“米軍基地経由でウクライナに戦闘機”ポーランド提案を米拒否

アメリカ国防総省のオースティン長官は、ポーランドの国防相と電話会談し、ドイツにあるアメリカ軍基地を経由してウクライナに戦闘機を供与するというポーランド側の提案を拒否しました。

国防総省は、戦闘機の供与に反発するロシアとの間で、軍事的な緊張を高めるおそれがあることなどを理由に挙げています。

欧米諸国が、ロシアの軍事侵攻を受けるウクライナへの武器の供与を進める中、ポーランドはウクライナ軍が扱いに慣れている旧ソビエト製のミグ29戦闘機をドイツにあるアメリカ軍基地を経由させて供与し、代わりにアメリカから別の戦闘機を受け取る形を提案していました。

これについてアメリカ国防総省のカービー報道官は9日の記者会見で、オースティン国防長官がポーランドのブワシュチャク国防相と電話会談し「現時点では、ウクライナへの追加の戦闘機の輸送は支持できない」と述べ、提案を拒否したことを明らかにしました。

その理由についてカービー報道官は、ウクライナの陸上の防空システムがロシアからの攻撃を一定程度防いでいることや、戦闘機の供与がロシアからの強い反発を招き、NATO=北大西洋条約機構との軍事的な緊張を高めるおそれがあることなどを挙げました。

戦闘機の供与は、ウクライナのゼレンスキー大統領が、より強力な軍事支援として要請し、アメリカ側は当初、ポーランドから直接、ウクライナに輸送することを想定していたとみられ、アメリカ軍基地を経由する提案が発表される前までは、前向きな姿勢を示していました。

一方、ロシア側は、近隣諸国の空港がロシア軍の攻撃などに使用された場合「紛争の当事者とみなすこともありうる」と警告していました。

アメリカの姿勢が一転した背景には、戦闘機がアメリカ軍基地からウクライナへ供与されれば、アメリカとロシアの軍事衝突につながるおそれがあるという判断があったとみられます。