米の専門家「米単独では限定的」 ロシア産原油の輸入禁止措置

アメリカ政府が、ロシアへの追加制裁として発表したロシア産の原油などの輸入禁止措置の効果について、かつてアメリカの駐アゼルバイジャン大使を務めエネルギー安全保障に詳しいリチャード・モーニングスター氏は、ロシアからの輸入量が比較的少ないアメリカ単独ではロシアに与える打撃は限定的だとし、ヨーロッパ各国が制裁に加わることが必要だと指摘しました。

この中でモーニングスター元大使は、軍事侵攻を続けるロシアから原油や天然ガスを購入し続けることはあってはならず、輸入禁止措置は重要な一歩だと評価しました。

ただ、アメリカの輸入量は限られているとして、「アメリカだけでは大きな打撃を与えることは難しいだろう」とし、「ヨーロッパ各国が輸入を減らせばとてつもない打撃を与えることができる」と指摘しました。

そして、天然ガスの輸入の半分近くをロシアに依存しているEU=ヨーロッパ連合が、2030年までにその状況から脱却するとの方針を発表したことについては、「非常に難しいだろう」と述べつつも、「ただ、今の状況を受けてヨーロッパにはロシアへの依存から脱却するという決意がこれまでになくある」として期待を示しました。

これについては、「日本も同様の対応を取る必要がある。世界は完全に変わってしまった。もはやロシアからエネルギーを購入することを当然と思ってはいけない」と述べ、軍事侵攻に踏み切ったロシアからのエネルギー資源をあてにするべきではないと指摘しました。

一方、今回の輸入禁止措置がアメリカ単独での制裁となり、ロシアへの依存度が高いヨーロッパと足並みがそろわなかったことについては、「アメリカは率先して制裁に踏み切り、他国へのリーダーシップを示そうとしたのだろう。自分が制裁に踏み切らずに他国に求めることはできない」として、欧米の足並みが乱れているわけではないとの見方を示しました。