ロシア 北方領土進出企業に税制優遇措置

ロシアで9日、北方領土に進出する企業に対して税制の優遇措置を設けるとする法律が成立しました。

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアに対して日本が厳しい経済制裁を科す中、プーチン政権としては、北方領土をあくまで自国の領土だとして開発を進めたい思惑があるものとみられます。

ロシアのプーチン大統領は9日、税法の改正案に署名し、改正法が成立しました。

この中では、北方領土を含む島々での税制について、ロシア政府の登録を受けた企業に対して、法人税や固定資産税、それに土地税などを最大20年間免除する優遇措置を設けるとしています。

プーチン大統領は去年9月、北方領土などで外国の企業からの投資を積極的に誘致したい考えを示しましたが、日本側はこれまでに、日ロ双方の法的立場を害さない形で行う共同経済活動の趣旨とは相いれないなどとする立場を伝えていました。

一方、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアに対して日本が欧米各国とともに厳しい制裁を科したことに対して、ロシア政府は今月7日、対外債務を自国通貨のルーブルで返済することを一方的に認める「非友好的な国と地域」のリストに日本を含めました。

こうした中でプーチン政権としては、北方領土をあくまで自国の領土だとして、開発を進めたい思惑があるものとみられます。

松野官房長官 “税制優遇措置は遺憾 ロシア側に申し入れ”

ロシアで北方領土に進出する企業に対して税制の優遇措置を設けるとする法律が成立したことについて、松野官房長官は日本の立場と相いれず遺憾だとしたうえでロシア側に申し入れを行ったことを明らかにしました。

ロシアで北方領土に進出する企業に対して、税制の優遇措置を設けるとする法律が9日、成立しました。

プーチン政権としては、北方領土をあくまで自国の領土だとして、開発を進めたい思惑があるものとみられます。

これについて松野官房長官は午前の記者会見で「ロシア法令に基づくことを前提に、北方四島を含む地域の経済開発に特恵制度を導入することや、日本企業や第三国企業に経済開発への関与を広く呼びかけることは、北方四島に関する日本の立場や、首脳間の合意に基づき日ロ間で議論をしてきた共同経済活動の趣旨と相いれない」と指摘しました。

そのうえで「日本側の立場はこれまでもロシア側に対して累次申し入れをしてきている中で、ロシア側がこのような制度の導入に踏み切ったことは遺憾で、改めてわが国の立場をロシア側に申し入れた」と述べました。