフォルトに近い状態にあると見られているのです。

ロシアと言えば、1998年にアジア経済危機をきっかけに一度デフォルトしています。

その際には、著名な経済学者などが運用に関わったアメリカの大手ヘッジファンド「LTCM」=ロングターム・キャピタル・マネジメントの破綻につながりました。

デフォルトした場合の影響は?

今回、ロシア国債がデフォルトした場合の影響について、市場関係者はこう見ています。
●市場関係者(1)
「一義的にはロシア国民に影響するだろう。
ルーブルの価値が大きく下がり、インフレが加速する。海外からモノが入ってくる事も難しくなり、物価の安定が維持できなくなる。
一方、日本への影響は限定的で、各金融機関が持つロシア国債の規模も小さい。
また世界経済全体の規模から見ても、ロシア経済は小さい部類に入り影響は限定的だ」
●市場関係者(2)
「ロシア国債はインデックスファンドやETF(上場投資信託)に組み入れられている。
デフォルトすればこうした金融商品を保有する資産運用会社が個人投資家が薄く広く損を被る形になるだろう。
98年に起きたような金融危機へと発展する可能性は少ないとみている」
●金融庁幹部
「メガバンクなど日本の金融機関が保有するロシア国債の量は多くない。もちろん保有している分の利払いが受けられないといった影響は出てくるが、そのことが日本の銀行の信用リスクに直接つながるとは見ていない」

ロシア国債は、3月16日以降に利払いなどの期限を迎えるとされています。

猶予期間の30日間を過ぎて滞った場合は、4月中にも格付け会社から“デフォルトの認定”を受ける可能性があり、警戒感を高めるべき日々が続きそうです。

注目予定

来週のマーケットは、ロシアのデフォルト懸念のほか、注目されるのは、17日未明のFOMC=連邦公開市場委員会です。

FRBは金融引き締めへかじを切るために断続的な利上げする方針を示していますが、ウクライナ情勢を受けた今後の方針をめぐってパウエル議長の会見に関心が集まります。