経団連と九州経済連合会 コロナ出口戦略 政府に働きかけで一致

経団連と九州経済連合会の幹部が意見を交わす懇談会が福岡市で開かれ、新型コロナウイルスで打撃を受けた経済活動を正常化させるため、政府に対して水際対策や行動制限のさらなる緩和など、出口戦略の策定への働きかけを強めるべきとの認識で一致しました。

新型コロナの影響で、3年ぶりの開催となった懇談会は福岡市のホテルで開かれ、九州・沖縄と山口の企業経営者など、およそ200人が出席しました。

この中で、九州経済連合会の倉富純男会長は、地域経済の現状について、「コロナ禍で九州の基幹産業である観光や農林水産業が打撃を受けた。経済復興へと大きくかじを切るために産官学が社会経済活動の正常化に総力をあげている」と述べました。
これに対して経団連の十倉会長は、「福岡などでも、まん延防止等重点措置が解除されたが、感染の波が繰り返すことを前提に科学的、論理的な見地から意見を発信する」と応じ、経済活動を正常化させるため、政府に対して、水際対策や行動制限のさらなる緩和など出口戦略の策定への働きかけを強めるべきとの認識で一致しました。

このほか、懇談会では九州経済連合会の側から、半導体の受託生産で世界最大手の台湾のTSMCが熊本県に新工場を計画し、半導体産業の活性化への期待が高まっていることや、次世代を担う産業を生み出すため、学生の起業家を支援する取り組みなどが報告されました。

九州経済連合会 会長「タイミングはまさに今」

新型コロナウイルスとの共生に向けた出口戦略の策定について、九州経済連合会の倉富純男会長は、懇談会のあとの記者会見で、「出口戦略の策定には大賛成だ。新型コロナには科学的根拠に基づいた対応をしつつも、経済復興に向けて、いかに動くかが大事だ。政策転換のタイミングはまさに今だ。国も経済界からの提言をしっかりと受け止めてほしい」と述べ、政府は出口戦略の議論を加速させるべきとの考えを示しました。

経団連 十倉会長 原油や小麦などの価格上昇「続くと覚悟」

ウクライナ情勢の緊迫化を背景に原油や小麦などの価格が一段と上昇していることについて、経団連の十倉会長は福岡市で行われた懇談会のあとの会見で「原油や小麦などの価格の上昇は続くと覚悟しないといけない。さまざまなものの価格が中長期的に高値となることは避けられない」と述べました。

そのうえで「中小企業も含めて価格転嫁をうまくやっていかないといけない」として、企業経営への影響を抑えるため、燃料や原材料価格の上昇分を製品やサービスの価格に一定程度上乗せすることはやむをえないとの認識を改めて示しました。

十倉会長 韓国大統領選「経済界はきちんと交流続ける」

9日投票が行われている韓国の大統領選挙に関連し、今後の日韓関係について、経団連の十倉会長は、福岡市で行われた懇談会のあとの会見で「日本と韓国は非常に歴史の長い関係だ。日韓関係が早く正常化することを心より願っている。経済界は最悪の日韓関係と言われる中にあってもきちんと交流を続けていく」として、新しい政権においても緊密な関係を維持すると強調しました。

また、会見に同席した九州経済連合会の倉富純男会長は「九州は韓国と一緒に成長した土地柄で、韓国との関係は切っても切れない。もっともっと交流が深まるべきと思っているし、経済交流は徹底して重ねていく。それが未来志向だ」と述べました。